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春、バーニーズで
吉田 修一
価格: ¥1,200 (税込)

単行本
出版社: 文藝春秋
発売日: 2004/11/20
ISBN: 4163234802
おすすめ度:4.5
Amazon ランキング: 297838位
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傑作
同氏の小説「最後の息子」の続編。
結婚し、子供をもった30代男性の日常を上手く描いている。
吉田修一の作品のほとんどに言えることだが、リアリティに富み、主人公が身近に感じられ、作品に入り込んでしまう。
「最後の息子」を読んだ人には、是非とも読んでいただきたい。
30代、40代のひとに共感か?読みやすい恋愛小説。
若い頃には、確実な道が安楽な道に見えることがある。しかし若くなくなると、
その安楽な道に必死に引き返そうとしている自分に気づく。

なるほどなあ〜〜と思った作中の文章であります。
優等な読後感
吉田修一さんの文というのは変に癖がなく、シンプルで読みやすい。読みやすいが故に、自分の中にすっと、登場人物たちの感情が入り込んでくる。

『春、バーニーズで』の最大の特徴は、その文字(言葉)の巧みな少なさではないだろうか。
夜、例えば夕食をとってしばらく、ふと何か本が読みたくなり、本屋へ足を運ぶとしよう。そこで手に取る作品。選定基準は、ざっとページを手繰ってみて、就寝までにさっくりと読みきってしまえること。

本書を構成する5つの短篇のうち、「パーキングエリア」までは連作として扱って良いかと思われる。
表題作「春、バーニーズで」、「パパが電車をおりるころ」、「夫婦の悪戯」と読み進めてきての「パーキングエリア」。この小説の最大の読みどころである。小説の雰囲気を象徴するシンプルな黒いカバー、そしてそれを包み込む藤色の帯。その帯の裏表紙側には『ふとしたはずみに、もうひとつの時間へ』とコピーが打ってあるが、主人公筒井はこの「パーキングエリア」で、『ふとしたはずみ』でもって『もうひとつの時間』へと流されてしまう。日中、周囲の心配に抗い一切の連絡を絶つ筒井。夕方、筒井は妻瞳にとあるホテルからその日の行動を詫びるのだが、そこでの瞳の返答『「……あ、文樹がね、今日幼稚園できゅうり食べたって」』には吉田修一さんの巧さを痛感させられることだろう。まるで頓珍漢なこの科白ひとつで前章までに描かれてきた筒井夫妻の日常があふれるような気がした。
逆接助詞を比較的使うのが唯一吉田修一さんの癖らしい癖だと私は思うが、「……だが、……」や「……。ただ、……」を使う効果は、この小説の読後に訪れる心が均されたような切なさに顕れているのではなかろうか。いや、「パーキングエリア」の後、一人称で描かれる独立したリリカルな短篇「楽園(Paradis)」への雰囲気作りともとれるだろうか。何れにせよ、小説の空気は最後まで乱れることがない。
すばらしい。
それから最後に。例の藤色の帯には表側に『小説を、贈る。』とある。私が誰かに本をプレゼントするとしたら間違いなく、本書を最有力候補とするだろう。
吉田修一らしい!
きっと読み終わった後、不思議なすがすがしさと、
「結局何が言いたかったんだろう」という感情を抱くと思います!
でもそれが吉田さんの良いところなんです(^。^)!
人物の描写もうまいし、共感できる点も多いです。
最終章は特に、主人公さえも誰なんだろうと思ってしまう
と思いますが、それは個人の考え一つなんだと思います^^
読後に奇妙な感情をもたらしてくれる本です!

ぜひ読んでみてください!
理想の生活
本当にふとした瞬間に全てのことから開放されたくなるときがある。決して辛いことが多いとか、嫌な人がいるとか、そういうことではない。何気ない生活の一瞬にそれはやってくる。
自分が理想だと思っている生活、他人が理想だと思っている生活、自分が理想だと思い込もうとしている生活。自分の求めている姿が自分にも分からないから、全てを投げ出したくなる。
相手の心の中を完全に読むことが出来ない以上、相手への負い目は拭い去ることは出来ない。相手が負い目だと思っていることを、自分が気にしていないことを伝えられないもどかしさ。払拭しきれない、証明することが出来ない誤解。
「楽園」に出てくる女性は誰なのか。昔同棲していたオカマか、昔付き合っていた女性か、瞳か。それとも全く関係の無い一話なのか。著者が意図していた相手が誰だとしても、結末には変わりはない。
主人公の選んだ道。たとえ何があったとしても、最後に残っているものはそれだけ。



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