権力と栄光 グレアムグリーンセレクション ハヤカワepi文庫
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英国を代表する作家、グレアム・グリーンの代表作の一つ。遠藤周作の「沈黙」の元ねたともいえる。1930~40年代にメキシコで実際に起きた共産革命を背景に、カトリックとしての信仰を捨て切れなかった不良神父と信仰を憎む現実主義者の警部との葛藤を描いている。前半は訳文が読みにくいところがあるが後半はグイグイと引き込まれる。 信仰と不信仰の間で揺れ動く主人公の心の動きは、我々のような日々、肉の世界で生きる平凡なクリスチャンにも十分共感できる。信仰を捨てるか否かの瀬戸際で、酒を飲み愛人に子供を生ませるという堕ちるところまで落ちた神父が銃殺される間際に悟ったこととは・・・。「神が自分を見放す」という恐怖だった。これはクリスチャンじゃないとわからない心理かもしれないが、それはある意味、キリスト教を信仰するものにとっては、現実の「死」よりも恐ろしいことなのだ。


