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友がみな我よりえらく見える日は (幻冬舎アウトロー文庫)
上原 隆
価格: ¥520 (税込)

文庫
出版社: 幻冬舎
発売日: 1999/12
ISBN: 4877288139
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 37657位
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読み進めるたびに重い荷物を背負うような感情が積もってきます
人間は落ち込んだ時、周りの人間は皆優秀で、自分はダメなんだ、という自己嫌悪に陥ることがあります。いったんそのような心境になるとなかなか回復するのも難しいわけですが、ある事を切っ掛けに吹っ切れるわけで、それが何なのかは人それぞれでしょう。
『友がみな我よりえらく見える日は』を読みながら、そんなことを感じました。
私がとらえた本書の狙いは、作者の周りにいる名もない市井の人の人生を赤裸々にルポして描くことにより、皆が悲しみや劣等感、悩みや苦しみを持っている、という感情を共有化することになります。その結果として、読者の現実の苦しみの軽減を図っているのかな、と受け取りました。

登場人物の生き様は強烈でした。アパートの5階から転落するという不慮の事故で失明し、一命を取り留めたが、車椅子生活を余儀なくされた友人の話が冒頭に登場します。あとがきに書かれたCDの話は重く受け止めざるを得ない内容でした。

芥川賞作家の東峰夫は、清貧であり続け、あくまで文学にこだわる生き方を貫いています。有名であることを放棄し、文学の道の真理を追究する姿は求道僧のようでもありました。

ラストに登場するうつ病の学生も、リストラされた6人もそうですが、世間一般にいるごく普通の人達です。巷ではよくある話だからこそ、読者は書かれていることに共感したり、考え込んだりするのでしょう。
現実の厳しさと向き合いながら、それを乗り越えて生きることの意味を問い直す書でもありました。
他人の人生に土足で
最初は、こんな人もいるのか?と驚きと文章の淡々としたうまさに、読み込んだけれど、結局は、ルポと称して、他人の人生に土足で踏み込んで、読者をひきつける本です。上原隆の本はみな、そうです。他人の体験を知るにはいいけれどね。
ノンフィクションの限界か、著者の限界か
15編のノンフィクション。ルポの書式に乗っ取り、著者の主観を極力排して、対象を淡々と綴る。対象はみな、何らかのコンプレックスを抱える(と著者が判断した)人々だ。

あとがきには「劣等感にさいなまれ、自尊心が危機におちいった時(略)彼になくて我にある良いところを探す。(略)そうやって、私は自尊心を回復してきた。」とある。著者が自尊心を取り戻すために、安全な場所から、手当たり次第、不躾に根掘り葉掘り私生活を覗き見しているような印象を受けた。

収録されている人々の無節操さ――知人や同級生、偶然乗り合わせたタクシーの運転手の身の上話、かって良く読んだ作家――からは、受け身、かつ残酷な好奇心が透けて見える。一生懸命生きている人々に対して、敬意を持って踏み込んで関わる姿勢は、少なくとも文面からは希薄だ。ルポという形式上の制限が、そうさせているのかどうかはわからない。

著者はあとがきにこうも記している。「人が傷つき、自尊心を回復しようともがいている時、私の心は強く共鳴する」。その共鳴した部分から湧き上がるものこそを読みたかった。それは最早、ノンフィクションの枠内ではないのかも知れないが。
現実を真っ直ぐに見つめるということ
本書には社会的には「敗者」もしくは「弱者」と呼ばれる人々のことが記されている。ホームレス、離婚、うつ病、失明、登校拒否、リストラ。そんな厳しい現実の世界を淡々と記す。だが、読後感は悪くない。

著者は、酔ってマンションから落ちて失明をした友人のところへ見舞いに行く。容姿が悪いから46年間、男性とつきあったことのないと言う独身OLの話を聞く。新宿のホームレスと、しばらくの間いっしょに暮らす。精神世界に生き、それ以外の全てを捨てた芥川賞作家のもとを訪れる。

著者はその場にいるはずなのに、読んでいるうちにその存在を忘れてしまう。日常の風景だけが続く。いろいろな問題をかかえながらも、今まで生きてきて、これからも生きていくだろう姿がそこにある。苛酷な人生を歩む人たち。社会や時代のせいにせず、自分の主観も入れず著者はその現実の世界だけをここに書き記してある。
軽く手にとってしまったけれど、相当ヘビーでした。
精神的に参っていたので、この本を手にしました。裏表紙に「読むとなぜか心が軽くあたたかくなる、新しいタイプのノンフィクション」と書いてあったのに…。
自らの不幸を嘆き、必死に這い上がろうとしている人の姿を、こちらが一方的にただ見る(読む)というスタンスが許されて良いのか、まず戸惑いました。
著者はいいのです。だってその人々と直接会って、話をしているのだから。
もし私がその人の前にいたら…?自分は五体満足で、安全で、恵まれた立場で、そんな人々と話をするのなんて、あまりに居た堪れない。辛い。申し訳ない。
そこで止めていてほしかった。本にしたら、私はその痛みや辛さや申し訳なさを、ほんのわずかに想像でしか感じない。そのことが申し訳ない。
著者はこれだけの人々にインタビューを繰り返し、それは凄いとしか言いようがありません。しかし、このような気持ちにさせることが著者の狙いなのでしょうか?どうも私には違うように思えるので、☆3つとさせていただきました。



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