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神様からひと言 (光文社文庫)
荻原 浩
価格: ¥720 (税込)

文庫
出版社: 光文社
発売日: 2005/03/10
ISBN: 4334738427
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 49138位
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クレーム対策のプロフェッショナル
お客様相談室での対応がおもしろかった。特にやくざとの立ち回りがうまく描かれていて楽しめた。普通ならヤクザにびびってお金を払ってしまうところを、下手にでながらもうまく立ち回り、みごとに退散させてしまった。また、それ以外でもお客のクレームの内容、対応の仕方など、サラリーマンとして学ぶことが多い本だった。ただ、この食品会社の商品に対する対応は酷すぎでもし現実問題としてここまで酷い会社があったらすぐに倒産するだろう。古い体質の抜けない重役陣、部下を評価しているとみせかけて私利私欲に走る副社長など、自分なら絶対に就職したくない企業である。
おもしろかった〜
と、読み終わると元気の出る本です。

正直、あまり期待して手に取ったわけではなく、適度な厚みが通勤電車に最適かな〜くらいの気持ちでした。
タイトルも、あんまり好みではなく・・・。

しかし、読み進めていくうちに、一気に読み終わってしまう作品です。

一サラリーマンでもある私の会社でも、ここまでひどくないにしても、理不尽なことは山ほど。
人の犯した失敗のために、ましてや上司の犯した失敗のために、どうして自分が謝らなければならないのか?!と日々腹を立てては、どうにもならない日常に失望。
上司同士の争いにいつの間にか巻き込まれて、痛い目を見ることもしばしば。
それでも、この東京には地雷は埋まってない!!(いや、戦争の負の遺産である不発弾はたまに埋まっているけれど)
そう思うと、どうにかしてでも人間生きていける気になるもんだな、と思いました。

暇な日曜日に一気に読んだもので、なんだかブルーマンデーにさわやかに出社することが出来ました(笑)
ラストはもう少し頑張って欲しかったという思いが残った
小説として誇張された面はあるが、この作品に書かれている
会議の様子や、派閥・保身などの姿は、サラリーマンなら
誰しも共感できる部分があるのではないだろうか。

主人公が「お客様相談室」へ異動させられ、クレーム処理に
奔走する様子は非常に面白く読めた。
特に恐喝に来たヤクザ者への対応などは痛快である。
「お客様相談室」の先輩である篠崎のキャラクターも、うまく
書けている。

ただ、ラストが物足りない。
サラリーマンとして奮闘する主人公の姿が面白かった分だけ、
もう少し頑張って欲しかったという思いが残った。
前を向いて歩くということの意味
お客様相談室の仕事はつらい。
僕は新人の頃、キャンペーン事務局やとあるブランド商品のお客様相談室の
オペレーション業務に携わったことがあるので、この小説の舞台はよく理解できる。
「お客様の声は、神様のひと声」、珠川食品の社訓であるこのフレーズは
真実ではあるが、そうではないこともしばしばある。

個人的な過失や失敗が原因で話をするわけではないだけに、
お客様相談室の仕事は並大抵の神経で到底勤まらない。
そして悪意のあるクレームや恐喝の類であれば話は長くなるのだ。

チンピラがキャンペーンの誤植を逆手にとってユスリをかけてくるシーン。
上司・篠崎は訪問ではなく、会社へ来てもらうことで事を有利に運ぼうと画策する。
その手法は鮮やかであるし、神経の図太さがモノを言う方法である。
読んでいる者としては緊張感を感じながらも痛快さを楽しめる場面だった。

余談ではあるが、僕もユスリの体験を受けたことがある。
中年女性であったことから、一人で訪問謝罪に訪問し軟禁された。
僕では金にならんと踏んだのだろう。その場で上司に電話させられた。
隠語のやり取りで上司に状況を伝え、助けを求める。
できる限りの金額で手を売ってもらい、解放されたのだが
このときの体験を考えると今の仕事のピンチなんてどうってことはない。

作者も書いているが、会社や仕事なんかのために死ぬな。
死ぬほどつらいのは、生きている証拠。そうだ苦しいときは永遠には続かない。
もちろん本当に命が懸かってしまうことや経済的な困窮に見舞われることは
絶対にないとはいえない。でも、日本という社会に生きている以上
取り立てて無理をしなくても、少しだけ頑張ってい続ければ
小さないいことだってたくさんあるし、自分も成長していける。

主人公・涼平は僕らのような中途半端な若者の象徴である。
プライドだけが高く、ピンチに弱く、自分の能力を過信する。
僕は自分の半端さ加減を自覚することができた幸運な一人である。
そう、半端者であることを自覚できないことの不幸は
人生の大きな損失である。

サラリーマンの悲哀と成長を感じるために
そして自分の姿を投影させて大切なものへ向き合うために
きっかけをくれる一冊である。
爆笑の中にもリアルな会社という組織
広告代理店で働き、転職している私には、
そのヌルイメーカーの感覚が
とてもリアルに感じられた。
著者の人生の断片がよく感じられる。

主人公と篠崎さんとの微妙な関係。
他にも荻原作品のサラリーマンものでは
一番傑作だと思いました。
中小企業に限らず、一族で組織を支配している
老舗の大企業でもよくある話。
(最近では、某有名料亭、食品メーカーでの偽装問題)

会社員として苦闘している20代から30代には
必読の小説だと思います。


充分ありえる物語。



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