本の選び方、筋の要約と批評、藝と趣向の必要が書評の三要素である、という端的な指摘に始まり、書評の「書き直し」、書評の「付け足し」といった著者ならではの書評藝の実演、「これでもか」とばかりに書評の奥深さを見せ付けてくれる。書評は“自由自在な、いろんなものを入れることができる容器である”とする著者の面目躍如である。
詰まらない本は“取り上げない。~まったくダメなものについて書くのは、よほど世間で大評判になっていて、これを許しておいてはならないというような場合”という選択基準にも納得させられる。
書評論に続く74の書評はさすがにハイブロウで、ハイキングの趣の読書を日常とする者からすれば、どの著書もヒマラヤ連峰のごとくである。「こういうのも読んどいたほうがいいんだろうなぁ」と高地トレーニングの思いで書評を読み終えた後、一気に下山、リラックスして読んだのが、横浜ベイスターズ優勝にまつわる三篇のエッセイ。読む本は違っても、あの優勝イヤーの萌え萌え気分は御同慶の至りである。特に1998年7月15日、巨人を13-12で粉砕した史上最高のゲーム、あの「ビデオを発売せよ」と某出版社の役員に提案したというくだりには思いっきり共感した。脱線しちゃったけど、読書家の方にはもちろんベイスターズファンにもお奨めの書評&エッセイ集である。
いろんな色のインクで
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