20世紀文学の傑作。この本を読んだのは、2,3年程前かな。読んでみておっかなびっくり。こんな小説があるのか、って。世界には、こんなに力強い文学が存在するんだな、って。ほんとうに驚いてしまった。なんか、ぞくぞくする感覚が読む間中、僕を取り巻いてて、なんか、半端な物語体験ではなかった。きっと、まだまだ僕は若すぎて、この小説をもっと深く読みこなせるようになるには、もっともっと実生活でいろいろ経験し、迷い傷つき、人を愛して生きることが必要なんだろうな、と思った。クンデラの作品は、あと『存在の耐えられない軽さ』を読んだ。僕は『冗談』のほうが好きだ、と思う。でも、またいつか読み直さなくちゃ。クンデラの本は他にも読んでないのたくさんあるし、これからひとつひとつ大切に、じっくり読んで行きたいな。
軽い気分で手にとって、気軽な読書、ってな感じでは読めないけど、こういうじわじわと身にしみるような物語を、僕は、これからも読んで行きたいな。世界には、まだまだいっぱいそういう物語が伝わってるだろうから。
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冗談 (Lettres)
Milan Kundera(原著)/関根 日出男(翻訳)/中村 猛(翻訳)
価格: ¥3,045 (税込) 単行本 出版社: みすず書房 発売日: 2002/05 ASIN: 4622048671 おすすめ度: ![]() Amazon ランキング: 57759位 発送可能時期: 通常3~5週間以内に発送 ![]() |
クンデラの作品はほとんど読み、現在は卒業研究にしている。「存在の耐えられない軽さ」「不滅」などはもちろん素晴らしい傑作だが、ぼくはやはり、この「冗談」が一番好きだ。これだけ日常レベルでチェコでの時代体験を書いた小説は、クンデラノのなかでこれが最後だろう。身近な素材を使っているからというだけではなく、どこまでも人間や出来事が生々しい。しかし、これは私小説などではない。ここには、気まぐれな歴史に翻弄される自我が、その彷徨いが、ときには惨酷に、ときには滑稽に、そして最後には静かな憂愁をもって語られている。「なにがほんとうの悪か?」そんなこと考えてはダメだ。誰もが正しくない、そして間違ってさえいないのだ。それがクンデラにとっての道徳なのだ。
時代と、そのなかに形成されえる自己と、それが残すことのできる軌跡とは、なんと不条理な、意味をもたせることの出来ぬかなしさなのだろう。それでも、すべての事物は「無実」であって、「罪は別のところにある」と著者の分身は述べる。
恨むことでも愛することでもバランスなどとれなかった静かな崩壊、そこでも、音楽によってその悲しみを想い、また喜びを懐かしむことができるルドヴィーク(とわたしたち)は、一体どこへ行くのだろう。
政治的観点からの批判に対し著者は、「これはラヴ・ストーリー」だと述べた。そう、まったく、これはラヴ・ストーリーなのであった。
感動といっても、涙がポロポロ落ちるような、そんなものではありません。政治にのめり込み、参加し、その思想に、その歴史に振り回された小さな個人の運命が、そのそれぞれの視点から描かれ、いろいろな角度から人間というものに光を当てられることにより、人間の立体的な姿が見えるように注意深く物語が描かれ、人間とは何なのか、その一筋縄ではいかない心の、人生の、運命の複雑さがユーモアの中に表現されていることに心を奪われたのです。読み終わった後、しみじみとしたものが感じられますよ。
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