ファンタジーのようなミステリーのような不思議な小説、「ななつのこ」に心魅かれた短大文学部在学中の入江駒子が、その作者佐伯綾乃に生まれて初めて送ったファンレターがきっかけに、二人の間に文通が始まる。
駒子の手紙には、彼女の身の回りで起こった不思議な「事件」が書き添えられていたが、綾乃からの返書には必ず、鮮やかな推理と解決が記されているのだった…。
テレ朝の深夜ドラマ「てるてるあした」の原作者、加納朋子のデビュー作にして、第3回鮎川哲也賞受賞作。同名の小説中小説である「ななつのこ」の7つのお話を「お題」として謎が展開する短編7つから成る連作長編。
加納朋子自身が、北村薫の「私」と円紫師匠シリーズへのファンレターとして書いたらしいが、確かに、日常の謎(殺人や誘拐などではなく)を素材にしている点、主人公が女子大生(文学系)である点、探偵役がいわゆる安楽椅子探偵である点、連作を通じて結果としてビルドゥングスロマンとなっている点等で、北村作品へのオマージュとなっている。
7編中一番読ませるのは第6話の「白いタンポポ」。小説内小説である「ななつのこ」では第7話に当たる(らしい)『明日咲く花』の謎解きとシンクロして話が進むのだが、それぞれ、花の色に関わる謎を片や文学的に、片や科学的?に鮮やかに解決して見せる。物語としての面白さもこれが一番と思う。
ななつのこ (創元推理文庫)
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いろんな読み方ができる本だと思うけれど、「人が死なないミステリー」とか、「日常の中のミステリー」とかいうジャンル立てをしてしまうと、この本の楽しみは減るような気がする。
連作短編で、それぞれの話に決着をつけつつ、散りばめられた伏線が、最終話でまとまって、全体として一つの長編としても読める、という構成も確かに見事だが、その点だけに目を奪われてはいけないように思う。
この本の魅力は、主人公の駒子さんの、しっかりしているようでふわふわとした、夢見がちのようで現実も忘れていない、やわらかい存在感が支えているのではないかな。
駒子さんと友人たちとの、自然体のユーモアがただよう学生生活には、現代には存在しないような、でも、ほんの少し前に自分が体験し、あるいは目撃したような、不思議な既視感がある。
そういう「ほのかなノスタルジー」とでも言うべき雰囲気が、作品全体をシアワセなものにしている。これが1992年の作品で、現代から見て微妙に過去だということは、本質的ではないだろう。書かれた当時からこの「ノスタルジー」はあったはずだし、10年後に読んでも変わらないはずだ。
その雰囲気の中で、駒子さんが体験する日常の謎が、作中の「ななつのこ」という童話の話と微妙にオーバーラップし、最後に童話作家からの手紙によって、たぶん正解の「謎解き」がされることで、静かな感動が心に広がるのだと思う。
謎解きの部分は、文句なしに論理的で、雰囲気に流された解決でないところも素晴らしい。最終話で話をまとめるために、各話の結末を曖昧にした部分もあるし、謎解きの手紙の主が、駒子さんの手紙だけで推理していない「ルール違反」もあるが、それは、この作品に関しては欠点とは言えないだろう。
連作短編で、それぞれの話に決着をつけつつ、散りばめられた伏線が、最終話でまとまって、全体として一つの長編としても読める、という構成も確かに見事だが、その点だけに目を奪われてはいけないように思う。
この本の魅力は、主人公の駒子さんの、しっかりしているようでふわふわとした、夢見がちのようで現実も忘れていない、やわらかい存在感が支えているのではないかな。
駒子さんと友人たちとの、自然体のユーモアがただよう学生生活には、現代には存在しないような、でも、ほんの少し前に自分が体験し、あるいは目撃したような、不思議な既視感がある。
そういう「ほのかなノスタルジー」とでも言うべき雰囲気が、作品全体をシアワセなものにしている。これが1992年の作品で、現代から見て微妙に過去だということは、本質的ではないだろう。書かれた当時からこの「ノスタルジー」はあったはずだし、10年後に読んでも変わらないはずだ。
その雰囲気の中で、駒子さんが体験する日常の謎が、作中の「ななつのこ」という童話の話と微妙にオーバーラップし、最後に童話作家からの手紙によって、たぶん正解の「謎解き」がされることで、静かな感動が心に広がるのだと思う。
謎解きの部分は、文句なしに論理的で、雰囲気に流された解決でないところも素晴らしい。最終話で話をまとめるために、各話の結末を曖昧にした部分もあるし、謎解きの手紙の主が、駒子さんの手紙だけで推理していない「ルール違反」もあるが、それは、この作品に関しては欠点とは言えないだろう。
連作短編集の名手、加納朋子のデビュー作。
彼女の作品は、連続殺人とか世間の注目を集める大事件などではなく、日常のささやかな謎を読み解く作品が大半を占める。実際、彼女の作品で殺人が起きるのは、推理作家協会賞(短編部門)受賞作の「ガラスの麒麟」ぐらいではないでしょうか?
