語り手の「私」は世俗的な成功を望む野心的な青年である
「私」は女(それも教養ある美人)や学問的成功を得ようと試みる
しかし、その試みは大方挫折する
「私」はその度に、打ちのめされ、寝込んでしまう
「私」はいつも不充足を抱えている
といっても、「私」が何も得ていない訳ではない
「私」は性交の経験も定職も妻も得ている
にも拘らず、「私」は満足しない
というより、何を得ても満足出来ないのが「私」なのだ
不充足こそが、この作品集のテーマだと言ってよい
それくらいに、不充足が作品全体を覆っている
著者の筆も不充足を描く際に最も冴える
「童貞」というのは、この不充足のことではないか
私はこの作品集をそのように読んだ
小谷野ありきの作品ではないか、という意見もあるようだが
そういう読みは本作品の可能性を狭める
童貞放浪記
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読んだことないからホントのところはよく知らないけど、ホラ、皇室とか経済界とか芸能界とかの裏話や暴露本って、結構あるじゃない。で、私は小谷野敦の小説を、その手のものの一種として楽しんでる。
実際、小谷野の小説にはいつも「限りなく事実に近い」という気配が濃厚で、しかもこれでも小谷野読者の端くれだから「黒髪の匂う女」の吉川さんのモデルが誰かなんて明らかで、もちろんそのモデルはその筋では有名人でテレビなんかでも見かけたりして、しかも小説中には葉室と吉川さんの馴れ初めからセックスから、それこそ「黒髪の匂い」の話までアケスケに書かれているワケだから、頭の中で2人のそういう場面がリアルに想像されてしまう(ま、その手の描写は露骨なら良いというものでもなく、小谷野に下品さは感じない。狡さは感じるけど…)。
こんな風に言うと、小谷野敦の周辺に広がる学界人脈萌えって、いかにもマイナーだねェ〜、とツッコミが入りそうな気もするが、それも少し違う。だって私は本来は吉川さんのモデルに何の関心もないし(若村蛍子には、ある)、モデルを想像できない「ミゼラブル・ハイスクール一九七八」も、それなりに楽しめたんだから。
で、結局は中心にいる小谷野敦のキャラが立っている、という話なんじゃないか。ただしそれは「小説−内」で立っているんじゃなく、「小説−外」で、要するに「もてない男」として立っている。だから小谷野の小説はいつも、「アノ小谷野」の小説になるはずで、いわゆるタレント本の存在様態に限りなく近い。そしてこの暫定的な結論は、「小谷野の小説はタレント本だ」ではなく、「そもそも純文学とは、タレント本だ」へと展開する見通しなのだが、それはまた別の機会に…
実際、小谷野の小説にはいつも「限りなく事実に近い」という気配が濃厚で、しかもこれでも小谷野読者の端くれだから「黒髪の匂う女」の吉川さんのモデルが誰かなんて明らかで、もちろんそのモデルはその筋では有名人でテレビなんかでも見かけたりして、しかも小説中には葉室と吉川さんの馴れ初めからセックスから、それこそ「黒髪の匂い」の話までアケスケに書かれているワケだから、頭の中で2人のそういう場面がリアルに想像されてしまう(ま、その手の描写は露骨なら良いというものでもなく、小谷野に下品さは感じない。狡さは感じるけど…)。
こんな風に言うと、小谷野敦の周辺に広がる学界人脈萌えって、いかにもマイナーだねェ〜、とツッコミが入りそうな気もするが、それも少し違う。だって私は本来は吉川さんのモデルに何の関心もないし(若村蛍子には、ある)、モデルを想像できない「ミゼラブル・ハイスクール一九七八」も、それなりに楽しめたんだから。
で、結局は中心にいる小谷野敦のキャラが立っている、という話なんじゃないか。ただしそれは「小説−内」で立っているんじゃなく、「小説−外」で、要するに「もてない男」として立っている。だから小谷野の小説はいつも、「アノ小谷野」の小説になるはずで、いわゆるタレント本の存在様態に限りなく近い。そしてこの暫定的な結論は、「小谷野の小説はタレント本だ」ではなく、「そもそも純文学とは、タレント本だ」へと展開する見通しなのだが、それはまた別の機会に…
私小説であり、自己暴露小説である。表題作においては自らの性的遍歴を
赤裸々に表現する。著者の比較文学者としての社会的地位が心配になるほどの
内容だ。
前作「非望」より身近な経験が主題とされており面白く読んだが、私小説
特有の偽悪的且つ無頼を衒う作風を好む人には物足りない一面があるかもしれない。
ともあれ、おすすめの一冊である。
赤裸々に表現する。著者の比較文学者としての社会的地位が心配になるほどの
内容だ。
前作「非望」より身近な経験が主題とされており面白く読んだが、私小説
特有の偽悪的且つ無頼を衒う作風を好む人には物足りない一面があるかもしれない。
ともあれ、おすすめの一冊である。
最初は、筒井康隆の「文学部 唯野教授」の雰囲気を漂わせつつ、童貞喪失への長くて不安な人生の道のりを小説として書いた自伝的小説でしょうか? というか、これはほとんどノンフィクションなんだと思います。 作家と私も同世代ですので大変共感して読むことが出来ましたし、上手に当時の時代の空気をつたえていると思います。 本当に当時のマニュアル本(実は今も)不親切だと思います。
童貞放浪や童貞喪失は、そんな簡単なことではない分 男性として生れ落ちたこと自体が悲劇的だとも筆者は感じていたのでしょう。「三十にもなって、、」と年下女性から言われたら立ち直れませんね。
童貞放浪や童貞喪失は、そんな簡単なことではない分 男性として生れ落ちたこと自体が悲劇的だとも筆者は感じていたのでしょう。「三十にもなって、、」と年下女性から言われたら立ち直れませんね。



