主人公が記憶喪失から立ち返った時、彼は確かにフランク・タウンゼントであった。
しかし、傍らの子供が差し出した帽子には、D.Nの刺繍が。
取り戻した記憶の代わりに失った三年間の過去。それは黒いカーテンで覆われたように光を寄せ付けず、不気味にこちらを伺っている。
ある男に尾行され、住居に押し入られて初めて、彼はその黒い過去と対峙する決意を固める。
カーテンの向こうに眠る過去の正体は?
空白の三年間に自分がいったい何をしでかしたのか。謎の男の追跡は駅→職場→かつてのアパートと迫ってくる。そしてついに突き止められた住処から辛くも逃げだすという前半部分。
そして、その三年の間に知り合ったらしいルス・ディロンという女と再会し、最近までD.N.-ダニエル・ニアリングと名乗っていたこと、己が犯した(らしい)殺人事件を知り、さらにはその謎を解くために、事件の舞台となった場所-ニュー・ジェリコへと向かう…という後半部分。
前半部分のサスペンスホラー的な要素と後半のミステリー要素が融合し、緊迫の中、全ての解決が示される。アイリッシュの真骨頂。



