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早わかり世界の文学―パスティーシュ読書術 (ちくま新書 712)
清水 義範
価格: ¥714 (税込)

新書
出版社: 筑摩書房
発売日: 2008/03
ASIN: 4480064044
おすすめ度:4.5
Amazon ランキング: 171306位
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5文学作品が読みたくなってくる本
 本書の一つの柱は,タイトルから明らかなように,「世界の文学」の紹介。
 これがとても分かりやすく,自分でも読んでみたいと思わせる紹介の仕方だった。
 例えば,ゾラ「居酒屋」。
≪ゾラがこの小説で伝えようとしていることは,パリの下層労働者は生活の苦しさを忘れようとして,酒に身を持ちくずして破滅していくってことです。ジュルヴェーズは決してバカではないし,不正直でもない,けなげでつい応援してやりたくなる人間なんです。なのに,喜んで買った家具のひとつひとつを売っていき,大きな家から小さな汚いアパートに住み替えて,お腹がすいてふらふらになって借金を重ねるような生活をしていけば,どうしたって心まで汚れてくるんですよ。そのことがものすごくリアルに書かれています。≫(102頁)

 もう一つの柱は,筆者自身の文学体験・文章作成術。
 例えば,筆者は,「文章の上達法を教えてください」と聞かれることが多いが,結局練習するしかない,という。
≪文章も同じなんです。楽器と同じで,誰でもが叩けば音は出るけれども,これが音楽になるためには訓練が必要なのです。それなのに,「そのコツを教えてください」と。そのコツを聞いたら,急に明日からピアニストになれるかのような質問と一緒なんですね。そんなことはない。≫(162頁)

 文章も読みやすいので,全ての人にお勧め。
5パスティーシュの巨匠が語るパスティーシュ。<セルフ評論>
本書は清水ファンは大いに楽しめます。
逆に、清水作品に親しんでいないと、
本書の面白さは半減してしてしまうかなあと・・・。
取っ付きやすそうで、読者を選ぶ怖い本です。(笑)

清水ファンは本書を読むと、
清水さんの創作の背景が分かり、
ちょっと感心します。
(感動まではいかないかな)

若き清水義範は、
現在の清水文学を作り上げる過程で、
本人の葛藤、世間の無理解を乗り越えてきたと、
語っています。
だからこそ「パスティーシュ」に対してのプライド、矜持があるのだなあと。

「パスティーシュ」について丁寧に解説してくれています。
それは世界の文学の解説でもあるのですが、
「文学は模倣によって進化してきた」という立場がはっきりしていて、
何とも面白いです。
さてパスティーシュですが、
パロディーの持つ風刺や批評性と異なり、
その本質は言葉のパッチワーク、面白さにあります。
「毒がないとだめなのか?」という問いかけとその回答が、
私は清水先生らしくて気に入りました。

ここまで書き連ねてみて、
世界文学について語っているようで、
すべて清水文学に繋がっているのだと気づます。
本書、肝はパスティーシュの巨匠が語るパスティーシュ論。セルフ評論。
そこに価値があるのでしょう。

そういう点で、
本訴はやっぱり清水ファンにお勧めです。
3著者の読書体験本として、読んだ方がいいです
 系統立てて、世界文学の事を解説している訳ではなく、著者が思いつくままに、文学作品をネタにして語っているという感じ。要するに、著者の読書体験が書かれている本である。
 こういう本は、言ってしまえば著者の講話(この本の場合は世界文学について)のようなものだから、著者との相性の良し悪しで、読者の面白さの受け止め方がかなり違ってくると思う。
 この本は、3つの講義と補講で構成されている。
 〔講義1〕パロディで文学はつながっている
は、誰かの作った作品がきっかけになって、新しい作品が作られていくという事。
 〔講義2〕読書で学べること
は、本(主に小説)を読むと、人間理解に幅が出来るという事。
 〔講義3〕 作文教室と創作方法
は、作文教室は、誰かに読ませることを前提にとにかく書けば、(ある程度は)上達はするという事。
 そして、創作方法は、「普通に生活をしていて、面白いなあと感じる目をもっていれば、面白い事だらけなんですよ、世の中」という風に、日常生活からアイディアを得て、「笑ってもらえるのが大好きなんですから、なるべく笑ってもらえるように書いている」という事。
 間に入るエピソードが楽しめるかどうかは、著者との相性。私の場合は、まあまあという感じ。
 

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