ひとつ前に戻る

途中下車
高橋 文樹
価格: ¥1,260 (税込)

単行本
出版社: 幻冬舎
発売日: 2001/09
ISBN: 4344001192
おすすめ度:3.0
Amazon ランキング: 937329位
発送可能時期:

amazonの詳細ページへ
インテリゲンチャな近親相姦モノ
…といってしまえばそれまでですが、妹である理奈の魅力と、文学青年っぽい主人公の関係が、淡々としかしどこか寂しげに展開していきます。「アハッ」っと無邪気に微笑む理奈は、守ってあげたいと思う最たる女の子です。僕は妹属性100パーセントなので極めて主観的な意見となってしまいますが、近親相姦を扱った作品の中ではキャラクターの魅力からいってもNo.1だと思います。
一人称が妙に、リアリティをかもし出した
幻冬舎NET学生文学賞受賞作品。この高学歴にありがちな肥大した自我による押しつぶされそうな圧迫感は、書いた当時著者が東大仏文在学中だったことを考えると、納得だなぁ。

ようは、妹を愛してしまう近親相姦モノなのだが、それよりは、友人が自殺してしまう部分や、強い厭世観が、佐藤亜有子さんの『ボディレンタル』(これも新人賞だったな)や古くは夏目漱石や田山花袋を思い出させる。それも決まって、小説の中では自死の理由がわからない。でも、自明なんだけどねぇ。自分のプライドと世界への距離のバランスのとり方が、狂っているからなんだよね。そして、現在の教育制度は、そういう人種を継続的に作り出すようになっているし、それがうまく機能した部分があってこそ経済成長もあったわけだし。この厭世観は、日本社会エリートへの登竜門なのだと思う。と同時に、そういった連中がいかに、心が病んでいるかの象徴でもあるねぇ。日本近代100年の文学的伝統という感じがする。こういうエリート予備軍が、自殺、熱狂的な軍国主義、共産主義運動、新興宗教に走っていくさまは、容易に想像できるなぁ。う~暗い暗い。

作品としては、評価がし難い。たぶん、『ボディレンタル』も同様だけど、これは彼らの学生生活の雰囲気をそのまま一人称で表現しただけの日記(ある意味、なつかしの「私小説」か!)に過ぎないので、文学的力量を全く評価できないと思う。僕は、まぁ面白かったが、読むのにエンターテイメントを求めるならば、こんなブンガクしているのは、つまらんだろうし。妹に萌えたいなら『週間わたしのおにいちゃん』でフィギュアを購入する方が健全だと思う(笑)。本当の評価ができるのは、新人賞ではなく、その次に出てくる作品だと思うね。

一番印象に残っているのは、神戸にある日用品を扱うメーカーに就職が決まって(神戸にあるトリレタリーメーカーといったらP&Gしかありえないでしょ)、将来はヨーロッパに転勤するつもりだということ。この関係も、ヨーロッパかアメリカなら難しくなく継続できそうだし、妙にリアリティを感じた。

う~ん・・・・・?
従来の「兄妹もの」というと実は血がつながっていなかったというのがオチだけれど、この話では主人公と妹は本当に兄妹。だから、帯に書いてあった「ぼくは妹を愛し抜く」という言葉がすごく印象的だった。それで期待しすぎたせいもあるんだけど、なんだか読み進めていくごとに設定が安易だなと思い始めた。さらに作者の言葉使いもわざわざ難しい言葉でなんてことない言葉を修飾してて、なに気取ってるの?って感じがした。普通の大学生が主人公なら、それなりの言葉使いをしてほしかった。
兄妹の爽やかな恋愛物語
 物語は事故により両親を亡くし、兄妹の2人で生活し、愛し合う互いの姿を描いた作品。主人公で大学生の“ぼく”と高校生で4歳下の妹の理名。そしてその理名と名前が似ていることからコンパで出会い付き合うようになった麗奈、友人達とそれぞれの登場人物が展開にマッチしており、主人公達の青春像を描いています。兄妹の恋の形がテーマにもなっていますが、それは決して近親相姦が描かれているというものではなく、両親を亡くした重さを共有し合いながら、愛し合う姿が正直に描かれていて、決していやらしさを感じさせず、それよりも爽やかさを感じました。



本のみちしるべ Powered by Amazon Web Service