桜庭一樹読書日記で「黄色い壁紙」について触れられていて、興味を持って購入した。
当たり外れのばらつきがかなりあるが、怖い作品はかなり怖い。
正直「黄色い壁紙」は期待していたほど怖くは無かったが、読後殺伐としたものを感じる。
予備知識なくこれを読んだら相当怖いと思う、悪夢を見るほどに。
主人公の女(名前も出てこない)は神経を失調しており、夫は彼女を過保護に扱うのだが、それに反比例して彼女はどんどん病んでいく。
原因は夫婦の寝室の黄色い壁紙。
まずこの壁紙の描写が怖い。
「球根のように垂れた眼球」とか「延々と続く毒茸の列」とか、想像しただけで発狂しそう。
だがそれより怖いのは、日記形式で語られる淡々とした描写。
主人公は夫に感謝しつつも一方で不満を抱き、自分を仕事に復帰させてくれない夫を呪う。
どうもこの日記の記述が矛盾しており、錯乱した箇所も見受けられる。最初はこう言ってたのに、次の行では全く違うことを言ってるとか、それが殆ど地続きなのでもやりとした違和感が残る。
彼女には産まれたばかりの男の子がいるのだが、夫や義妹についてはしつこいほど語られてる反面子供の事は数行しか出てこず、それもお義理で触れられてる程度。
日記形式で綴られているだけに、黄色い壁紙以上に主人公の心理に冷え冷えしたものを感じる。
「蛇岩」も面白かった。こちらは母娘二代にわたるどろどろ愛憎もの。一族にかけられた呪い、岸壁の古城、蛇の形をした奇岩をめぐるゴシックホラー。「です・ます」調の訳が奇怪な雰囲気を出すのに一役買っている。母親が泳ぎに興じる娘を古城の窓から常に監視してるのが怖い。
「名誉の幽霊」のユーモラスな雰囲気も気に入った。こんな楽しい幽霊なら家にいてもいいなあ。
淑やかな悪夢 (創元推理文庫)
シンシア・アスキス他/倉阪 鬼一郎/南條 竹則/西崎 憲
価格: ¥819 (税込) 文庫 出版社: 東京創元社 発売日: 2006/08/30 ISBN: 4488507026 おすすめ度: ![]() Amazon ランキング: 46837位 発送可能時期: 通常3~5週間以内に発送 ![]() |
19世紀半ばから20世紀半ば頃に書かれた12の短篇。
特に、ギルマンの 『黄色い壁紙』 に満ちた 「嫌な感じ」 は凄い。ぞわぞわと怖い。
彼女たちはとても早く這う。
少し古い時代の怪奇小説には好みのものが多い。
想像の余地を残しているものがいい。
特に、ギルマンの 『黄色い壁紙』 に満ちた 「嫌な感じ」 は凄い。ぞわぞわと怖い。
彼女たちはとても早く這う。
少し古い時代の怪奇小説には好みのものが多い。
想像の余地を残しているものがいい。
英米の女流作家たちの怪談集
読後の印象がそれぞれに深く、楽しめる怪談集。
「黄色い壁紙」
最初に読んだ時、意味が分からずもう1度読み返してようやく意味を知り、いや〜な気持ちにさせられた作品。語り手の内的変化を表す描写がない分、情け容赦がない。このねじれに最初に読んだ時、気付いてなかった。
「名誉の幽霊」
ユーモラスな筆致でありながら、最後にドキッとさせられる。落ちは誰もが気付くようなものだが、それまでがユーモラスであった分、効果は倍増。
「蛇岩」
絵画的な描写で幻想の世界の話を読んでいるような気にさせられた。描写が頭の中で映像化され、それでいながら幻想的な靄がかかる。静かな余韻に浸れた逸品。
その他、計12編を収めた短編集です。
読後の印象がそれぞれに深く、楽しめる怪談集。
「黄色い壁紙」
最初に読んだ時、意味が分からずもう1度読み返してようやく意味を知り、いや〜な気持ちにさせられた作品。語り手の内的変化を表す描写がない分、情け容赦がない。このねじれに最初に読んだ時、気付いてなかった。
「名誉の幽霊」
ユーモラスな筆致でありながら、最後にドキッとさせられる。落ちは誰もが気付くようなものだが、それまでがユーモラスであった分、効果は倍増。
「蛇岩」
絵画的な描写で幻想の世界の話を読んでいるような気にさせられた。描写が頭の中で映像化され、それでいながら幻想的な靄がかかる。静かな余韻に浸れた逸品。
その他、計12編を収めた短編集です。



