ライオンと蜘蛛の巣
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NHKの記者として海外駐在し、外交・安全保障問題を担当していた著者による主に国際政治・外交とインテリジェンスに関わるエッセイ集。全く知らなかった地名が国際政治の一ピースとなり、そこでの思わぬ政治・外交の断面がエッセイに切り出されている。それらのピースが大きな国際政治・外交の構図にはめ込まれ、きらりと光る著者の目線で読みやすく語られている。クリントン元大統領やドイツの元宰相コールの素顔の一端を覗けるし、ムービング・セールのエピソードやカジノの描写もあり、おもしろかった。公然とした歴史的事実を除くと「何時」という特定ができない書き方が特徴的。もちろん「誰」という要素も曖昧化されている。インテリジェンスの機微を扱う場面が多いせいだろうか。「かぼそい蜘蛛の巣も、人々が手を携えて丁寧に紡いでいけば、ライオンをも捕らえることができる」(ジョンソン牧師)に、アメリカの底力を感じる。
「小説の様なノンフィクション」と書かれた帯に違わない、独立した29話が収録されているエッセイ集という感じであろうか。世界のそれぞれの土地で、主に各国の要人と親交を持った際の手嶋氏の叙情豊かな逸話が、小説家=手嶋龍一の目で華麗に描かれている。ハーバードの街並み、ボストンのたたずまい、イギリスの空気、などが匂い立つ様によみがえり、しばし幸せな気分におちいる。外交や政治をテーマにした書籍にもかかわらず、匂い立つような芳醇な文化の香りがする不思議な読後感の書籍である。手嶋さんのファンにはたまらない一冊ではないだろうか。
『ウルトラ・ダラー』とは一味も二味も違う、
国際教養派に贈るノンフィクション・エッセイ集。
スパイ小説を読んで心躍らせたい読者には不向き。
歴史上、国際政治上の様々な事象を関連付け、
紐解いていく精神的営みにはまさに頭が下がる。
・前著の『ウルトラダーラー』を読み、最新刊を探して本書にたどり着きました。
・本書はオムニバス形式になっていて著者が何を言いたかったのか把握しづらかったです。
ただし、著者の高いアンテナで収集された欧米諸国の要人の視点を気軽に摘み食いできるのは貴重だと思いました。読み手それぞれが美味しいと思う部分を味わえば使える本なのかもしれません。
・個人的に印象に残った部分は、
−「テレビ・メディアはときに活字メディアをはるかに凌ぐ鮮烈な起爆力を持つ。事柄の核心を誰よりも的確に照射して本質を鋭くえぐり出してみせる。だが、日本ではその可能性を自ら扼殺してはいないだろうか。視聴者は単純な切り口こそ喜ぶはず。そんな傲慢な思い上がりが、送り手の側にありはしないだろうか。その果てに受け手の側もテレビ・メディアにもはや多くを期待することをやめてしまったように見える。」です。
・本書はオムニバス形式になっていて著者が何を言いたかったのか把握しづらかったです。
ただし、著者の高いアンテナで収集された欧米諸国の要人の視点を気軽に摘み食いできるのは貴重だと思いました。読み手それぞれが美味しいと思う部分を味わえば使える本なのかもしれません。
・個人的に印象に残った部分は、
−「テレビ・メディアはときに活字メディアをはるかに凌ぐ鮮烈な起爆力を持つ。事柄の核心を誰よりも的確に照射して本質を鋭くえぐり出してみせる。だが、日本ではその可能性を自ら扼殺してはいないだろうか。視聴者は単純な切り口こそ喜ぶはず。そんな傲慢な思い上がりが、送り手の側にありはしないだろうか。その果てに受け手の側もテレビ・メディアにもはや多くを期待することをやめてしまったように見える。」です。
世界の終わりまでを計る「終末時計」では、今年5分前まで進んでいる。
米ソの冷戦以来の数字なのだが、日本はなぜ、こんなに平和なのだろう。
あの頃は結構緊張感があった。
格段に情報が伝わる速度は上がったのに、また、世界は小さくなったと言われるの
に、なぜか、危機感がない。
北朝鮮やイランの核も、中国の軍拡もすべて対岸の火事であり、インテリジェンス
に対する意識も
低いからか。
自衛隊員の中国人妻によってイージス艦の機密も漏洩している。
しかし、そんな状況に警鐘を鳴らすのがこの本、と言っては持ち上げすぎだろう。
著者らしいソフトな拵えや、「ウルトラ・ダラー」のせいで、どうしてもそんな目
で見てしまうところもあろう。
そんなことを考えず、フツーのエッセイとして読めばいいのだ。
初出はそれぞれの雑誌だし、トータルの流れがあるわけではない。
でも、一冊の本にする際には、それなりの流れが欲しいのも実感としてある。
世界各地を舞台にしているだけで、加筆・修正など特にいじった風でもない。
ページ数も240頁と少ないし、その割りに、この定価はちょっと、お高い。
タイトルも明らかに前作を意識したつけ方で、読者はそそられてしまうだろう。
米ソの冷戦以来の数字なのだが、日本はなぜ、こんなに平和なのだろう。
あの頃は結構緊張感があった。
格段に情報が伝わる速度は上がったのに、また、世界は小さくなったと言われるの
に、なぜか、危機感がない。
北朝鮮やイランの核も、中国の軍拡もすべて対岸の火事であり、インテリジェンス
に対する意識も
低いからか。
自衛隊員の中国人妻によってイージス艦の機密も漏洩している。
しかし、そんな状況に警鐘を鳴らすのがこの本、と言っては持ち上げすぎだろう。
著者らしいソフトな拵えや、「ウルトラ・ダラー」のせいで、どうしてもそんな目
で見てしまうところもあろう。
そんなことを考えず、フツーのエッセイとして読めばいいのだ。
初出はそれぞれの雑誌だし、トータルの流れがあるわけではない。
でも、一冊の本にする際には、それなりの流れが欲しいのも実感としてある。
世界各地を舞台にしているだけで、加筆・修正など特にいじった風でもない。
ページ数も240頁と少ないし、その割りに、この定価はちょっと、お高い。
タイトルも明らかに前作を意識したつけ方で、読者はそそられてしまうだろう。



