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風紋〈上〉 (双葉文庫)
乃南 アサ
価格: ¥900 (税込)

文庫
出版社: 双葉社
発売日: 1996/09
ISBN: 457550579X
おすすめ度:4.5
Amazon ランキング: 39414位
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もし私の母がいなくなったら
主人公は高校生の女の子。
彼女は毎日を楽しく生きていた。そしてこれからも生きていくはず…
だったのに。

突然の母の死。そしてその死が病気や事故ではなく、殺人だった。

幼い女子高生の身に降りかかった母の死という現実。
母のいない生活。バランスを欠く家族。被害者であるにも関わらず冷たい社会。
マスコミの存在。彼女の中にうずまく恐怖と、周囲からのプレッシャーの中、
彼女はどのように母の死という現実を受け止めるのか。

ミステリーという形態をとりながらも、その本質は母の死に直面する幼い娘の
心情の推移を描く作品である。
さすが
好きな作家です。女性作家らしい細やかな描写・表現と男性的なストーリーの組み立て方が飽きさせずに先へ進ませてくれます。 登場人物のキャラがそれぞれ際立つので、「あれ?これ誰だっけ?」と迷わず感情移入しやすいので読み進むほど先へ進みたくなる作品だと思います。
人間の弱さ
ミステリー小説かと思いつつ、読み始めたのですが実際は殺人事件の被害者と加害者家族のドキュメントとも言える生々しい作品でした。強い人間が最悪の状況を乗り切って行くようなきれいごととして描かず、弱い人間がいかに運命に翻弄されていくかを赤裸々に描いており私事のようにどきどきしながら読みました。
加害者はともかく被害者家族には誰でも突発的、偶発的に成りうる訳で、加害者家族同様、世間やマスコミからバッシングされながら生きて行くという理不尽さは納得が行きませんがそれが現実かもしれません。そういった犯罪に対しての知り得なかった現実を認識させられた気がします。
加害者も被害者も悲劇・・・
平凡に暮らしていた主婦が殺された。加害者は意外な人物。それだけでも残された家族の受ける衝撃は計り知れないのに、さらに投げかけられる心無い言葉。まるで殺される方が悪いと言わんばかりの中傷。次々に暴かれる被害者家族の暗部。被害者の家族の心の傷がどんどん大きくなっていくのは見るに耐えない。しかし、加害者の家族にとっても悲劇だ。平凡な家庭が崩れ去り、夫が逮捕されたその日から、「殺人犯の妻」「殺人犯の子供」として生きていかなければならない。ひとつの事件がいかに多くの人を傷つけるか・・・。どんな理由があるにせよ、人は絶対に罪を犯してはいけないのだ。
重い内容ではあるが・・・
読んでいる最中は気持ちが滅入り、胃に石が溜まるような感覚を味わったが読み終えたあと思ったほど重くはならなかった。それは主人公がどん底から立ち直っていく様が上手く描かれているからだろうか。。。
テーマが被害者の家族と加害者の家族という難しい内容のなかで作者が言いたかった事がなんとなく理解できたような気がした。
もともと彼女の作品は愛読書のひとつであるが最近の長編ははずれがないように思える。
ひとつ要望があるとすれば加害者と被害者の当人でしかわかりえない心の葛藤などが少しでも描いてほしかった気がする。
ただこの本には加害者の子供が登場する続編もあるらしいので是非読むつもりである。



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