敢闘言―さらば偽善者たち (文春文庫)
|
日垣隆の、子犬がキャンキャン吠えるような文体は、予定調和だらけの今の日本では物珍しいものですが、ボランティアでやっている、と宣言していた長野県の委員会に出席するたびに、長野市に自宅があるにも関わらず、東京から長野までの新幹線代を交通費で請求してた、という事実を最近ネットで知って、ああ、やっぱり、の感が強い。自分だけが正しいと思っているやつのことを偽善者というのではな委員会?
氏の名物コラムを集であるが、偽善者に対する批評があまりにも直線的であリ過ぎる感が否めない。偽善者の中にも本当の善はあり、善人の中にも意識するしないに関わらず悪の部分が存在する。それをall or nothingで切る批評スタイルには救済や人類に対する愛情が感じられない。そういうことを分かっていて読むことの出来る読者であれば、本書は一つの視点を与える物としての評価を与えられるが、無批判に読んでしまうことは危険であると思う。
タイトルが勇ましい。サブタイトルが「偽善者」と言い切るところがこれまたすごい。ページをめくってまたまた驚き。山椒は小粒でもぴりりりり・・・どころか激辛!っていう感じです。
この連載を300回も載せた週刊「エコノミスト」もたいしたものです。前書きの「言論の荒野で地雷を踏みつけた感あり・・」とはうまい表現をした「きつい」コラムです。スポーツ、歴史、マスコミ、IT、政治、教育、お遊びなど”森羅万象”を扱う勢いで読者は飽きません。また年度が1993~2002(2000年からは産経新聞)ということで当然この活きの良いコラムは世相を反映していて「超」現代史的読み物にもなっています。
さて、登場するヒーロー(ヒロイン)を「偽善者」と判断するか、それとも猛反発されるか。とりあげられたトピックの斬りこみ方に賛同するか否か、などは読んだ方々の各自のご判断で大きくわかれることでしょう。どちら側の方も読んで大いに勉強できます。これが読書の原点でしょうね。それでは波瀾万丈の活字の世界へどうぞ。



