ミドルセックス
ジェフリー・ユージェニデス/佐々田 雅子/Jeffrey Eugenides
価格: ¥3,360 (税込) 単行本 出版社: 早川書房 発売日: 2004/03/24 ISBN: 4152085541 おすすめ度: ![]() Amazon ランキング: 301280位 発送可能時期: 在庫あり。 ![]() |
Book Description
「わたしは2度生まれた。最初は1960年1月、空気の澄みきったデトロイトでのある日、女の赤ちゃんとして。2度目は1974年8月、ミシガンのペトスキー近くの救急処置室で十代の少年として…。わたしの出生証明書には、カリオペ・ヘレン・ステファニデスという名前が記載されている。しかし、最新の運転免許証には、ファーストネームとしてただカルと書かれている」
息をもつかせぬ物語はこうして始まる。これはカリオペ・ステファニデスとギリシア系アメリカ人であるステファニデス一族の3世代にわたる物語である。カリオペの祖父母は、オリュンポス山を見渡せる小アジアの小さな村を離れ、禁酒法時代のデトロイトにやってくる。一家は車産業の隆盛や1967年の人種暴動を目の当たりにしたのち、ミシガン州郊外グロスポイントの並木通りの家に移り住む。
なぜ自分は普通の女の子と違うのだろう。それを理解するために、カリオペは罪深い家族の秘密と遺伝子の歴史――カリーをカルに変えた驚くべき遺伝子の歴史――を探ることになる。カリー/カルは、現代フィクションのなかでも稀なほど、大胆不敵で独創的な語り手である。詩的でスリルにあふれる『Middlesex』(邦題『ミドルセックス』)は、アメリカの叙事詩の概念を根本から覆す物語である。
まるでグスタフ・マイリンクの「ゴーレム」ではないか。主人公が「ゴーレム」の目線となり過去を徘徊する。不変の魂として、医学的に中性の主人公が自分の祖母の時代から現在の自分を通して過去を現在を見つめる。アイデアの発想は近親結婚を繰り返せば奇形が生まれる、男女の差は染色体やホルモンバランスの微々たる物で決定されるという所からきている事は否めないが、そこから発展して不変の魂の系譜を描いている。シルクロード、蚕の繭の糸として、またアリアドネの糸として罪と希望が交錯し導かれるその魂を表現している。ギリシャトルコ戦争でのスミルナの厄災から逃れたギリシャ人難民の姉弟がアメリカに渡り、ギリシャ移民の目から見た1920年代から現在にいたるアメリカの特にデトロイトの歴史を家族や、そこに住む人々の目線を通して近代アメリカの歴史が語られる。社会と人々を縮図として簡易的に知る事が出来るのでアメリカ人じゃない人にも面白く読める。おそらく影響を受けている、文中にも引用されるT・S・エリオットの「荒地」の詩でスミルナの商人の名前がユージェニデスというのが作者と関係があるのかどうかは知らないが、太古の古代ギリシャから現代まで続くギリシャ人の辿る一系図。後半は両性を持った思春期の主人公の不安と自己探求が行われる。恋や性欲といった性を廻っての話が主で、それがホルマンバランスや脳への影響で男と女の性差を両性の人物を通してどの様に行動や考え方に繋がるかという所までの考察は詳細では無い。なぜかと言えば主人公は等分に両性というよりもほとんど男だから。そして、良いか悪いかは別として環境で人の性自認が作られるという事も示唆しているし、主人公などはその反対だ。人々や専門家の性別への思いこみへの非難にも繋がる。魂の系譜はネーションオブイスラムを経由してマルコムXにまで枝分かれする。つまり人種問題、肌の色の違い、異教、不信心の罪が同じ禁忌という罪で重なり相乗される。祖父母の結婚も父母の結婚も差し迫った死、未来への絶望からの衝動で生まれた。誕生を促す物は祖母には劇であり、母には映画だ。どちらも仮想と現実の境のスクリーンからだ。現実と非現実が衝動を促す。全篇に渡って希望と絶望の相対する出来事と感情が描かれている。全ての物事は両極、二面性で成り立っている。両極への配分が曖昧な不均衡な世界を人体を輪廻する魂が駆け抜ける、そしてそれを現わす触媒は二つの性を持つ主人公。男と女。つまりは生と死、人生。そして不幸に落ち込まず、明日に向かって前を見ている所がいい。
ずいぶん昔に読んだので詳しいことまで覚えていませんが、タイトルをみてすぐ購入したことは覚えています。主人公は2つの性を持って生まれてきました。彼を取り上げた医者の判断で女の子として育てられることになりました。子供の頃は美少女だったのですが、年齢を重ねるうちに自分は男だと強く感じるようになります。それに家族の歴史が絡められ進んでいきます。寝る間を惜しむというほどではないかも知れませんが、読んで損をしたとは思わない本です。
両性具有者の成長記というよりも、ギリシャ系兄妹のアメリカへの駆け落ちと、この移民家族がどう異国で根を生やし生き延びていくかに本書の魅力があった。特に50−70年代の戦後経済ブーム、人種差別、カルトの興り等を、等身大の移民家族の目から描写しているのが興味深い。加えて、随所がコミカルで読み易い。個人的に祖父母カップル(レフティとデスデモナ)に想い入れが強いので、終盤のカリーの成(性)長期は(主役のはずなんだけど)印象薄くサラッと過ぎてしまった。両性具有に関わらずも、面白味のある一冊です。なぜかデスデモナが『百年の孤独』のアースラを思い出させた。やっぱりばーちゃんは強い!
ギリシャ系アメリカ移民の数十年にもおよぶ長い物語です。祖父母の時代が丁寧に描かれていますが、主人公が主春期に両性具有という事がわかる衝撃的な出来事にはかかせない長い序章だと思います。戦火を逃れての移民、秘密を抱いたままの結婚、禁酒法、自動車産業、暴動、麻薬、揺れるアメリカを背景に主人公が語るストーリーは529ページという長さにも関わらず楽しむことができ、エンディングもひねりが効いていたと思います。
Middlesex is an extremely well written novel based on gender confusion and the fascinating recount of the history of a family. This book kept me reading during my every free moment, even when I had the opportunity to read one or just a few pages. This is a great book which any reader will have difficulties putting down for a moment.
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