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深き心の底より (PHP文庫)
小川 洋子
価格: ¥600 (税込)

文庫
出版社: PHP研究所
発売日: 2006/10/03
ISBN: 4569667015
おすすめ度:4.0
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昔の生真面目な女学生風エッセー
「物語の役割」を興味深かく読み期待が大きかったので、昔の生真面目な女学生という印象を拭えない文章にちょっとがっかりした。デビューからの10年間の初期エッセーと銘打ってあるからそれはそれで仕方ないのかも知れないが。
 生まれたときから宗教的な環境の中に否応なく組み込まれていて、それが作者の精神にも体にも深く影響を与えているのだと思われる。人生の中で出合った諸々に真摯に対応して生きてこられたのだと思い、祈りながら小説を書くのだという言葉に考えさせられた。
小川さんを知る
小川さんの講演録『物語の役割』に感銘を受け、このエッセイ集を買ってみた。デビューから10年の間に発表された初期エッセイ集。『物語の役割』につながるエピソードも多々あった。

ご自身のことを中心とした、気取りや衒いの感じられない淡々とした趣の文章。小川さんが「エッセイの名手」などと呼ばれることはおそらくないだろうけれど(ご本人もそのようなことは望んでいらっしゃらないであろう)、その分、小川さんのお人柄がじかに伝わってくる気がして好ましく感じた。

時に残酷でかつ美しい物語を紡ぎ出す小川さんは、控えめで、繊細だけれどどこかほほえましいとぼけたところももち合わせたかたらしい。敏感さと図太さ(大胆さ)の両方が備わっているようにお見受けした。ご主人と息子さんと犬に愛情を注ぐひとりの主婦でもいらっしゃる。様々な面が、直接的・間接的に作品に反映されていることがうかがえ興味深かった。医大の秘書室に勤務されていたことやアンネ・フランクに特別な思いをおもちであることなどは存じ上げていたが、村上春樹作品(翻訳作品も含め)に親しんでいらっしゃることなどは初めて知ったように思う。旅や仕事で訪れた海外での思い出を綴ったものも印象深かった。

失礼な言い方だが・・・小川さんの素顔を知ることはなんだか楽しい。ほっとする。



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