空海が唐に渡り、楊貴妃の謎に関わりそれを解明し、密教を得て帰国するまでのお話です。
厚さ3センチの単行本4冊、という大作。ですが、・・・獏さん、ごめんなさい。量の割には感動がいまひとつでした。
理由はいくつかあるでしょう。一つは、空海と逸勢(はやなり)がどうしても「陰陽師シリーズ」の晴明と博雅と同工異曲に思えてしまうこと。空海が呪術で妖物に対応するところもそうですしね。もう一つは楊貴妃の謎の原因。唐を滅ぼそうとまで至った原因としてはちょっと個人的に過ぎるようなものではないでしょうか。そのぐらい大きな恨み、が想像できない読み手の不徳、かも知れませんけれど。
「哀しみを失くすことはできないけれど、それをはっきりと知ることによって、人は哀しみの前にたつことができる」などの、獏さんの仏教感というか世界観があいかわらず良く出ています。
史実、詩歌の引用も多く、漢文と下しがき、その訳まで載せて下さっているのでもう一度勉強にもなり、じっくり雰囲気を味わえると言えばよいのですが、ちょっと紙数増やし手段にも思える残念感も。
陰陽師シリーズを知らない方が、新鮮によめると思います。魔獣狩りシリーズを読んだ方は、「おお、空海はこんな風か」と発展を感じるでしょうし、「涅槃の王」読者は著者の仏教感がどう変わったか、を読むかもしれません。
ご本人絶賛、のあとがきのわりには、と言うところでした。休みの日、他に何もしないでゆっくりしたい時などに4冊積んで浸ってみるには良いかも、というところでしょうか。
本書は面白い。弘法大師が遣唐使として生活している唐での活躍を描く第一弾である。フィクションだが、歴史上で勉強になる点も多く、時代考証うんぬんと言うより、ただひたすらに楽しんだ。快感である。一気に読み尽くせるところも嬉しい。話は途中で終わってしまっているので、速く「巻ノ2」を買いに行こう!
今まで空海にも、夢枕獏にも縁のなかった私。たまたま父親が図書館から借りてきた「沙門空海・・・」を暇つぶしに読んでみたら、、はまった!
唐の皇帝にまつわる奇奇怪怪とした事件を、遣唐使の一員として唐の都長安に密教を学びにきた空海が解き明かしていく訳ですが、
①世界史で聞きかじったことのある人物が事件の鍵をにぎっていること、
②漢文の時間に習ったことのある詩人が登場し、事件に絡み合う人物として登場すること、
③今までお坊さんとだけしか知らなかった空海が異国の地長安で唐の最高秘密に深くかかわっていくこと、
④密教や仏教、拝教など唐の長安を色づけていたアジアの宗教が盛り込まれ、それぞれの宗教の術が繰り広げられていること、
など、今まで学校で習ってきたことがこの「沙門空海・・・」の中で如何なく発揮され、味わい深いものとなっています。
「夢枕獏」という名前がちょっと抵抗あるよ、とか「空海」なんて年寄りが読むんじゃないのとか思っている人にぜひ読んでほしい本です。きっと目から鱗間違いなしですよ。