ひとつ前に戻る

紙葉の家
マーク・Z. ダニエレブスキーMark Z. Danielewski嶋田 洋一
価格: ¥4,830 (税込)

単行本
出版社: ソニーマガジンズ
発売日: 2002/12
ISBN: 4789719685
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 313322位
発送可能時期:

amazonの詳細ページへ
企画だけで持っている本
分厚いし、冗長な文章だし・・・
時間の無駄、読む価値なし。
好きな人も多いんだろうけど。
そういや、当時はITバブルで浮かれてたなあ、みたいな・・・

同類の本は、もう金輪際ごめんですわ。
迷宮
とにかくごちゃごちゃとぐちゃぐちゃと話が入り組む、
入り組んでいく話を懸命に(この言葉は適切であると思う)読みすすめていき、
狂気の世界へある程度踏み込んだ時、新たな話が浮かび上がる。

それをどう解釈すればよいのか、全てはこの混沌とした本に隠されたままである。
そして何度も読み返していくことにさまざまな物語が見えてくる。
傑作であると思う。
恥ずかしい翻訳
話題の書の邦訳だが、これだけの長さのもので、かつ「奇書」ともなれば、それなりの覚悟と執念を持って翻訳してもらいたかった。たとえば『トリストラム・シャンディ』の朱牟田訳は訳者の卓越した英語力を支えに、時間と熱意を傾注したものであったはずだ。しかし残念ながらこの『紙葉の家』の嶋田訳はテクストに対する誠意が感じられないばかりか、そもそも必要最低限の英語力に欠けているとしか思えない。序文が始まってじきに、読者は意味不明な日本語に出くわす(「おれはクララ・イングリッシュって女を忘れようとしてた。食物連鎖の頂点にいる男とデートがしたいって言った女で、おれがすぐに彼女の記憶の中にしっかりと自分の熱愛を焼きつけることになったのは、あるストリッパーに一目惚れしたからだった。」)。この箇所が意味不明なのは、けっしてこの本の奇書としての性質に起因するものではなく、原文「So I demonstrated my unflagging devotion to her memory by immediately developing a heavy crush on this stripper …」(「おれが彼女の記憶を依然として拭えずにいたということは、すぐさまあるストリッパーに入れ込んだりしたことに、よく表れている」)の誤訳である。他にも、「ポール・デマン」とあるのは架空の人物のことかと思ったらポール・ド=マンのことであったりして、フランス語系固有名詞の調べの足りなさも窺わせる。
紙葉の家に結局置き去りにされるものとは?
この本を取られた方にはまずいっきに本文を読んでしまうことをお薦めする。注釈が多すぎ(そして詳しく知的な注釈)て詳しく読んでいたら作者の仕掛けにひっかかってしまう。そこにあるのは混乱なのだ。
読み終えて、紙葉の家に結局、置き去られたものとは、、!
この本は文芸として、企画としても大成功しているだろう。
読んでない人には、是非、読んで頂きたい!
面白さとはこの本に描かれている(書かれているのではない)気味悪さと同義語である。



多重構造の骨格
 黒地に家という文字だけが藤色になっている美しい装丁。カバーをはずしても美しさは損なわれない。カラー写真のコラージュ。裏表紙は家のポラロイド写真。そして本文にある全ての「家」という文字が藤色になっている。ページをめくると早々にこの本の仕様についての説明があるがここからすでにフィクションは始まっている。現実と空想の境界をなくそうとする演出だ。凝った文字の配列が特徴で時には本を逆さまにしなければならなくなるほどである。
 物語は無限の構造を持つ家とその家にかかわるネイヴィットソン一家のビデオテープによる記録、それに註釈を付けて解説するザンパノ老人の書いた「ネイヴィットソン記録」、それにまた註釈を付けるトルーアント氏の解説と彼自身の物語、さらにトルーアントの母の手紙などで構成されている。つまり3重以上の構造を持ったメタフィクションである。
 紙葉の家(House of Leaves)とはどういう意味か。物語も終わりにさしかかったころ同名の本のページを一枚ずつめくって燃やしていくシーンある。自分が燃やしているシーンについて書かれた本を自分が燃やしているということにもなる。これはメタであり本書の構造を示している。
 またLeaveには離別という意味もある。孤独なまま死んでゆく老人、狂気に落ちてゆくトルーアント、精神病院で死んでゆく母、そして夫婦の心が離れてゆくネイヴィットソンの物語のいずれもがまさに離別という問題を扱っている。
 地獄に通じているような家という設定はホラーSFの古典「異次元を覗く家」を連想させられる。その迷宮を探検する様子を映したビデオは映画「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」である。たしかにホラーという体裁をしている。だが底辺にあるテーマは別離であり、それこそがこの小説の多重構造の骨格となっているのだ。



本のみちしるべ Powered by Amazon Web Service
PR: 本をまとめて検索