ひとつ前に戻る

廃用身
久坂部 羊
価格: ¥1,680 (税込)

単行本
出版社: 幻冬舎
発売日: 2003/05
ISBN: 4344003403
おすすめ度:4.5
Amazon ランキング: 134318位
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衝撃のデビュー作
 読んだ後、ひたすら怖かった本というのは久しぶりだった。内容はもう語り尽くされているので省くが、作者は医師として、まじめに高齢化社会の解決法を模索し、問題意識投げかけている。実際にやりかねないからね、この国は。幸い、まだ介護をするはめにはなっていないが、そうなったとき繰り返し頭に浮かんできそうで、今から怖い。
度肝抜かれた!
まさに度肝を抜かれました!!!
私は、この本と同じような介護の仕事をしています。実際に、マヒや、硬縮で、不自由にしている方をいつもいつも見ています。私は自分がそのようになったら、この本の、A(切断)ケア、S(人口肛門など)ケア、デス(死)ケア、全部考えれると思います。選択肢は多いほうがいいし、それで、自分も周りも楽になれるのなら、タブーではないと思います。職場でほとんどのスタッフで回し読みしましたが、ほとんど全員、賛成でした。全員、目からウロコの考え方の本でした。
いろいろな考え方ができること、いろいろな選択肢が考えられること、それが、大事だと思います。みなさんも、この本を読んで、真剣に、グロテスクに、老後を考えましょう!
最初、ノンフィクションかと思った
最初に「この作品はフィクションです」等のただし書きなしで、いきなりノンフィクションぽい書き出しで始まる本。あるライターが、死亡したある医師の生涯と所業を回想する形式。途中でいかにもな感じの新聞記事や雑誌の転用が挿入される。読み進めているうちに、扱っているテーマの大きさから、さすがにフィクションだと気づくが、最後まで「フィクション」と言い切らないところはすごい。最後の最後まで登場人物の架空の医師の経歴、書いたライターの経歴が載っている。じつは私自身いまだに十パーセントくらい「もしかしたら本当にあったんじゃ?」と疑っているが、麻痺した老人の足を組織的に切断する医師はいないだろう、と自分に言い聞かせている。それくらい読んでいる側を本の世界に引きずり込んでくれる本。
感覚麻痺
奇抜な倫理感。提起された老人介護という問題を考えているうちに
主人公の心の闇に巻き込まれていく。

極端な治療をする医師と、圧倒的な影響力で人を追いつめる
マスコミニュケーション。どちらがより犯罪的か。
読み進めていくうち、猟奇とモラルの狭間で読者の感覚も麻痺していきます。

歴史上にも、巫女などの超能力を増すために身体の一部を犠牲にする
類型は多いと思います。
また、最近流行の断食ダイエットにしても、飽和している食餌を
一時制限することで体内浄化をはかるという物。
これらに通ずる論説にはフィクションとわかっていても、
本当に効果があるのではないかと思わせられます。

マルキ・ド・サド、江戸川乱歩好きな私でも気分が悪くなったのは
自分にとっても無縁ではない、病気、介護、社会に根ざした
現実上の問題と猟奇のパラドックスだからだと思います。

ノンフィクション風フィクション
「ノンフィクションなの?」って思わせる見事な構成でした。ある医者が出版社に宛てた遺稿と、その遺稿を出版する担当編集者による注釈章の2本柱からなる構成です。本を出版するにあたり編集者が事実関係をいろいろと調査した内容が後者。この超リアルな構成がとっても気に入りました。この作家の独創性に驚きです。



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