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飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)
ケストナー丘沢 静也
価格: ¥500 (税込)

文庫
出版社: 光文社
発売日: 2006/09/07
ISBN: 4334751059
おすすめ度:4.5
Amazon ランキング: 82314位
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「犬のように」忠実な翻訳
mocoさんのレビュー(2007/9/12「翻訳が特殊です」)に驚いた。「訳者が足した説明」があるから、というのが理由らしい。
そこで、光文社文庫と、もっとも信頼できる版の原書と、mocoさんおすすめの講談社文庫をならべて、読んでみた。

その結果、光文社文庫の翻訳は、とても原書に忠実だった。訳者は、カフカ「変身/掟の前で」の訳者あとがきで、「オリジナルにたいして犬のように忠実に」が翻訳の方針だと書いているが、それはこの「飛ぶ教室」にも当てはまる。

mocoさんは、講談社文庫を物差しにしてしまったから、「特殊」だと思ったのだろう。
むしろ講談社文庫のほうに、ちょくちょく訳し忘れがある。たとえば、光文社文庫139ページ2行目〜5行目の部分などが、すっぽり抜けている。最後まで「原書と見比べた」なら、すぐ気づくはずだ。あるいは、mocoさんの見比べた原書が、まともなバージョンでなかったのかも?

そうそう、光文社文庫で最初のほうに一箇所だけ、「訳者が足した説明」を見つけた。Tertianerの翻訳だ。「ギムナジウムというのは、9年制の中高等学校のことだ。大学進学予定の子どもが、4年間の小学校をすませて10歳で入学するのだが」(19ページ5行目〜6行目)と追加している。
mocoさんは、これに気づいたのかもしれない。しかしこれは、「訳し込み」という翻訳のテクニックだ。
光文社古典新訳文庫は、訳注はつけない方針らしいから、「訳し込み」が必要になることがある。「飛ぶ教室」の話の舞台である「ギムナジウム」については、どうしても説明が欠かせない。だが目立つ「訳し込み」は、この一箇所だけだった。

最初から最後まで、じっくり原書と見比べながら読んでみて納得したのは、ケストナーの古びないスマートなドイツ語が、カットされず忠実に、良心的に翻訳されているということだ。
いいな、不自由じゃなくて
不思議な題名に惹かれて小学生のころに読んだはずだけど、記憶が薄れて、しょせんは子供の文学さという気持ちがあった。古典新訳文庫に入っていることに驚き、思わず手が伸びた次第だが、大人が読む作品とわかって二度吃驚! グッときた最大のポイントは、少年たちと大人二人の素敵な交流、というより、その交流が大人と子供という、節度も理由もない決めつけから抜け出して、かえって節度ある人と人との交わりが描かれている点だ。そういえば、昔はこういうふうに、面と向かって自分を一人前に扱ってくれる大人が、身のまわりにもいたはずだよな。いまの自分がそうである自信はまるでないけれど、その記憶が妙に新鮮に、そしてヴィヴィッドに蘇ってしまった。人生はかくあるべきもの。さすがケストナー、そして訳者。かわいい孫や子がいるまだ若い人という人たちに、とくに一読をおすすめします。
「基礎」としての『飛ぶ教室』
 ひどく登場人物はステレオティピカルで、そこがこの『飛ぶ教室』の最大のミソである。類型的だからこそ、読者は本の中に入り込む努力を少なくして、イメージを受け取ることができるのだ。その削ぎ落とされた感覚が、温かいストーリーとあいまって読者を感動させる。完璧で、堅牢なのだ。ところどころに出てくる、狙いすぎの感もあるアフォリズムもピタリと決まってるし、ストーリーもストンと落ちていて読後感も良い。

 そのような意味で、小説に求められる、基礎的な要素がこの本に詰まっている、と感じた。

 ただ、所詮児童文学だろ、とバカにしながら読むと、類型的な人物が鼻についてしまい、楽しめないのかもしれない。

 あとがきの辛辣さもこの本の愛すべき点である。光文社の新訳文庫は、あとがきが中々面白いので結構気に入っている。
飛ぶ教室にのって
この本が上梓されたのは1933年ということに驚いた。ドイツでナチスが政権をとった年である。
そう考えると、この本にこめられたメッセージについて、しみじみ考えさせられる。

「賢さのない勇気は野蛮であり、勇気のともなわない賢さは冗談でしかない」
「なにを悲しむかではなく、どれくらい悲しむかということだけが問題なのだ」
「大人はどうして忘れるのだろうか」

少年5人組の物語にしろ、先生の物語にしろ、どうしても「きれいすぎる」と感じてしまう部分があるのは確か。
しかし、何回も警察にとっ捕まりながらも国内にとどまり、こうした物語を書き続けたケストナーの境遇と心境を考えると、メッセージはきっと、現代に生きる私が思っている以上にずっと重いのだと思う。

「飛ぶ教室」にのって、心を1930年代に飛ばして読んでみると、また別の読み方ができるかもしれない。
挫折しない古典
内田樹が影響を受けた本に「飛ぶ教室」を上げていたので
気になって、講談社文庫版を取り寄せてみましたが、これが読みにくい。
こりゃこまったなー話の流れがつかめんわい。と思って途中で投げ出して
しまいました。
そして、今回の光文社新訳古典文庫、期待しましたよ。
なんたって、今の言葉で翻訳しなおしたというではありませんか。

おかげさまで無事に読破することが出来ました。しかし、肝心の物語は
それほど心に響くものではありませんでした。
当時のドイツという時代背景を知っていれば、また違った読みもできるのかも知れませんが。

挫折しない古典ということで、星4つ。
次は「カラマーゾフ」に挑戦だ。



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