ひとつ前に戻る

ひなた
吉田 修一
価格: ¥1,470 (税込)

単行本
出版社: 光文社
発売日: 2006/01/21
ISBN: 4334924832
おすすめ度:4.0
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同居と別居
いろいろな大人がそれぞれに生活していれば互いに何の関係も持たないのだけれど、
ひとつ屋根の下に暮らせばいろいろと関係が出てきます。

夫婦と独身の次男が住む核家族の家に長男夫婦が同居を始め、次男が出て行きます。
親夫婦は仕事で外国で暮らすようになります。
さらにはちょっとゲイっぽくって、長男に気がある人が一緒に住み始めます。

それぞれの人がいろいろに生きているんだけど、同じ家に住んでいたり、かつて
同じ家に住んでいたということで、ひとつの関連のある全体像ができあがってきます。
中心にあるのは家なんです。
家を象徴するのは暖かいひなた。

ちなみにこの家は、東京の小日向にあります。
かげ
誰もが影の部分を持っている。
それは秘密と呼ぶのかもしれないし、傷と呼ぶのかもしれない。
それを共有することが、共有できる関係が、家族、友人なのか?
答えはNoだ。全てを共有すれば人間関係は破綻しかねない。

どんなことにもバランスがある。
弱い部分があるから強い部分が生まれるし、
傷を持っているから他人にやさしく出来る。

人は他人の完全さに憧れ、他人の不完全さを好きになる。
いまいちでした。
男女4人がそれぞれ話しを進めていく。
春夏秋冬で1年間をそれぞれがそれぞれの立場で
他の3人と周りを取り囲む人々の現状も踏まえながら話を続けていく。

それぞれが何かしら不安や悩みを抱えながら、
日々の生活を送っている。
そこに誰しもがもつ不安感や焦りなんかが上手くちりばめられているような気がする。
まぁ、あんまり出生の秘密を持っている人は少ないかもしれないけど。

あるひとりが言う
「女が働き続けるのには理由がいる。」
多分結婚している女性のことだと思うけど、
普通に満たされていたら
働かなくてもいいんじゃない?みたいな。
それが彼女の悩みだったりしたんだろうな、と思う。

ただ、筆者がどう思っているか知らないけれど、
これは女性を軽く見てるよね・・・って感じがしました。
問題提起かもしれないし、実際そう思っているのかもしれないんだけど。
彼の作品には時々「?」って思う表現があって
それが本人の気持ちなのか、問題提起なのか、未だにつかめません。
まぁ、自分が大げさに考えているだけかもしれませんが。

タイトルは「ひなた」ですが、
明らかにこの4人は日陰の部分が多いような気がします。
だからこそ彼らに必要なのは「ひなた」なんだろうな、って思います。

あ〜でも、今まで読んだ彼の作品には
よくゲイもしくはゲイ的行動が描かれてます。
必要性・必然性があるのか?どうなのか?
単に話のアクセントとして使いたいのか?
非常に微妙です。
働く理由。
とある家族を4人の人間に語らせた話。
良くある感じだけど、独特のほんわりした雰囲気で楽しく読めた。

出生に秘密のある兄弟と、その彼女、妻の視点でそれぞれ春夏秋冬を
語り、1年を通じて家族像とか仕事を持つことの意味などが語られている。

「(結婚をした)女が働き続けるには理由が要る」と言う文が、男性の
著書に出てきたのはちょっと意外だった。

『ひなた』と言うタイトルで暖かい雰囲気を出しつつも、家族の中にある
『日影』の部分にスポットを当てたように思う。
日常生活が不安定なものであること
 大学生の大路尚純と彼女、尚純の兄と兄嫁の男女4人が、それぞれの立場から語り手となり、ひとつの小説を構成している。吉田修一の読者にとってはお馴染みの手法だ。今回は4人の“書き出し”を合わせるといったお楽しみ的な細工も見られる。
 「JJ」連載ということで、女性主人公は兄嫁が雑誌編集者、彼女がアパレルの広報といった「月9」ばりの流行り職業だが、男性のほうは兄が信金勤務、弟がフツーの大学生といたって地味、さらにはプレスの彼女も実は族上がり、こうした予定調和でない設定が逆にリアリティーを生んでいる。本作は4人の視点によって、大路家周辺の家族関係、夫婦関係、友人関係の表層と深層を描き、一見、賑やかで和やかで安らかな日常が、不倫や同性愛や出生の秘密に支えられた不安定なものであることを示している。「東京湾景」は実際「月9」になってしまったわけだけど、甘いコーティングに潜む毒を描くことこそが吉田修一の本質なのだと思う。そして闇を抱えながらも日常を生きていくことを是とする前向きな現実主義と楽観主義に救われる。
 なんでもない風景が実は不安定で歪んだものであることを教えてくれる安村崇の表紙写真も、作品内容にマッチしている。



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