米国の裕福な家庭で人肌のぬくもりを知らずに育ち、資本主義社会が生み出した闇(難民)への贖罪を背負いUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のフィールドワークに全てを捧げる男とのささやかな家庭を夢見破れた、勝ち組みだったはずのキャリア女性の、出会い、結婚生活、離婚、永遠の別れ、そして再生が深い奥行と絶妙な伏線を伴い描かれています。
本書収録の他の短編と少女の成長物語であった「アーモンド入りチョコレートのワルツ」と「永遠の出口」を2年前に読んだだけでの直感ですが、小説の奥行(男女が背負う業の描写、物語の持つ社会批判性、結婚・離婚・愛への洞察)を考えた時、これ以上の短編をこの著者は描き得ないと思います。
本書が第135回の直木賞に選ばれた当時、地下鉄南北線の車内広告で見た「愛しぬくことも愛されぬくこともできなかった日々ばかりを、気がつくと今日も思っている」という本文からの引用が、今もこの物語のエッセンスを一番上手く抽出しているのではないでしょうか。
そして、再生が本書のメインテーマなら、「愛しぬけなかった離婚相手をその死後に初めて愛しぬくことができるか」という命題が再生に繋がる裏のテーマにある気がします。資本主義社会の不条理と後ろ髪引かれる離婚に少なからず心が囚われている人には特別感じ入るところがあるかも知れません。
風に舞いあがるビニールシート
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どの短編も、登場人物達が謎めいており、一息で読んでしまいました。特に好きなのは「器を探して」。主人公の印象が、最初と最後じゃ全然違って私にはちょっとしたホラーでした。「風に舞いあがるビニールシート」は主人公の心情に素直に添えて、最後の決断は予定調和に見えつつ納得できるものでした。ちなみに、風に舞いあがる青いビニールシートは、私には阪神大震災後の風景の一部です。予期せぬ不運と不幸と、弱者の象徴です。
表題作は国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)に勤める外国人の夫と同僚の元妻の物語。夫は殉職的な死を遂げてしまうが、既に離婚している夫の死に対する妻の複雑な心境が見事に描かれており、読み手に共感を与える。
どうしても譲れない心の拠り所が現実とは折り合わずに葛藤する。そのような心の機微、男女の綾を怜悧な観察力と豊かな表現力で描き、ハッとさせられることが多かった。
表題作の「風に舞いあがるビニールシート」は中でも秀逸で、愛することの難しさ、せつなさが見事に描かれている。
以前から著者の掲載小説を読んでいたが、この本で森絵都ファンになった。
表題作の「風に舞いあがるビニールシート」は中でも秀逸で、愛することの難しさ、せつなさが見事に描かれている。
以前から著者の掲載小説を読んでいたが、この本で森絵都ファンになった。
仕事へのこだわり、葛藤のなか、
こわばったものがほぐれていく様子が
優しい視線で描かれている。
仕事に迷いがある人、仕事に追われる人、
がむしゃらに仕事をする人、、、
あらゆる仕事をする人におすすめしたい。
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
で泣けなかったわたしが
通勤電車の中で泣いた。温かく気持ちのいい涙。
「ジェネレーションX」「風に舞い上がるビニールシート」
が特に好き。
こわばったものがほぐれていく様子が
優しい視線で描かれている。
仕事に迷いがある人、仕事に追われる人、
がむしゃらに仕事をする人、、、
あらゆる仕事をする人におすすめしたい。
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
で泣けなかったわたしが
通勤電車の中で泣いた。温かく気持ちのいい涙。
「ジェネレーションX」「風に舞い上がるビニールシート」
が特に好き。