本書はとくに、主人公の女子大生・駒子が天真爛漫というか、とぼけた味のキャラクターで、作品全体が明るく読みやすく、その中でもとくに「白いタンポポ」という短編がとても味わい深いです。
彼女の作品は、連続殺人とか世間の注目を集める大事件などではなく、日常のささやかな謎を読み解く作品が大半を占める。実際、彼女の作品で殺人が起きるのは、推理作家協会賞(短編部門)受賞作の「ガラスの麒麟」ぐらいではないでしょうか?
本書はとくに、主人公の女子大生・駒子が天真爛漫というか、とぼけた味のキャラクターで、作品全体が明るく読みやすく、その中でもとくに「白いタンポポ」という短編がとても味わい深いです。
この本の主人公は19歳。ある日、本屋さんで、表紙に惹かれて手に取った1冊の本を購入します。その本のタイトルは『ななつのこ』。
はやてという少年の身近で起こる小さな謎をあやめさんという女性が解くお話です。
そのお話を読んだ主人公は、作者にファンレターを出すのですが、この主人公、一風変わっていて、ただのファンレターではなく、自分の
身近なところで起こった謎を書き送ったのです。
そして、それがきっかけで、作者と文通のような手紙のやりとりが続くのですが、ただ単にそれだけでは終わらず、7つある物語の最後で、
ちょっぴり驚くような種明かしがされます。
物語のひとつひとつのエピソードが、とても温かく、そっと心に残るので、読了後、ほんわかした気持ちになれます。
はやてという少年の身近で起こる小さな謎をあやめさんという女性が解くお話です。
そのお話を読んだ主人公は、作者にファンレターを出すのですが、この主人公、一風変わっていて、ただのファンレターではなく、自分の
身近なところで起こった謎を書き送ったのです。
そして、それがきっかけで、作者と文通のような手紙のやりとりが続くのですが、ただ単にそれだけでは終わらず、7つある物語の最後で、
ちょっぴり驚くような種明かしがされます。
物語のひとつひとつのエピソードが、とても温かく、そっと心に残るので、読了後、ほんわかした気持ちになれます。
『ななつのこ』です。連作短編という形で、推理というよりプチミステリーという感じ。短大生イリゴマが、作家にファンレターを出し、そのやりとりの中で、日常で遭遇する小さな謎を解決して行きます。
日常描写が生き生きしているし、イリゴマの思考経過が面白く書かれているので楽しく読めます。
表紙と、各作品のトビラについているイラストが雰囲気を出していました。
最後の一作で、この本としての総括的ネタバラシをするのですが、そこだけがさすがに説明的で、展開もご都合主義的に感じました。
全体としては面白かったです。白秋の白○○○○ネタが良かったです。
日常描写が生き生きしているし、イリゴマの思考経過が面白く書かれているので楽しく読めます。
表紙と、各作品のトビラについているイラストが雰囲気を出していました。
最後の一作で、この本としての総括的ネタバラシをするのですが、そこだけがさすがに説明的で、展開もご都合主義的に感じました。
全体としては面白かったです。白秋の白○○○○ネタが良かったです。



