自分は実はそれほどミュージシャンとしてのクラプトンが好きな訳ではない。そもそも70年代的なブルース・ロック自体があまり好きではない。普段ニューウェーブ系のエレポップばかり聴いてる人間なのだから。それでも一応『オーシャン・ブールバード』だけは素直にいいと思って一時毎日のように聴き込んでいたが、それ以外の彼の作品に対しては正直「趣味が合わない」ものとして退けていた。
なのに、この本は一気に読んでしまった。以前からロック雑誌などにこの人のインタビューやこの本の抜粋などが載っているのを見る度に、食い入るように読みふけってしまった経験があったからこそだが。で、おそらく自分はこれからも何度かこの本を読み返すと思う。少なくともこの本を読んで、それまで特に何とも思わなかった「レイラ」や「ワンダフル・トゥナイト」などの楽曲を聴いた時の受け止め方が全然違ってきた。それまでもジョージ・ハリスンの嫁さんを横取りしようとして云々、というエピソードは知ってはいたのだが。
いやはや実際に彼女をモノにして夫婦になった後もアルコール依存や女遊びが止まらず破局を迎え、その後様々な紆余曲折を経て、約二十年間の断酒継続と二十歳以上年下の新しい奥さんとの間に三人の子供を設けて、「家族と過ごす時間こそが自分の幸せ」という境地に到達しながらも、「音楽こそが自分を救ってくれた神」と正直な気持ちを吐露する。正に「業が深い」としかいいようがないのだが、その業の深さにどう対処したかというケーススタディとして、実際に何度も地獄を見ながら希望を失わずにそこから這い上がって幸せを手に入れたという「サバイバー」の体験談として、また普通なら人の精神を死に向かわせる程の苦しい状況において「音楽」がどのように「救い」となりうるのか、また破綻してしまった人生や傷ついた魂が「神」や「愛」との出会いによっていかに輝きを取り戻すのかといった問いかけに対する一つの回答として、自分が人生のこのタイミングでこの本と出会えたことの意義はとてつもなく大きい。
カート・コバーンやビリー・マッケンジー、イアン・カーティスのような生き方が間違っていると言うつもりはない。実際に私は彼らのような典型的な破滅型のアーティストの音楽に強くアイデンティファイしてしまうような人間だ。でも、このクラプトンのような生き方もあるのである。とりあえず『ピルグリム』や『レプタイル』といった比較的最近の、彼が新しい生き方を発見して以降のアルバムを聴きながらもう一度この本を読み返してみようと思う。
エリック・クラプトン自伝
エリック クラプトン/Eric Clapton/中江 昌彦
価格: ¥2,940 (税込) 単行本 出版社: イーストプレス 発売日: 2008/04 ISBN: 4872578864 おすすめ度: ![]() Amazon ランキング: 22548位 発送可能時期: 在庫あり。 ![]() |
この本の副題をつけるとしたなら、「ジャーニー・マン」が相応しいと思いました。幼少時代から旅を続けたECが60歳を超えてようやく安息の地を見つけられたようです。この本を読んでECのほぼ全時代を知っていることがわかりました。ヤードバーズの頃からになりますが、彼のキャリアはほぼそこをスタートと見ても良いようです。すぐに彼には「ゴッド」という尊称が加えられます。その為実際の年齢がよくわからなかったのですが、ビートルズのメンバーよりは若いですし、ビートルズが爆発的に売れたため、一攫千金を狙った音楽関係者がロック・バンドの才能を一斉に発掘した時期が60年代だったように受け止めました。ECは、ビートルズよりも音楽面ではストーンズに近く、徹底したブルース志向です。この本では、かなりのミュージシャンとの交流が登場しますが、ブルースの巨人である、ロバート・ジョンソン、マディ・ウォーターズやBBキングが格別の存在だったようです。ジョン・レノンもそうですが、ECの幼少時も特別な体験を経ています。内気でシャイな子供が、あっというまに若者の神になっていき、途方もない旅に出た物語です。ヘロイン中毒で私生活はボロボロ。ようやく抜け出したと思った時、さらに重いアルコール中毒に。その間に、ジョージ・ハリスンの妻への恋。幸福を求め続けながら、幸福を拒否してしまうギターの神。彼を救ったのは、唯一音楽への純粋な信仰であったのだと思います。すべてを音楽に捧げた祭司が今、ようやく人間に戻ったようにも感じられました。一気に読みきってしまうほど興味の尽きない本でした。
この本で書かれている内容は私たちの年代('50年代初め生まれ)の人であればある程度は知っていたことですが、あのアルバムが出た時にこんな状況だったんだ...とか読んでいくうちに、自分が同じ時代に考え悩んでいたことなどと重なって、なかなか興味深く読めました。
