投げやりな人生、手からこぼれ落ちていく安定、生活を覆っていく狂気。それらを恐怖と呼ぼう。
本書に描かれる恐怖は、日常の片隅に漂っている気配、それを受け入れてしまう人間の業である。
登場人物は、誰もそれぞれ荒廃の香りがまとわりついている。
恐怖を目前にしての反応は人それぞれだが、福澤の描く登場人物はこれらの恐怖に進んで身を任せていく。
破滅を欲しているとしか思えない。そこが怖い。
主人公たちの壊れた感受性が恐怖であり、(しかしそれは)どこか憧憬を伴う。
本書の描写が端的で美しく、ストーリーに無駄がないからだ。
これが本書の魅力だ。
人間、希望が見えないどん詰まりで、果たしてタブーを超えられるだろうか。
「お前はどうだ?」と問われているようだ。
「幻日」と一緒に読んでいただきたい一冊。
廃屋の幽霊 (双葉文庫)
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