九州の箭納倉という地方都市に現れる穏やかな恐怖。失踪した人物がある日戻ってくる……ところが、その人物はどうもおかしい。
「人間もどき」が知らない内に増えているらしいということに気づいた元大学教授の協一郎とその娘の藍子、そして協一郎に招かれた音楽プロデューサーの多聞は次第に真相に近づいていくが……
恩田陸さんの初期作品ですが、恩田さんの作品らしい小説だけで完結しない「怖さ」を現実世界に持ち込んでしまう怖い作品です。
怖い小説はいくらでもあるのですが、月の裏側を想像するように現実世界に潜む恐怖を植え付けられる作品はなかなかあるものじゃありません。恩田陸さんの作品はそういう所を含めて感じることができるので……正直、怖いです。
月の裏側 (幻冬舎文庫)
|
この小説を読んでいたときに、九州にいたので余計にぞくぞくってしました。終わり方はいつもの恩田陸パターンでちょっと残念でしたが・・・。
途中までは、水路に囲まれた街の雰囲気や登場人物たちの描写の面白さでそこそこ楽しく読めましたが、いざ核心たる「盗まれた街」の部分に差し掛かるなり、一気に物語のポテンシャルが落ちたように感じました。水郷都市独特の情感が、人間が人間ならざるものに変わってしまう不気味さに変容していく…というイメージはいいのですが、市内の人間がごっそり消えてしまう大事に対して本来起こり得る諸々の事象(あるいはそれらが起こらないことへの説明)を全く無視した手抜きな展開や、水の中で形が整うだけの「人間もどき」(それ以外に何の説明もない…)の扱いなど、後半は惰性で書かれたとしか思えませんでした。描きたいイメージを生かすためにも、最低限読者を納得させるリアリティは必要ではないでしょうか。
恩田陸の古めの作品ながら、機会があって読み返しました。
ジャック・フィニィの「盗まれた街」について本文中に言及があるように、氏へのオマージュ的作品です。
舞台は、九州の水郷都市である、箭納倉。
知り合いの元大学教授の協一郎の招きに応じてこの街にやってきた多聞という不思議な青年。彼は、ここで三件の失踪事件の話を協一郎から聞くことになります。失踪していたのは、いずれも箭納倉の街を縦横にはしる掘割に面した日本家屋に住む老女たち。そして、不思議な共通点はさらにもう一つ、彼女らは一週間ほどでじきにひょっこりと戻ってきていたのです。ただし、失踪当時の記憶を失ったまま。
誘拐なのか、新興宗教による洗脳なのか、それとも徘徊? いずれも腑に落ちず、矛盾をはらみます。そして、多聞はそれらの事件を調べるうちに協一郎の弟夫婦も失踪し帰って来ていたことを知ります。そして、協一郎がこう言います。「彼らは彼らじゃないんだよ」と。
一度失踪して帰って来た時には他人になっている。俄には信じがたいことながら、多聞の前にはその証拠が次々と挙げられていきます。多聞は腹をくくってその調査にのめりこんでいきますが、事態はこくこくと深刻の度を増してゆきます。。。
ということで、かなり怖いホラーです。人がゆっくりと消え、そして帰ってくる。帰ってきた彼らは何者なのか、そしてそれを行っているものはなにか? まわりを全て水に囲まれた水郷都市の箭納倉で起こる恐怖の物語は、登場人物がクールで少し変わった人物だからこそ押さえ気味押さえ気味に進んでいきますが、それ故に余計に恐怖は増幅していきます。一気読みするつもりはありませんでしたが思わず一気読みしてしまいました。
是非読んでほしい作品です。
数ある恩田陸作品の中でも「六番目の小夜子」や「夜のピクニック」「ねじの回転」同様にトップクラスの作品で5の5とします。
ジャック・フィニィの「盗まれた街」について本文中に言及があるように、氏へのオマージュ的作品です。
舞台は、九州の水郷都市である、箭納倉。
知り合いの元大学教授の協一郎の招きに応じてこの街にやってきた多聞という不思議な青年。彼は、ここで三件の失踪事件の話を協一郎から聞くことになります。失踪していたのは、いずれも箭納倉の街を縦横にはしる掘割に面した日本家屋に住む老女たち。そして、不思議な共通点はさらにもう一つ、彼女らは一週間ほどでじきにひょっこりと戻ってきていたのです。ただし、失踪当時の記憶を失ったまま。
誘拐なのか、新興宗教による洗脳なのか、それとも徘徊? いずれも腑に落ちず、矛盾をはらみます。そして、多聞はそれらの事件を調べるうちに協一郎の弟夫婦も失踪し帰って来ていたことを知ります。そして、協一郎がこう言います。「彼らは彼らじゃないんだよ」と。
一度失踪して帰って来た時には他人になっている。俄には信じがたいことながら、多聞の前にはその証拠が次々と挙げられていきます。多聞は腹をくくってその調査にのめりこんでいきますが、事態はこくこくと深刻の度を増してゆきます。。。
ということで、かなり怖いホラーです。人がゆっくりと消え、そして帰ってくる。帰ってきた彼らは何者なのか、そしてそれを行っているものはなにか? まわりを全て水に囲まれた水郷都市の箭納倉で起こる恐怖の物語は、登場人物がクールで少し変わった人物だからこそ押さえ気味押さえ気味に進んでいきますが、それ故に余計に恐怖は増幅していきます。一気読みするつもりはありませんでしたが思わず一気読みしてしまいました。
是非読んでほしい作品です。
数ある恩田陸作品の中でも「六番目の小夜子」や「夜のピクニック」「ねじの回転」同様にトップクラスの作品で5の5とします。
だいぶ前に読んだスティーブン・キング氏の「IT」をちらっと思い出しました。
だけど、双方ともホラーで、町のそこかしこを流れる「水路」がキーワードなのですが、人が殺される、暴力のちりばめられたキング氏のものとはちょっと雰囲気が違います。
また、一般的なサイコホラーとも違う。
サイコホラーが苦手な人も楽しく、なおかつ怖がりながら読めます。
恩田さんの作品は多く読んでいますが、これを読んだ時点ではこういうSF(?というのかな。現実ではない)ホラーは初めてでした。
それで、起こっている事件について、もっと現実的な謎解きを色々想像していたので、展開にちょっと驚きました。
でも面白かったです。後半、終わり近くのコンビニでの出来事は、一緒にぞぞぞーっとしました。
旅好きとしては、この話がモデルとなっている九州の水郷の町にも、いずれ行かなくては、と思っています。歴史のある、趣のある町が舞台です。
だけど、双方ともホラーで、町のそこかしこを流れる「水路」がキーワードなのですが、人が殺される、暴力のちりばめられたキング氏のものとはちょっと雰囲気が違います。
また、一般的なサイコホラーとも違う。
サイコホラーが苦手な人も楽しく、なおかつ怖がりながら読めます。
恩田さんの作品は多く読んでいますが、これを読んだ時点ではこういうSF(?というのかな。現実ではない)ホラーは初めてでした。
それで、起こっている事件について、もっと現実的な謎解きを色々想像していたので、展開にちょっと驚きました。
でも面白かったです。後半、終わり近くのコンビニでの出来事は、一緒にぞぞぞーっとしました。
旅好きとしては、この話がモデルとなっている九州の水郷の町にも、いずれ行かなくては、と思っています。歴史のある、趣のある町が舞台です。



