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鳥―デュ・モーリア傑作集 (創元推理文庫)
ダフネ デュ・モーリアDaphne du Maurier務台 夏子
価格: ¥1,050 (税込)

文庫
出版社: 東京創元社
発売日: 2000/11
ISBN: 4488206026
おすすめ度:5.0
Amazon ランキング: 94953位
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書かない、あるいは説明しないことによって増幅する恐怖感
今はもう映画をあまり観ないのだが、学生の頃はヒッチコックの映画は何度も繰り返し観ていた。深夜テレビでやっていたヒッチコック劇場も観ていた。だけど、誰が脚本だとか原作が誰かということにあまり興味がなく、ただ、ヒッチコックの作品ということで観ていた。

さらに、翻訳小説も、あの独特の比喩や言い回しが苦手なので、めったに読まない。読めばおもしろいのは分かっているのだが、なかなか手が出ない。

だから、映画の「鳥」に原作があり、しかも「レベッカ」の原作者と同じということを最近まで知らなかった。この本も書店で偶然見つけて購入した。

ここに収められているどの短篇もそうだが、文章が読みやすい。翻訳もいいのかもしれないが、端正で簡潔な文章だ。だからといって紋切り型ではない。海外作家の小説でこういった文章は初めてに近かった。内容も短篇らしい。本当はもっと情報量を詰め込むことができるのに、それ削ぎ落として物語に必要なことだけが綴られている。

「鳥」もそうだ。描かれているのは一つの家族の姿だけだ。家族の住んでいる町の様子も殆んど描かれていない。本当はイギリス中がパニックに陥っているのだが、それはラジオを通じて僅かに断片的に伝えられるだけである。しかも、そのラジオ放送自体も中断されてしまう。「鳥」で描かれている「事柄」は、断片的(言い換えれば局地的)な事柄だ。町や国がどうなっているかは書かれていない。結末すらも書かれていない。しかし、それが、かえって恐ろしさを際立たせている。想像する恐怖あるいは見えない恐怖と言えばいいのだろうか。

デュ・モーリアの作品はこれが初めてだが、映画の「レベッカ」にもレベッカ本人が登場しないことを考えると、彼女は書かないことによって作品に奥行きを持たせることに成功した作家のような気がする。

いずれ「レベッカ」も読んでみようと思った。
乞・知名度アップ
『レベッカ』と同様アルフレッド・ヒッチコックによって映画化された『鳥』を中心とする短編集です。創元推理文庫が彼女の作品を刊行するのはこれが初めてですが、彼女の作品を全作読んでみたいと思わせる絶妙の1作目となりました。見事な様々なタイプの作品が並んでいますが、どの作品も謎に対する明確な回答を避けて、読者に想像させるような手法をとっていることが印象的で、一般的な推理小説の手法とは大きく印象が異なります。

ヒロインの孤独感や夜の描写がウィリアム・アイリッシュの作品を想起させる『恋人』(原題ではこれが表題作)、“タイムトラベル・ホラー”とでも呼ぶべき分野を開拓した『裂けた時間』、幸せの絶頂にある女性の自殺の原因を夫に雇われた探偵が究明していく『動機』などが特に気に入りました。『レベッカ』と『鳥』(本書のことではなく、本書の収録作である短編のこと)だけで語られるのは惜しい作家です。

作者への興味がわいてくる充実の短編集
 バラエティの楽しめる作品集だ。
 収められている8編には今となっては良く知られているプロットの作品もあるのだが、一人称の心理描写や情景描写が優れていることと、ホラーやサスペンスさらにファンタジーやSF作品もあったりして厭きさせない。一編毎に感心しながら、あっという間に読み切った。それは「ヒッチコックの映画『鳥』の原作も含みます」と言い添えておけば充分なぐらい各作品のレベルが高いと言うことだと思う。
 この作者への興味が非常に増してきて、嬉しい収穫という気持ち。
人生の一編
ヒッチコックの映画であまりにも有名な表題の「鳥」も、映画とはまた違うヒタヒタと迫りくるような恐怖感と閉塞感に身の毛がよだちますが、収録作の「モンテ・ヴェリタ」が突出して素晴らしい。
コーヒーショップで読み始めてやめられなくなり、2杯もお代わりしながら最後まで読みました。そんな小説は今のところ、この作品だけです。
あまりの感動に、このサイトでのニックネームに表題を拝借しています。ぜひ、お勧め。
ヴォリュームに眩暈が…
一篇一篇がかなり詰まった内容なので一気読みは息切れ必至。女性とは思えぬ骨太な筆力で、純朴な青年、うだつの上がらない中年男性に若き美貌の人妻、神経質な未亡人と描き出す人物も世界もまさに変幻自在。個人的に、怖くてちょっとセンチメンタルな「恋人」、表題の「鳥」もかすむほどの完成度「モンテ・ヴェリタ」がとっても拾い物でした。



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