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八月の路上に捨てる
伊藤 たかみ
価格: ¥1,050 (税込)

単行本
出版社: 文藝春秋
発売日: 2006/08/26
ISBN: 4163254005
おすすめ度:3.0
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価値観の違い
30歳にして離婚…。30歳って、30歳までに結婚する!みたいな意識の他、ターニングポイントでもあるのかな?私も主人公と同じように、30歳にして離婚した。主人公は誕生日に入籍し、離婚するという設定だが、私も5/1に入籍し離婚している(偶然に)。そういう境遇には共感が持てた。
付き合ってる時は価値観が同じように感じていた、だから、結婚したハズなのに、ズレが生じてくる。価値観って難しいな…と、改めて思った。しかし、許せなかった事も「夫婦」という枠をはずして・はずれて考えてみると許せるようになったりするんだから、不思議だね。
芥川賞の本は面白くない
芥川賞受賞作。

でも、全然面白くなかった。
たった1日の日常で、いろんな感情が動いているのはわかった。

芥川賞の基準などは知らないが、この本がそんなに魅力的だと思わなかった。
私は好きじゃない。つまらない。
あまりに現実的
結婚も離婚もしたことないけど、人と向き合って行くってこういうことなのかなー。と思う。痛いし、つらい。日常を積み重ねていくうちに、少しずつずれていく(「枝には百も二百もの選択肢があった」)。

学生の頃のように「楽しい」だけで一緒にいるわけにはいかなくなる。お互いに夢があって、どちらともがうまくいくはずはなくて、押し付け合って、夢を諦めて現実を受け入れる過程で、いちばん近い人を傷つけてしまう。そんな20代後半の辛さが描かれてて、しんみりと痛かった。

「色んなものをなくしてなくして、それでも最後は勝つかもって夢見ながらやってんだもん」て言う水城さんみたいな希望の持ち方をできる人が、いちばん強いのかもしれないな。
どこかの監督さん、是非映画を作ってくださいませ。
同作品と『貝からみる風景』の
2作から構成されている。

共に、何処かにありそうな、
男女の関係が淡々と描かれている。

ただ、淡々ながらも、
作者の遊び心とでも言えばいいのだろうか、
ついつい、くすりと微笑んでしまう場面もある。

だからだろうか、
「少しデフォルメして、映像化したら面白いだろうな」
との思いが残った。案外、ヒューマン系で、笑いもある
稀有な作品になると思うのですが(好意的です)。
どんより小説だからこその良い読み方
「けむり詰めって知ってる?詰め将棋の一種で、こっちががむしゃらに攻めまくんの。
玉を追いつめるのに最初の一手をさすじゃん。あとは、自分の駒をどんどん取られながら
追いつめていく」
「それじゃあ向こうが優勢になっちゃうじゃないですか」
「そう。自分の駒は煙みたいにぽんぽん消えていくんだよ。だけどうまく解いたら、
最後の最後でちゃんと玉を追いつめられるってわけ。駒はほとんどなくしちゃうけど、勝つ。
その代わり、一手でも間違うとあとはゲームオーバーしかないんだよなあ」
「じゃあ、それが俺の人生だとか言うんでしょう」
「違うよ。あたしがそっくりなの。いろんなものをなくしてなくして、
それでも最後は勝つかもって夢見ながらやってんだもん」

135回芥川賞の「八月の路上に捨てる」は、ここ最近の芥川賞の受賞作と同じく
「みんなそれぞれの戦場があるんだ」という立場で、
どうすることもできない現代社会的な病理を描きつつ、なんとなく心を揺さぶって終わり、
というスタイル。審査員評も辛い。ここ数年ずっと辛い。

たしかにちょっと読後感がどんよりするのが多いなあと思う。希望を見いだせない。
振り逃げかよっ、と。ただそうやって斬って捨てるのは簡単。
どんより小説だからこその良い読み方ってあるんじゃなかろうか。

たとえば「けむり詰め」で人生を比喩した一節なんてのは、
一見希望のないネガティブな表現に読めるのだけれど、作品を最後まで読んで振り返ると、
あきらめないことへのポジティブなエールとも読み取ることもできるんですよね。
水が半分まで入ったコップを見て「もう半分しかない」と思うんじゃなく、
「まだ半分ある」と思って読んでいこうってことかな。



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