彼の築いた一時の繁栄は、地方利便性の向上といえる正の遺産と、権益の享受によってしか生きられない多くの寄生虫といった負の遺産を生み出したのではないでしょうか。無論、現在にいたるまでの景気状況を回顧的に考慮すると彼(55年体制)の成否は問うまでもないでしょう。(戦後復興、経済大国、社会保障の確立等等、各論的に見ればすべてを否定することはできませんが、総論で講ずれば先見的視野が狭い場当たり的政治であったと言わざるを得ません。)
55年体制の象徴ともいえる田中政治は今も尚存在しており、現政権与党は「改革」と「角栄」この二律背反を(両者に指摘されぬよう上手く)維持しているのではないでしょうか。
唯、かの疑獄ににより絶対悪と総評されがちな角栄氏の、政治理念や人柄を知る上では本書はなかなかのものと思います。



