明らかに某宗教団体の起こした事件をベースとした作品である。
それだけでは芸が無いと思ったのか、合同結婚式まで取り込ん
でいる。プロの作家として、現実の事件を元にして小説を書くと
いうのは如何な物だろうか。
しかし、本作に限らず、他の多くの作家もこの事件をベースにし
た作品を書いている。小説の世界でも荒唐無稽と思われるよう
な事が、現実に起こってしまったのだ。それだけ社会的にイン
パクトのあった事件と言えるのだろう。
本作の主役は『人間の証明』にも登場した棟居刑事である。
事件が大きくなってくると、殺人事件で捜査一課が捜査するより、
公安警察が捜査の主導権を握るのでは無いかと思った。
タイトルとなっている『人間の条件』に関する部分は、作品の終
盤になってから登場するのだが、いささか設定が強引と言うか、
都合良過ぎる気がした。
所々に目端の利いた描写があり、様々な事件がやがて一点に
収束して行く所など、エンターテイメント作品として、それなりに
楽しめる作品にはなっている。
人間の条件 (上) (幻冬舎文庫)
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