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恐るべき子供たち (光文社古典新訳文庫)
コクトー中条 省平中条 志穂
価格: ¥540 (税込)

文庫
出版社: 光文社
発売日: 2007/02/08
ISBN: 4334751229
おすすめ度:5.0
Amazon ランキング: 26064位
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短い割に内容が深い・・・深すぎて底が見えない!
一部では姉弟の近親恋愛モノだの元祖ツンデレだの言われてますが、もーーっと奥深い何かがあるように思えます。
それを説明できるほどの読解力や表現力が無い自分がもどかしいのですが・・・・。

愛情とも憎悪とも言いがたい奇妙(あるいは不気味)な関係や、友人との共同生活、黒い毒薬を手に入れてから等、
各ポイントごとに変化していく登場人物の心情を読み取っていくのが面白い。

ところで本作の最大キーパーソンであろうダルジェロスは何者!?
子供部屋の劇場の中で
まさに「小説」といえるような、文章も物語も美しい本。

この物語は、シェイクスピアのような「劇場意識」が強い。
舞台は、子供だけの混沌の空間の「子供部屋」で形作られる。
子供部屋の住人でいられるのかそうでないのかが、物語の大きなポイントとなる。
けっきょく、最後まで「子供」でいられたのは、ポールとエリザベートの姉弟だけだったが。

コクトーの挿絵が入っているのが、この本の大きな魅力。
ふたりの姉弟への思い入れが、さらりと描かれた絵からよく伝わってくる。
名作がより身近になる名訳
この光文社古典新訳文庫シリーズは素晴らしいですね。
古典翻訳モノは往々にして読みにくい印象がありますが、そんな思いを払拭してくれます。
ただしそれ以前に、
「コクトーの原文は分かりやすいのか、といえば、分かりやすいとはいえないところもある」
と中条省平さんは、訳者あとがきで述べています。
たしかに。圧倒的なイメージで紡ぎ出される物語に、置いてけぼりを食らう読者がいることも理解できます。
しかし一旦波に乗ってしまえば、あとはもうコクトーのめくるめく世界観に身をあずけるのみ。
何がすごいって、登場人物が喜び、怒り、悲しみ、笑う様の生々しさ。
ラストへ向かうエリザベートの一大芝居あたりからは、息をのむ展開です。
登場人物に命を吹き込んだかのような、コクトーのイラストもお見事。

永遠の子供たち。鋭い刃物のような、過激で繊細な物語です。
カタストロフィーへと向かう宿命の悲劇。読みやすい訳文でした
 大詰めのカタストロフィーに向かって疾走する宿命の悲劇を、劇場に座って観客席から眺めている気にさせられた作品。作者が描いた60点ほどのイラストが作品の中にちりばめられていたのが、本書の魅力を間違いなく高めていました。さらさらっと描かれたコクトーのデッサン、よかったなあ。
 二歳年上の姉エリザベートと、弟のポールとの、近親相姦的な愛の悲劇が、この作品の主旋律を奏でています。このふたりに、ジェラール、ダルジュロス、アガートといった人物がからまり、姉弟の間に協和音と不協和音を生み出すという構図。登場人物のなかでは、運命の糸を紡いでゆくエリザベートの存在感が大きく、実に魅力的でした。本作品を映画化したジャン=ピエール・メルヴィル監督の作品(1950)では、ニコール・ステファーヌという女優がエリザベートを演じています。
 さらに、ポールを精神的に支配している同級生のダルジュロス。コクトーのイラスト「雪の球を丸めるダルジュロス」で、きりりとしたハンサムな美少年として描かれていた人物。巻末の中条省平さんの解説の中に、≪三島由紀夫もこの人物を偏愛していた≫と記されていましたが、このキャラクターにも大きな魅力を感じました。
 ところで、訳者の中条省平さんの解説文。実に的確にこの作品の魅力の骨子を明らかにしていて、素晴らしかった。あまりに明晰な分析がされているので、コクトーの小説読了後にお読みになることをおすすめします。



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