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蛇の形 (創元推理文庫)
ミネット・ウォルターズ成川 裕子
価格: ¥1,260 (税込)

文庫
出版社: 東京創元社
発売日: 2004/07/31
ISBN: 4488187064
おすすめ度:4.5
Amazon ランキング: 245815位
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静かな感動が残った
もしも自分が、近所の嫌われ者の死にたまたま立ち会ったとしたら。ショックを受けてしばらくは夢にうなされるかもしれませんが、恐らく数週間もしたらすっかり忘れるでしょう。ところがこの主人公は、嫌われ者だった隣人の黒人女性の死を忘れられず、20年もの間コツコツと情報を集め続け、満を持して調査に乗り出すのです。そのこだわり方はいささか常軌を逸して見えます。主人公の夫はそんな妻に苛立ち夫婦仲にも隙間風が吹いているほどで、隣人の死の真相よりも、むしろ調査の動機のほうが気になります。
そうやって読み進んでいくうちに、この調査は単に事件の真相の探索ではなく、主人公が自分の人生を取り戻すための戦いであったことが明らかになっていきます。その展開が鮮やかでした。
小説の中で、主人公の容姿はほとんど説明されていません。読み始めたばかりのころ、イメージされる容姿はギスギスした気味の悪いオバサンでしたが、読み終わるころには美しい女性に変貌していました。1冊の小説を読む中で、主人公のイメージがこれほど変わるのも自分としては珍しいことでした。
ラストに明かされる、恐らくは調査の一番の動機となったのであろう一文に、胸が締め付けられました。
読後感
大した力量の作家さんだなあとそれは文句なく認めますが、うーん、読後感があんまりよろしくないです。結局誰も彼も救われない、悲惨な人たちばかり。胸が重苦しいまま読了しました。クライムノベルというのはそういうものなのでしょうか。

あとは、手紙や資料などが随所に挿入されているのですが、読み進める上でやっかいで、またプロットについては見事だという意見が多いかもしれませんが、私はちょっとあざといと感じました。もう少し物語の早い段階で読者にヒントを与えてそこからの展開を書いて欲しかったです。結局、主人公は本当に復讐を狙っていた人物は別にいたのに、ずっと他の人物を追いかけているような印象を与え続けていたことで、最後にからくりが明かされたときも腑に落ちるというよりは、なーんだ、これまで注意をわざとそらされていたんだな…と少し腹立ちさえ覚えました。まあこの感じ方は個人差があるとは思いますが。

力作であることはもちろん認めますが、もやもやがかなり強く残る作品なので、すっきりした読後感を求める人にはお勧めしません。
蛇とは?
どうして四つ星にしたかというと。
手紙がいっぱいあって、
フルタイムで働いて、しかも仕事に追われている私は
うーーむうーーむうなりながら考える時間がなくて
何がなんだか途中でわからなくなってしまって
正直言うと、読み終えるのに少し時間がかかったから。
でも、仕事が少しひまになったときに
そして、主人公の過去が見え始めたときに
一気に読み終えた。
あなたが女性で
結婚の経験があり
中年以上なら
「蛇」の意味を
私と共有できるかも知れない。
「推理小説」を越えて…
ただの謎解きにとどまらず、「人生」や「人間」なるものの謎解きにまで迫ろうとするときに、
ミステリーは強烈な力を持って迫り、もはやジャンル分けなんぞどうでも良くなる。
妻と夫の、母と娘の在りようは、とってつけではない深さをこの作品に添えている。

なぜに20年も?の疑問は最終章までつきまとう。
その疑問が、解けそうで解けなそうでの微妙な歯がゆさに次々と頁はめくられ…
わかった気になりつつあったところに飛び込む最後の「手紙」。
これにて一気に5つ星。
「お見事…」と呟き、涙をかみしめ読後を味わおう。

どろろんウォルターズくん
個人的には「鉄の枷」「女彫刻家」以来のウォルターズ女史。
相変わらず英国式ドロドロ人間関係を描かせたらピカイチ。悪行/悪意と裏切りのクリスクロス。イギリスの天気は今日も悪いぜ、どーんっ!ってな感じ。
故にその中から出てくる一筋の善や正義が、まさに雲の隙間からヒラヒラ降りてくる天使のように美しく見えるんだな。きっと。
 
探偵ならば犯人を捜すのは当然。
が、一介の主婦が20年前の事件の真犯人を執念深く調査するのは…。
その執念「何故に彼女は?」と「誰が犯人?」二つの謎を読者は提供されるのね。まぁ、その執念の源が小説として説得力があるかどうかは意見が分かれるところだろうけど。。
 
それでも最後の手紙に心打たれることは請け合い。
買って損なし。

 
 




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