三崎さんの短編集で、9作品が収められています。
短い作品が多く、「もう少し膨らませたら、もっと面白いのに・・・」と、物足りなさを感じる作品もありましたが、三崎さんの世界観は健在です。
現実と隣り合わせの非現実。
発想は奇抜ですが、単なる空想物語では終わらせず、考えさせられるところもありました。
好みは分かれるかもしれませんが、非現実的な設定を素直に受け入れて読み進めると、そこに隠されたメッセージが見えてくるのかもしれません。
個人的には、表題作と「象さんすべり台のある街」が面白かったです。
鼓笛隊の襲来
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三崎亜記の最新作。
と言っても昨秋に出ていたんだけど、
ようやく読めました。
三崎亜記らしい、
独特の観点はおもしろい!
たとえば表題作は、
鼓笛隊を台風に見立てて、
鼓笛隊が日本を襲う。
まるで、過激な台風が日本を襲うかのように、
進路予報にある町の人々は、
人々は、おびえ、逃げ惑う。
しかし、
一昔前まで、鼓笛隊は、
人間と共存をしていた。
危険なものではない。
それを聞く、人間の心の問題でもあった。
人によっては取り込まれてしまい、
自ら鼓笛隊となり、
永遠の旅を続けなければならない。
主人公の女は、
施設から連れてきた義母から、
鼓笛隊は怖くないものだ、
と聞かされる。
半信半疑のまま、
いよいよ鼓笛隊がやってくる。
敵を持つもの、油断するものは巻き込まれていく。
しかし、女の家族は、
義母の教えとともに、
あたたかい気持ちで鼓笛隊を迎える。
そして、鼓笛隊は去っていく・・・。
最後の最後まで、
愛情を感じる三崎亜記の緻密さに、
いつもながら敬服。
そんな、
日常にある小さな違和感や、
何気ない言葉のイメージを膨らませた小作品がならんだ、
短編集。
あっという間に読めてしまうのが、
もったいないくらい。
また、
読み返したくなる、
魅力的な一冊です。
と言っても昨秋に出ていたんだけど、
ようやく読めました。
三崎亜記らしい、
独特の観点はおもしろい!
たとえば表題作は、
鼓笛隊を台風に見立てて、
鼓笛隊が日本を襲う。
まるで、過激な台風が日本を襲うかのように、
進路予報にある町の人々は、
人々は、おびえ、逃げ惑う。
しかし、
一昔前まで、鼓笛隊は、
人間と共存をしていた。
危険なものではない。
それを聞く、人間の心の問題でもあった。
人によっては取り込まれてしまい、
自ら鼓笛隊となり、
永遠の旅を続けなければならない。
主人公の女は、
施設から連れてきた義母から、
鼓笛隊は怖くないものだ、
と聞かされる。
半信半疑のまま、
いよいよ鼓笛隊がやってくる。
敵を持つもの、油断するものは巻き込まれていく。
しかし、女の家族は、
義母の教えとともに、
あたたかい気持ちで鼓笛隊を迎える。
そして、鼓笛隊は去っていく・・・。
最後の最後まで、
愛情を感じる三崎亜記の緻密さに、
いつもながら敬服。
そんな、
日常にある小さな違和感や、
何気ない言葉のイメージを膨らませた小作品がならんだ、
短編集。
あっという間に読めてしまうのが、
もったいないくらい。
また、
読み返したくなる、
魅力的な一冊です。
現実にはありえない設定なのに、言葉選びや話の進め方でリアリティを感じさせてくれる。「SF」「ファンタジー」が一切だめな私ですが、この人の作品は、短編・長編問わず、ぐいぐい引き込まれていきます。本当に上手い。
今回も、短編一つひとつが深く心にしみ入ってきました。たいてい、前向きな結末を迎えるのが好きです。たぶん、人間というものにとても期待している人なのではないかな。
今回も、短編一つひとつが深く心にしみ入ってきました。たいてい、前向きな結末を迎えるのが好きです。たぶん、人間というものにとても期待している人なのではないかな。
20ページ程度の短編が9話。「鼓笛隊の襲来」でぐっと心をつかまれる。不条理な現象をもなんとか受け入れてしまう日常のしたたかさ。そこにユーモアがちりばめられ、絶品である。「彼女の痕跡展」は、純度の高い不条理劇。存在そのものの不確かさに不安になる。
その後も、たった一つの不条理事象が侵入した現実と日常とが描かれる。ただ、理屈や観念でまとめようとすると、少し浅くなる気がする。彼の作品は、むしろまとまりのない方が闇の深さを感じさせる気がする。
