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鼻/外套/査察官 (光文社古典新訳文庫)
ゴーゴリ浦 雅春
価格: ¥680 (税込)

文庫
出版社: 光文社
発売日: 2006/11/09
ISBN: 4334751164
おすすめ度:5.0
Amazon ランキング: 78325位
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落語調、賛成です!
ゴーゴリの中でも特に「鼻」と「外套」は大好きな作品です。

「鼻」は設定からしてありえない(ある役人の鼻が取れて、その鼻が人格を持ち勝手に一人で生活を始めてしまう)のですが、妙な現実味があり抵抗なく読めます(短いし)

「外套」は別に奇天烈というほどの筋ではありませんが(最後に亡霊は出てくるけど)、かわいそすぎる小役人の見事な(?)描写を眺めるだけで十分この作品を読む価値があります。

どちらもまず一回読んだら忘れられなくなるでしょう。

この2作品はすでに岩波文庫で読んでいたのですが、今回新訳が出たと言うことで再度読んでみました。今回の新訳では全て落語調にされており、これが非常によくマッチしてます。軽快でキレがあり、ゴーゴリの魅力がよく引き出されていると思いました。

「査察官」は初めて読みましたが、戯曲でちょっと分量もあるので、全て落語調で読み通すのは少し疲れました。しかしなかなか面白い筋立てだなとは思いました。世界各国で繰り返し演じられているのも納得です。

今昔物語や、それをリメイクした(と言ったら芥川ファンに怒られるか?)芥川作品、星新一などが好きな人はぜひ読んでみてください。「落語調なのはどうなの?」と思われる人は岩波でどうぞ。こちらの訳も秀逸で、十分楽しめます。
「ロシア文学」にもこんな作品が・・・
この本を読んで、「ロシア文学」の先入観がいかに誤っていたものか解りました。今まで、「ロシア文学」は、暗い・真面目な作品ばかりだと思っていました。

ところが、このゴーゴリの作品は「落語」でした。
訳者が、「解説」で敢えて「落語」調の文体で訳した経緯を書いていますが、その文体だけでなく、物語自体が「熊さん、八さん」の世界です。
それだけ「笑い」に満ちた物語で、役人たちを揶揄しまくります。
その「笑い」は、「上」を笑い飛ばすだけでなく、自虐的でもあります。

もう一つの特徴は、その発想のユニークさです。
鼻が勝手に独り歩きしてみたり、外套を新調した途端に世界が変わってしまいます。
そうした独創性に満ちた物語ですが、一方で、細かなところまで詳細に描写されています。
この何とも言えぬアンマッチが、読者を引きつけてやみません。

「ロシア文学」への偏見から解放してくれる一冊になりました。
こりゃ面白い
 亀山先生の「カラマーゾフ」新訳をきっかけとしてかどうか、俄然ロシアのねくら文学の面白さが再評価されつつある。「カラマーゾフ」でもわかるように、ロシア文学というものはもともとこんなに面白かったのだ。本書の解説等を読むとわかるが、ゴーゴリ自身が21世紀平成ジャパンに跋扈する「おたく」野郎そっくりではないか。 また9等級だか14等級かは知らないが、ここに出てくる主人公の下等官吏の悲喜劇は、居酒屋タクシーと仲良くする都下の魑魅魍魎役人と大差ない。

 それにしても、革命前のロシア人はどうしてこれほどまでにもおしゃべりなのだろう。一人で文庫本1ページ以上をしゃべりまくる。これを浦雅春が軽妙な落語調の翻訳に仕上げてしまったのだから面白くないわけがない。
 ML主義による革命後は、現代もそうだが秘密警察の怖さもあって、庶民はなかなか本音をしゃべらないし、しゃべらされない。文学者は書けない、書かない、書かされない。

 1世紀以上も前にこんなにも面白い小説が書かれていたということ自体が驚きであると同時に、今の時代、大して面白くもない現代小説を高い金を払って読むよりも、これらの古典をもっともっと読んだほうがよほどいいような気がする。
生きるとは快楽の花摘むことと見つけたり
なんと、この本落語調で訳されてます。
賛否両論あると思われますが、僕には
読みやすかったし、斬新でした。

「鼻」なんて今にも「江戸っ子でい」とか
言い出しそうで楽しめました。
しかし、落語調なだけで落ちがないのが残念
でした。

「外套」はむかし読んだ時は、暗いみじめな
話という印象でしたが、語りによってここまで
全体の雰囲気が変わるのかと、驚きました。

「査察官」はあの有名な「検察官」の事です。
登場人物みな悪党の喜劇。狐と狸の化かし合い。
「手前のつらがひどいのに、鏡を責めるお馬鹿
さん」このことわざまでも落語調なのがすごい。
ひとつ気になったのが市長のセリフ、
「その手は桑名の焼きハマグリ」ってのがあって
もー舞台はどこなのかと(笑)

なにはともあれ、ゴーゴリなんていう硬いイメージ
の文豪を、ここまで斬新に読みやすく訳して下さっ
た浦先生に感謝です。
そうか、落語と思って読めばいいのか。
 「鼻」や「外套」は、私にとってはわかりにくい世界でした。鼻が一人歩きする話。外套に執着する男の話。以前他の翻訳で読んだときは、「やけにシュール」で突飛な話しなのに重たい感じがし、取りつきにくいままで読み終わってしまった、という印象のみが記憶に残っています。
 今回この翻訳を読んで、なにか、すとん、と腑に落ちました。そうか、落語と思って読めばいいのか。笑い飛ばしながら、皮肉や、哀感も感じればいい。
 落語風の翻訳はこの著者が初めてではないそうです(と、あとがきにあります)。その前例にめぐり合っていなかったのが私の不幸であったのかもしれません。ともあれ、この翻訳に出会って、苦手感は随分薄れたことは事実。こうやって読むと、ゴーゴリの短編は私にも面白いものでした。
 戯曲である「査察官」(これまでは「検察官」と訳されていたことが多い)も、この訳でもすでにどたばた喜劇の面白さが充分出ています。ついでに落語に書き換えてみたら、とおもいました。どうぞ、どこぞで試して読ませてくださらないでしょうか。こんなお話しを書いた人ですから、ゴーゴリさんも笑って許してくれそうに思います。

 できたら、これらの話を高座でどなたか落語家さんに語ってもらいたいです。ほかの古典名作などにも、結構落語にしたらよさそうなものはありますね。「古典新訳落語」って、結構いいかもしれない。そんなことまで思った新訳でした。



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