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夏の名残りの薔薇 (文春文庫)
恩田 陸
価格: ¥620 (税込)

文庫
出版社: 文藝春秋
発売日: 2008/03/07
ISBN: 4167729024
おすすめ度:3.0
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意味がわかりません
各章ごとに、登場人物の一人の視線で展開する緊張感のあるストーリーがとてもいい。しかし、ちょいちょい出てくる映画かなんかの引用文はかなりうざったく感じられた。そして、各章で展開しているストーリーは矛盾している。これら各章で矛盾したストーリーたちをどのように収束させていくのか?各章のストーリーが魅力的なだけに、最終章への期待が大きかったのだが・・・。
映画の話とリンクさせているのだろうが、到底納得できない終わり方だ。何も収束していない、散らかしっぱなしの印象。混乱したままで終わるのもいいかなと思われる方にはいいかも知れません。
自分はこういう作品が苦手です
人は嘘をつく。
このことを前提にしないと成り立たない作品なのかもしれない。
それぞれの言い分のどこまでが真実なのかということなのかもしれないけれども、自分はこういう作品が苦手だ。
きちんとした終末を迎えたいと思ってしまうのだ。
ここはいつでも悪意に満ちているんだもの
恩田陸には珍しいミステリ小説。
物語の舞台は年季の入ったホテル。
そこでは毎年沢渡の三姉妹によるパーティが開催されていた。姉妹の招待された客たちはそれぞれ嫌なウワサがあり、張りつめた関係だった。だがパーティの最中に殺人が行われる。これは本当に現実なのだろうか・・・?

読んでみて、思わず「うっ」と軽い抵抗を感じました。
しょっぱなに登場する美貌の姉弟は禁断の仲であるという設定からヘビィだなと思いました。そして全部読み終わるとまるで秘密の花園(笑)を見てしまったような気分になります。
また、本作は第1変奏から第6変奏の6つに構成されており、変奏ごとに人物の視点が変わって相関も変わるという構成は良くできている。
とにかく全編に渡ってただようディープな雰囲気が印象的な小説だ。

『夜のピクニック』や『ネバーランド』で恩田陸に惹かれてこの本を読もうとすると、面を食らうかもしれない。童話的な語り口と演出が特徴で、そこからシビアな人間関係が浮き彫りとなってストーリーの濃さがにじみ出ている。

清々しい恩田陸を望むのだったら心して読んだ方がイイ。
でも私はこの読後の不思議な虚脱感は嫌いじゃない。
人の記憶、妄想と現実
本格ミステリマスターズ、待望の文庫化。
恩田陸にしては珍しい、耽美的な雰囲気を前面に押し出した作品。
同じ文春から出された「まひるの月を追いかけて」も作風は本作とは異なるが、
氏の本流からは少しずれている2作品として捉えられる。

恩田陸は非常にオマージュが好きな作家だが、今作ほど強烈に、大胆に取り入れた作品は無い。ふんだんに「元」が引用されている。

アラン・レネ監督映画『去年マリエンバートで』が今作のオマージュ作品で、引用文が繰り返し繰り返し本文に登場する。

さて、この小説は「人の記憶、妄想と現実」がテーマであると思われる。各章毎に殺人事件が起こるのだが、次の章では記憶がキャンセルされ前章で死んだ人物は蘇っている、というような表現がなされる。

しかし…これは記憶が違っているのか、忘れているのか、現実なのか、妄想なのか。そういう境が曖昧になって…

ところで、この小説は各章を「第〜変奏」としているが、上手いなぁと何章か進んで思った。変奏曲とは主題といくつかの変奏からなる楽曲の事で、今作では基盤となる主題を用意し、各変奏で内容を変えていく、という風に表現している。

人物の名付き台詞の挿入など「中庭の出来事」に非常に近いものを感じ、あちらの方がより込み入っていて年月を感じた。今作は「登場人物の記憶〜」がテーマで、あちらは「読者の記憶」にテーマが置かれているのだろうから、作風を含めて受け取り方は全く違うのだが。
「チョコレートコスモス」「中庭〜」「猫と針」へと繋がる一冊です。

また、巻末に収録されているスペシャルインタビュも魅力的。特にオープンエンドに関する著者談はなるほどなと思わされます。

「生きていると思っているうちに、死んでいるのではないか。まだ世界は存在すると思っているうちに、終わっているのではないか。そのことに気付かない私が、幽霊となってこの世の果てのホテルの部屋でじっと窓の外の雪を眺めているだけなのではないか―」 本文209ページより



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