その後も、たった一つの不条理事象が侵入した現実と日常とが描かれる。ただ、理屈や観念でまとめようとすると、少し浅くなる気がする。彼の作品は、むしろまとまりのない方が闇の深さを感じさせる気がする。
やっぱりこのひと天才だ、と常々感じる。
悲しくなるくらい、こういうひとが「物書き」なのだと思う。
傑作であればあるほど、くらくらと眩暈を感じる。
9つの短編からなる本作。
買ってからしばらくもったいなくて、寝かせておいたけど読み始めたらもうダメ。
読まずにはいられない。そして、この気持ちを残しておかなくてはいけない気がする。
まず、全体のタイトルともなっている【鼓笛隊の襲来】から、血の気が引く。
どうして?どうやったらこんな物語が書けるの?緩やかに鮮やかに、読む者に
衝撃を与え、巻き込む。まさにストーリー通りに。
実は三崎作品は、短編も長編も登場人物のインパクトはさほど強くない。
好きなキャラクターは、ときかれても困ってしまう。でも、誰もがしっくりと
その世界にはまっていて、「秩序がある」という言葉がぴったりくる。
ひとつひとつの感想を述べるのは愚だ。
三崎の世界は自分で読むことでしか近づけないし、初めて読むその時の
感動的とさえ言いたくなる、突き上げる気持ち・・・それを奪ってしまうことは
例え書評・読書感想文であってもしてはいけない気がする。
わたしの好みでいうと、【鼓笛隊の襲来】の秀逸さは圧倒的だが、
【覆面社員】【象さんすべり台のある街】も順当に好きだ。けどベスト3なら
【同じ夜空を見上げて】と【遠距離・恋愛】だろう。後者は心がじんわりと
あたたまるようのだけれど、ストレートにはやってくれない。こんなに短い
話なのに、ひとつひとつだけでエピソードを作れそうな、どこまでも濃厚で
なのにまったくそれを感じさせない、すとすとと通り過ぎるような読後感。
前者の話は、似たような話を他の作者で、他の物語で読んだ事がなくはない、
そんな物語ではあるのだけれど、泣いていいのか、微笑んでいいのか、
実に読者を困らせる。心を、掴む。
発想だけ、ストーリーだけ、筆致だけなら、他にも類似の作者はいるかもしれない。
だけど、それらを全て持ち合わせ、美しくタクトをふれるのは今のところ三崎が
ダントツだ。絶対に信頼して買える。裏切らない。そばにいて欲しい、そんな本。
悲しくなるくらい、こういうひとが「物書き」なのだと思う。
傑作であればあるほど、くらくらと眩暈を感じる。
9つの短編からなる本作。
買ってからしばらくもったいなくて、寝かせておいたけど読み始めたらもうダメ。
読まずにはいられない。そして、この気持ちを残しておかなくてはいけない気がする。
まず、全体のタイトルともなっている【鼓笛隊の襲来】から、血の気が引く。
どうして?どうやったらこんな物語が書けるの?緩やかに鮮やかに、読む者に
衝撃を与え、巻き込む。まさにストーリー通りに。
実は三崎作品は、短編も長編も登場人物のインパクトはさほど強くない。
好きなキャラクターは、ときかれても困ってしまう。でも、誰もがしっくりと
その世界にはまっていて、「秩序がある」という言葉がぴったりくる。
ひとつひとつの感想を述べるのは愚だ。
三崎の世界は自分で読むことでしか近づけないし、初めて読むその時の
感動的とさえ言いたくなる、突き上げる気持ち・・・それを奪ってしまうことは
例え書評・読書感想文であってもしてはいけない気がする。
わたしの好みでいうと、【鼓笛隊の襲来】の秀逸さは圧倒的だが、
【覆面社員】【象さんすべり台のある街】も順当に好きだ。けどベスト3なら
【同じ夜空を見上げて】と【遠距離・恋愛】だろう。後者は心がじんわりと
あたたまるようのだけれど、ストレートにはやってくれない。こんなに短い
話なのに、ひとつひとつだけでエピソードを作れそうな、どこまでも濃厚で
なのにまったくそれを感じさせない、すとすとと通り過ぎるような読後感。
前者の話は、似たような話を他の作者で、他の物語で読んだ事がなくはない、
そんな物語ではあるのだけれど、泣いていいのか、微笑んでいいのか、
実に読者を困らせる。心を、掴む。
発想だけ、ストーリーだけ、筆致だけなら、他にも類似の作者はいるかもしれない。
だけど、それらを全て持ち合わせ、美しくタクトをふれるのは今のところ三崎が
ダントツだ。絶対に信頼して買える。裏切らない。そばにいて欲しい、そんな本。