ロックの世界で明らかにメーンストリームを歩みレジェンドと成り得る彼が、一人の弱い人間として苦しみどうしようもない状況に成りながらも、今日穏やかな日々を迎えているこの自伝は、人が年を重ねることによって学び、その知恵が心の平静に繋がるといった当たり前のことを再認識させられた一冊です。彼の言葉の中に、「欲望と愛情の区別、快楽と幸せの区別を知らなかった」とありましたが、まさにこの言葉は彼の人生の中で生まれた言葉として心に残りました。
残念なことに、この本の翻訳は直訳っぽくて読み難く、内容を把握するのにかなり苦労しました。できればもう一度リライトされた滑らかな文章で読んでみたいと思いました。
ロックの世界で明らかにメーンストリームを歩みレジェンドと成り得る彼が、一人の弱い人間として苦しみどうしようもない状況に成りながらも、今日穏やかな日々を迎えているこの自伝は、人が年を重ねることによって学び、その知恵が心の平静に繋がるといった当たり前のことを再認識させられた一冊です。彼の言葉の中に、「欲望と愛情の区別、快楽と幸せの区別を知らなかった」とありましたが、まさにこの言葉は彼の人生の中で生まれた言葉として心に残りました。
残念なことに、この本の翻訳は直訳っぽくて読み難く、内容を把握するのにかなり苦労しました。できればもう一度リライトされた滑らかな文章で読んでみたいと思いました。
世界で最も有名なロック・ギタリストと言っても過言ではないエリック・クラプトン初の自叙伝。
邦訳を楽しみにしていたファンもさぞ多いことだろう。
本書は、イギリス・リプリーでの少年時代に始まり、複雑な家庭環境、ギターとの出会いから自分の奏法を確立するまでの経緯、
ヤードバーズ〜クリームを経て、世界的名声を得るまでの過程が気負わない記述で淡々と綴られる。
さらに、名声と富、美貌と才能に恵まれながらも、絶えず内面に葛藤を抱え、
ドラッグやアルコールに耽溺し、奔放な女性関係を繰り返した過去が率直に披瀝されている。
ビートルズ、ストーンズに代表される有名ミュージシャンとの交流にまつわる数々のエピソードは、
60〜70年代のロック・ファンならずとも、興味深いものだろう。
親友G・ハリソンの妻だったパティ・ボイドへの思い、実母への複雑な感情も語られる。
また、愛息の死という悲傷事を乗り越え、アルコール・リハビリセンターの建設など
前向きに生きようとする彼の姿勢に共感し、賛同する読者も多いに違いない。
巻末近く、簡潔ではあるが奥深い言葉で語られる音楽への強い思いには心を打たれる。
幸せな家庭を築きながら精力的な音楽活動を続ける彼を、改めて応援したくなった。
翻訳はところどこ生硬さが目立つが、まあまあ読みやすい。
若い読者のために各ミュージシャンに関する簡単な注釈があれば、理解が深まるのではないかと感じた。
邦訳を楽しみにしていたファンもさぞ多いことだろう。
本書は、イギリス・リプリーでの少年時代に始まり、複雑な家庭環境、ギターとの出会いから自分の奏法を確立するまでの経緯、
ヤードバーズ〜クリームを経て、世界的名声を得るまでの過程が気負わない記述で淡々と綴られる。
さらに、名声と富、美貌と才能に恵まれながらも、絶えず内面に葛藤を抱え、
ドラッグやアルコールに耽溺し、奔放な女性関係を繰り返した過去が率直に披瀝されている。
ビートルズ、ストーンズに代表される有名ミュージシャンとの交流にまつわる数々のエピソードは、
60〜70年代のロック・ファンならずとも、興味深いものだろう。
親友G・ハリソンの妻だったパティ・ボイドへの思い、実母への複雑な感情も語られる。
また、愛息の死という悲傷事を乗り越え、アルコール・リハビリセンターの建設など
前向きに生きようとする彼の姿勢に共感し、賛同する読者も多いに違いない。
巻末近く、簡潔ではあるが奥深い言葉で語られる音楽への強い思いには心を打たれる。
幸せな家庭を築きながら精力的な音楽活動を続ける彼を、改めて応援したくなった。
翻訳はところどこ生硬さが目立つが、まあまあ読みやすい。
若い読者のために各ミュージシャンに関する簡単な注釈があれば、理解が深まるのではないかと感じた。
だらしがない性格っつうのは本を読む前から解ってはいたが、こうまで赤裸々に私生活を暴露するのはエエッ!という驚きと、まぁ一番吃驚したのは本人曰く『殆ど耳が聞こえない』のに補聴器をつけようとしないのは、聞こえなくても自然の聞こえ方が好きだから.......だそうだ。俺もそうしょう.........



