ひとつ前に戻る

館島 (ミステリ・フロンティア)
東川 篤哉
価格: ¥1,785 (税込)

単行本
出版社: 東京創元社
発売日: 2005/05/30
ISBN: 4488017142
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 309465位
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

amazonの詳細ページへ
螺旋の運動
六角形の四階建てで屋上にドーム型の展望室があり、
中心に巨大な螺旋階段を配した建物――。


この情報だけからでも、直感的に舞台となる建物に施された
大仕掛けに気づく人は結構いるのではないかと思います。

しかし、本作は大トリック一発勝負といった大味のものでは決してありません。

ベタなスラップスティックコメディと若干下世話な会話のなかに
巧妙に伏線をまぎれこませ、それを周到に積み上げていくことで、
論理のアクロバットを実現させる、まさに「端正な本格」といった
作風なのです。

特に、瀬戸大橋架設に係る土地売買の疑惑といった社会派ネタの挿入の仕方や、
意外性十分な建築家の設計意図などには舌を巻きました。


また、本作でキーワードとなるのが、「80年代」と「岡山」。

せわしい現代と比べ、のどかで牧歌的な「80年代」の雰囲気は時間の流れも
ゆったりとしていて、なんだか和みます(殺人が起こるのに……w)


「岡山」を舞台にしているのもジモティーとしては、なんだか面映くもあるのですが、
知っている地名やローカルな店名が出てくると、思わずニヤリとしてしまいます。

「岡山」を舞台にしたミステリというと、なんといっても巨匠・大横溝がいるわけですが、
著者には是非ともその衣鉢を継いで、〈岡山〉ものを書き続けてもらいたいですね。
作風は真逆かもしれませんがw



▼関連書籍

 ・〈速水三兄妹〉シリーズ(我孫子武丸)…スラップスティックな雰囲気が似ています。

 ・『十角館の殺人』(綾辻行人)…本作は、この作品へのオマージュ(メイントリックは対照的)。



溢れる稚気、驚愕の真相
久々に、大満足しました!
あえて小さな瑕を探すなら「この動機はどうなのよ!」って感じではありますが(笑)
真相が明らかになる場面では久々に快哉の声を上げました。実に良質なミステリです。
すでにアイディアは出し尽くされたと思われる館物で一体どんな新味を出してくるかと思いきや
予想以上の斬新さ、期待以上の楽しさ。いろんな事項に必然性があってとても読後感がいいです。まだまだアイディアってのはあるんだなあと感心しきりです。
活発で勝気な美人とおっとりして天然のお嬢様、ってどこかで見たなという気はしないでもないのですが(笑)楽しいので不問とします。
この軽やかな持ち味、これからもなくさないでほしいなあ。
事前の伏線がもっと必要では?
著者のコミカルな作風は賛否両論ですが、本作はボリュームの割に伏線が足りなくて、真相解明は作者からの一方通行で終止してしまったところが残念です。 登場キャラのドタバタ劇の後、一方的に真相を突き付けられる…他の方法も有り得たんじゃないの?と釈然としない読後感です。著者の他の作品にも言えるんですがロジック、伏線が弱かったり甘かったり…その点を今後もっと鍛えてほしいです。
とはいえ本作品のトリック自体は、評価出来きると思います。本格分野で新しいネタを生み出すのは大変ですもんね。それだけに惜しい気がしました。
読んで損なし。
登場人物のキャラクター、ユーモア感、伏線の張り方、すべてが満足できた。
そして、舞台設定が凄い。
現場と時代背景が見事に結合していて感嘆した。
トリックについても、テレビ朝日であの「トリック」のスペシャル版でやれば大うけ間違いないと思う。
CGを幾ら使ってもいいから、ぜひ映像化を望みたくなる作品である。
「烏賊川市」じゃなくても面白い
ミステリフロンティアの作品で、これで東川さんの作品に入った人も結構いらっしゃるみたいで、ミステリフロンティア恐るべし。カッパノベルスとの購買層の違いを感じます。

 版元が違い、「烏賊川市」のキャラクター陣は出ないとはいえ、いつもの東川さんの作品で嬉しいです。特に今回は岡山が舞台なので、岡山出身としては楽しくなってしまいます。下津井とか天満屋とか。それだけでプラス1点。

 やっぱり「烏賊川市」の方がキャラが確立されていていいかな。これも何作かあるといいのだけれど、もう少し面白くなる印象です。動機もそれはちょっと・・・と思ってしまいました。

 しかし、トリックは驚きです。ばかばかしいですが、ちゃんと意味をもたせているし、意味とトリックが融合している様は感動的です。実際に瀬戸大橋をよく見ている身としては、(しかも出来るときには凄い盛り上がった)、胸に訴えかけますね。

 この作品と「交換殺人」で東川さんはブレイクする・・・はず。



本のみちしるべ Powered by Amazon Web Service
PR: FS研究室