さよならジュピター〈下〉 (ハルキ文庫)
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この作品は傑作だ。SF作家が集結してプロット(あらすじ)を完成。それを小松左京が小説化した。エピソードが多すぎて映画化は不可能だ。作中、ジュピターゴーストのエピソードだけ省略されていたのが唯一の難点。
22世紀の社会の描写に丁寧に枚数を投じた上巻に対し、危機が明らかになった下巻はハイペースの展開をみせる。太陽への衝突軌道をとるブラックホール、人類は地球を捨てるしかないのか?
上映時間2時間以下というハリウッド娯楽映画と描きこみが可能な小説を比べるのは反則だが、描かれるシチュエーションは映画「ディープインパクト」や「アルマゲドン」と比べ、本作は博覧強記な著者のアイディアが全編に溢れなんとも贅沢。なにせ最大のクライマックスを取る木星ノヴァ化の仕組みですらあっさり片付けられる。本作の映画作品が消化不良で終わってしまったのもやむないか・・・。映画では実現しなかったが、太陽系を舞台にした壮大な映像を想像しながら読むのはよい。
ひとつ苦言をいわせてもらうと、反対運動を行い(主人公の彼女も属する)狂信的なテログループの描写が70年代のヒッピー風の設定で、その主義主張、行動の説得力が弱かった点をあげたい。
ともあれ最近の日本のSFでこれほどの壮大なストーリーを描いた作品がないのが残念(アニメや漫画といった他のジャンルに人材が流出しているのかもしれないが)。
参考作品として、太陽系の滅亡と地球からの脱出船団を扱ったA・C・クラークの感動の短編「太陽系最後の日」、脱出船団への乗りこみに選ばれた人と選ばれなかった人との悲喜劇を、一家を抱える父親の視点で描いた藤子不二夫(F)のこれまた傑作短編「箱舟はいっぱい」を上げておきたい。
上映時間2時間以下というハリウッド娯楽映画と描きこみが可能な小説を比べるのは反則だが、描かれるシチュエーションは映画「ディープインパクト」や「アルマゲドン」と比べ、本作は博覧強記な著者のアイディアが全編に溢れなんとも贅沢。なにせ最大のクライマックスを取る木星ノヴァ化の仕組みですらあっさり片付けられる。本作の映画作品が消化不良で終わってしまったのもやむないか・・・。映画では実現しなかったが、太陽系を舞台にした壮大な映像を想像しながら読むのはよい。
ひとつ苦言をいわせてもらうと、反対運動を行い(主人公の彼女も属する)狂信的なテログループの描写が70年代のヒッピー風の設定で、その主義主張、行動の説得力が弱かった点をあげたい。
ともあれ最近の日本のSFでこれほどの壮大なストーリーを描いた作品がないのが残念(アニメや漫画といった他のジャンルに人材が流出しているのかもしれないが)。
参考作品として、太陽系の滅亡と地球からの脱出船団を扱ったA・C・クラークの感動の短編「太陽系最後の日」、脱出船団への乗りこみに選ばれた人と選ばれなかった人との悲喜劇を、一家を抱える父親の視点で描いた藤子不二夫(F)のこれまた傑作短編「箱舟はいっぱい」を上げておきたい。
昭和日本SFを代表する鬼才の一人、小松左京の政治・社会・科学・文学その他ありとあらゆる人文科学に対する
膨大な知識量は、小説だけでなくエッセイなどによっても広く知られるところだが、
その彼が全身全霊を傾けて執筆したと思しきハードSFの傑作が本作である。
宇宙人のメッセージだのナスカ地上絵だのブラックホールだの、
一歩間違えば丹○哲朗の大霊界にでも出てきそうなトンデモな設定だが、
一つ一つのファクトに小松氏の尋常ならざる筆力による圧倒的なフィクション的説得力が備わっていて、
第一級のSFとして大人が真面目に読み込んでいける作品になっている。
全く立場の違う、それぞれに魅力的な登場人物達が
各々の信念に基づいて行動する様はさながら群像劇のようでもあり、
それらの人々が地球の一大危機に心を一つにするクライマックスはすこぶる感動的だ。
ただ、宇宙ステーション側のサスペンスに比べると、
当時のヒッピーを風刺したと思しきジュピター教団の描写はいかにも陳腐かつ凡庸で、
物語のテンションの存続への障壁となってしまっているのがネック。
いっそ教団の描写は丸ごと省いてしまっても良かったかも。
なお、邦画史に残る駄作と名高い映画版では、この一番つまらない教団が
主役級の扱いになっているらしい。何故だ!?
膨大な知識量は、小説だけでなくエッセイなどによっても広く知られるところだが、
その彼が全身全霊を傾けて執筆したと思しきハードSFの傑作が本作である。
宇宙人のメッセージだのナスカ地上絵だのブラックホールだの、
一歩間違えば丹○哲朗の大霊界にでも出てきそうなトンデモな設定だが、
一つ一つのファクトに小松氏の尋常ならざる筆力による圧倒的なフィクション的説得力が備わっていて、
第一級のSFとして大人が真面目に読み込んでいける作品になっている。
全く立場の違う、それぞれに魅力的な登場人物達が
各々の信念に基づいて行動する様はさながら群像劇のようでもあり、
それらの人々が地球の一大危機に心を一つにするクライマックスはすこぶる感動的だ。
ただ、宇宙ステーション側のサスペンスに比べると、
当時のヒッピーを風刺したと思しきジュピター教団の描写はいかにも陳腐かつ凡庸で、
物語のテンションの存続への障壁となってしまっているのがネック。
いっそ教団の描写は丸ごと省いてしまっても良かったかも。
なお、邦画史に残る駄作と名高い映画版では、この一番つまらない教団が
主役級の扱いになっているらしい。何故だ!?



