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不思議の国のペニス
羽田 圭介
価格: ¥1,050 (税込)

単行本
出版社: 河出書房新社
発売日: 2006/10/19
ASIN: 4309017886
おすすめ度:3.5
Amazon ランキング: 255921位
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3期待はずれ
正直な所、面白くなかった。
著者の処女作「黒冷水」が余りにも僕の心を打ったので、この作品にも大きな期待を抱いていたのだが見事に裏切られた。
主人公は自称エロセレブの男子高校生。二つ年上の女と、SMならぬSS関係を続けている。果たして二人の恋の行方は…
文章は読みやすく、全体の長さも短い。ただ、その本の薄さ同様に内容も薄い。
SMやSS、その他登場する多くの濃いエロアイテムに比べ、二人の心模様や物語の進展は簡素でありきたりだ。
この程度の「青春小説」なら、世の中にゴマンと溢れているだろう。
ただ、主人公の高校で繰り出される卑猥な話、それは非常に適切な描写で、自分の高校に相通じる所もあった。
それを共感と呼べるかは分からないが。
5生きた登場人物
なによりも登場人物が生き生きとしていて良い。純文学にしては珍しくストーリー性があり(といってもサスペンスや感動系とは違い)、一気に読んだ後、気付くと色々な事を考えているという感じの読後感。図書館で見たときは借りられなかったが、こんな内容なら発売した直後にでも買っておけばよかった。おススメです。ケータイ小説なんか卒業して、こういう作品が読まれるようになって欲しいものです。次作は何を書くんでしょうかね?
5「俗」をまとった日本近代文学の先導作品
下ネタが駄目な人、真面目な人は、タイトルからして拒否反応を受けるでしょう。そして作者のデビュー作に感激してこの作品を読んだ人も、全く違う内容に戸惑うのかもしれない。

しかし、この作者は同じ事を書き続けているような気がする。
執拗な観察眼でもって、世の中を容赦なく見続ける「羽田圭介」。一作目が「机覗き」なら、今作は「包茎(隠す・見せる)」。

ともかく安易にメタファーのつけやすい「性」というものから、作者は「意味」を剥がそうとしている。
行きずりのセックス、不倫、同性愛、失恋、恋人の死、純愛……。日本の文学のほとんどは、メタファー性の強い「性」を題材にすることにより、本当は何も書かれていないのにも関わらず「何か書かれているような錯覚に陥る」作品ばかりで溢れている。それは昨今の純愛小説ブームだけでなく、明治期からずっと続いている。
作者は、そんな幻影にさせられた「日本文学」の皮を剥き、裸の純文学を近作で作り上げた。

性をただの記号と捉え、その上で登場人物たちの心理描写を紡いでいる本作は、大袈裟ではなく日本文学史上初の、「脱・性メタファー小説」だ。

とにかく後半の馬鹿馬鹿しい描写も活きていて、そういう笑える箇所もあるのが評価高いです。

作者に求められる課題としては、作品をコンスタントに出してゆく継続力でしょうか。
1濃いアイテムでごまかした薄っぺらい話
SSプレイやエロセレブを目指してアダルトショップ通いなど、濃いアイテムがいっぱいでてくるのに、人物には魅力が全くない。彼女が欲しい、エッチがしたい、包茎に悩む、そんな一般的な男子高校生が何人もでてきて、エロ話や寒いギャグをわぁわぁ話すだけ。この手の寒いエロ話のやりとりは、男性だったら「あ、高校時代そのもの。懐かしい」と思ったりするのですかね。私は女性なので「寒い、つまらない、くだらない」という風にしか思いません。そう、小説ではなくて、ある男子高校生のつまらない日記(本人はすごく面白いと思って書いている)を読まされたかんじです。
終わりの方に、「青春小説にこれは欠かせませんよね」とでも言うかのように、文化祭のエピソードが中途半端にでてきて、そこで主人公はライブをやって好きな子の気持ちを掴もうとする。
タイトルやアイテムに比べ、これでもかってくらいに薄っぺらい話。
買った事を後悔します。二度と読み返しません。

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