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ルー=ガルー ― 忌避すべき狼
京極 夏彦
価格: ¥1,890 (税込)

単行本
出版社: 徳間書店
発売日: 2001/06/23
ISBN: 4198613648
おすすめ度:4.0
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   国による中央集権的なデータ管理が進み、他者との接触のほとんどがモニター上で行われるなど現実と仮想の境界があいまいとなった21世半ば、14~15歳の少女のみを狙った連続殺人事件が発生した。事件の鍵を握る同級生の足取りを追う14歳の主人公・葉月、謎めいた美少女・歩未(あゆみ)、天才少女・美緒。本作は、妖怪をモチーフとした作品で人気の京極夏彦が「美少女」「バトル」「友情」といった、アニメやコミックの物語要素を盛り込んで描いた近未来ミステリーだ。

   興味深いのは、2030年から53年における「通信」「病院」「警察」などの社会設定を、アニメ雑誌やインターネットを使って一般読者から公募した点だ。作品中の「形状記憶植毛」や「伝書鳩」などは読者のアイデアが採用されたものだ。巧緻なプロットとロジックを縦横に操り、読者を魅了してきた京極は、ついに読み手をも作品世界に巻き込んで壮大な「仕掛け」を完成させた。20世紀末を生きる人々の心の内を映しだした近未来の姿は、20世紀末という時代が抱え込んだ命題をより鮮明に浮き上がらせるための「大仕掛け」だ。

   また、フランス語で「狼憑き」を意味する表題に象徴されるように、妖怪や化物との関連が見て取れる点もファンにはうれしい。フランスでは、1764年に14~15歳の少女が狼と思しきけものに惨殺されたのを機に、3年間で80人の子どもと女性が殺されるという「ジェヴォーダンのベート」という事件が伝説化している。中世ヨーロッパの狼伝説をよみがえらせ、あえて近未来へと舞台を移し変えた京極は、危険にさらされている現代の子どもたちへ警鐘を鳴らしているのかもしれない。(中島正敏)

妖怪とは無縁な近未来SF小説の傑作
2030年頃の日本を舞台にした、あの「妖怪小説家」京極夏彦の近未来SF小説。連続殺人事件に巻き込まれる少女たちを主人公とした物語。

相変わらずの弁当箱本である。筋は比較的単純で、ちょっと読書に慣れた人なら、半分も読めば「カラクリ」は見えてしまうし、動機に至っては、いくつか想定した中でもっとも単純な理由であった。だから犯人探しのミステリーとしては平易な部類に入り、読書の楽しみは専ら、如何に展開するかということに尽きた。そして、それは文句なく素晴らしい。

とても勝ち目のない難敵を相手に少女が絶望的な戦いを挑む、という設定は、標準的なオタクの標準的な好みであると思う。細かい点も含めてどうもこの作品にはその臭いがすると思っていたら、これは雑誌「アニメージュ」などから読者のアイディアを募集し、さまざまに反映させた双方向小説なのだそうだ。もちろんそれは悪いことなどでなく、数多の意見を取り入れてこれだけの作品を物した作者の力量には脱帽するしかない。前半、なかなか物語が動き出さないけれど、これを我慢して読むのも読書の楽しみだろう。

唯一私が不審に思ったのは、「前巷説百物語」でも感じた偽善臭である。本書を含めて多数の残虐行為を描いていながら、一切の殺人は悪などと繰り返し作中人物に言わせている作者は、これを一種の免罪符にしているつもりだろうか。他人の人生を身勝手に・不条理に・残酷に奪った人の、その人生を守る必要を私は感じない。人を殺めることを楽しいと感じる人がいるのも医学的に事実だ。ヒューマニズムは相対的な原則に過ぎない。この作者はさまざまに理屈をこねるが、ごく平均的な感性を持つ人が生理的におかしいと感じることは、やはり大抵の場合おかしいのではないか(「ごく平均的」とは何を指すのか、などという議論は無意味である)。
おもしろすぎる!!
最初の方は世界観が分からず、ただ読んでいるだけだったのですが、200ページあたりからぐいぐい引き込まれ、一気に読みました!犯人に驚きでした。これはおすすめです。
狼がいる
「京極夏彦」ときけばそれだけで読みたくなる人とそうでない人がいます。
読みたくなくなる人にお薦めしたい作品。
タイトル、装丁、近未来設定。妖怪はいませんが狼がいます。読めば骨子は京極夏彦。
少女たちの稀薄さと生死の曖昧さ、けれど確かに存在する境界線。
言葉も選ばれ、書き手の横暴さや不躾さががありません。
男の人がえがく「少女」は普遍です。
2日没頭すれば読める軽さ
京極夏彦さんの作品なのにとても軽く読めました。
表紙にだいたい登場人物(この絵は誰だとか)が予想できるイラストが使われていて、中身に会話がかなり多いので漫画を読んでいるような感覚でした。特に後半のアクション(?)シーン。

前半では、登場する少女たちと同じ年代だからかもしれませんが、歩未のような゛独特の雰囲気をもっていて馴れ合わない゛存在に何となく惹かれる葉月に感情移入して読んでしまいました。
作中のカウンセラーの「なぜ人を殺してはいけないのか」に対する答えはいままで言われた中で一番納得できるものでした。
未来にいっても京極は京極。
京極堂シリーズをある程度読めたので読んでみました。

舞台が未来になっても京極は京極でした。
読者の声を反映させた未来像だったらしいですけど、
現実味があるようなないような、不思議な未来で
想像力を程よく刺激されて、楽しめました。
作中にあげられる議題や思考もやっぱり京極って感じで
妖怪以外でも彼の作品は面白い!と改めて感じられました。
彼の作品を読んだことない人でも十分楽しめるかと思われます。
かなり長いですけど、価値アリな一冊です(・∀・)




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