雰囲気的には、
小川洋子さんに川上弘美さん色と江國香織さん色が入って、
生々しいところが無くなった。という感じか・・・?
恋愛小説は好んでは読まないのだけど、
恋愛なのか、人生観なのか、不思議物語なのかよく分からないまま
冷たい転びのぬるさの中で物語が進行してゆく。
虚無に近い寂しさを予感することもなく。
不思議そうなのだけど、現実感はきちんとあって。
登場人物はスッキリと美しい。
題と同じ温度感のある文体が好い。
読後に何か残るかというと、この温さ以外は無いかもしれないが、
そういった浸透度の高い作品が好きな方に。
売れっ子童話作家である不倫相手に見下されている若くない、売れない童話作家の女・・・、これは負け女話かと楽しみに思い読み進める。
いくらもしないうちに、女が結婚していることがわかりがっかり。ただのW不倫か。(しかも彼女の夫はなかなかの良い男)
不倫相手以外にも女たらしと噂の若い男とトキメキあったり、不治の病を宣告されたり、でも最後には・・・。
そのあまりの展開が、かえって笑える。
この主人公が実際にいるならば、その勝ちへの嗅覚に是非弟子入りしたい。
主婦の童話とでもいうか、するりと読める文体です。
前作「もう切るわ」というタイトルのひやりとした感じが忘れられず購入してしまった。余命いくばくもない、と宣告された人妻が若者と恋に落ちる…と、
あらすじだけを書くと随分メロドラマのようだ。だが、読んだ感触は全く違っていて、もうすぐ死んでしまう、という主人公の不安定さと登場する老婆や若者の不安定さが奇妙にシンクロしてそうっと関係が培われていく。そのそろそろ、ゆらり、とした感じこそが「ヌルイコイ」という所以なのだ。
中途半端なことをヌルイというのなら、このタイトルのヌルイは、ちょっと違うだろう。不確かなものに囲まれて、やっとわかる確かなもの。著者が伝えたいのはヌルイ水の中でちかっと痛みを感じるような熱なのかもしれない。