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九月が永遠に続けば
沼田 まほかる
価格: ¥1,680 (税込)

単行本
出版社: 新潮社
発売日: 2005/01/26
ISBN: 4104734012
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 362005位
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傑作
とにかく文章が巧い。
練りに練ったストーリーも絹のように緻密だ。ごみを出しにいった息子がそのまま失踪してしまうところから始まる。シングルマザーであるヒロインはそれを追っていくうちにさまざまな不思議な人たちと出会う。近くに住む息子のガールフレンドの父(シングルファーザー)が助けてくれるのだが、これがいかにもだめ男で、その造形が抜群だ。エンディングもきっちり収まっており、とても新人の作品だとは思われない。
ありふれた日常。ありふれていない状況。ありふれた会話。隠されている感情
表面上平穏な母と息子の家庭に、その一切を暴くかのような事件が起こります。
ゴミを捨てに出させたまま息子は姿を消しました。
人と人のただならない関わり方は、周囲の人を巻き込みさまざまな悲劇を生み出します。
息子は生きているのか死んでしまったのか、生かしているのか殺しているのか。
波濤の先にはなにがあるのでしょう。

ところで、女のエロは3断面あるとおもわされました。
一つ目は少女漫画的なつながることへの妄想。
二つ目は昆虫のような交尾。
三つ目は罪の深さの分だけ得られる悦楽。
その全てが表されているサスペンス小説です。

果てというものを見てきた心になって読了しました。
このレベルのものを著者が書き続けられるのだったら、私はもう他にサスペンスの書き手を必要としないとまで思ってしまいました。
無力なひたすら無力な人間の有様が痛切な作品です。
読み終わってから「じわ〜っ」と怖くなった
’04年「第5回ホラーサスペンス大賞」大賞受賞作。「ホラ・サス大賞」はまだ設立が新しい賞だが、’02年には直木賞作家・朱川湊人も受賞にはいたらないものの候補作にノミネートされていた。

歴代の大賞受賞作(『そして粛清の扉を』、『リカ』、『人形(ギニョル)』、『裂けた瞳』)がセンセーショナルなものやグロテスクなものが目立ったなかで本書はひとりの高校生の失踪という事件を軸に、その母親の目を通した一人称の静かな心理描写の作品になっている。

そこである女性がすべての事件の中心的な存在として浮かび上がる。彼女自身、痛ましい過去の事件の被害者なのだが、実は周りの人たちの心を知らず知らずに壊してゆく・・・。

読み終わってしまってからが、なんかゾッ〜とする物語である。

優等生の悲劇
これまで決定打に欠けたホラーサスペンス大賞が自信をもって
世に送り出した作品が「九月が永遠に続けば」だと聞いた。

「これが売れなきゃ何が売れる!」
とばかりに気合の入った小説で、ページを捲る手にも気合がこもった。
こういうのをリーダビリティーというのだろうな、
などと思いながら読了。
「いやぁ、いいもん読ましてもらいましたで」
と本を閉じたはいいものの、椅子から立ち上がって三歩歩いた直後には
「・・・あれ?どんな小説だったっけ?」
と、ふと本を振り返る。

『ゴミを捨てにいった息子が、そのまま行方不明になる』

そんな魅力的な大きな謎も、いざ解決してしまうと
「ああ、そうですか」と妙に納得してしまいそれ以外の感情が
すべて飛んでしまうのだ。
文章力、プロット、キャラクター。すべてがそつなく巧い
ので、逆に印象に残る部分が少ないように思えた。
そういう意味ではとってもホラーサスペンス大賞的な小説であり
優等生な作品だ。

だけど優等生というものは所詮は近くて遠い存在。
一般大衆というものは、劣等生でもユニークな人物に惹かれるもの。
優等生であるこの小説が賞関係者の期待を裏切って世間の評判を
集められなかったのは仕方ないことかもしれない。

優等生を輩出し続けたホラーサスペンス大賞が優等生らしい潔さで
賞自体を終了させてしまったのもまた、仕方のないことなのだろう・・・

とても重厚でよい作品だとは思います。
 新人(もっとも著者の沼田さんはプロフィールでは50代の人でしたが)にしては群を抜く表現力と心理描写にまず舌を巻きます。とてつもなく艇長に詳細な描写で読むものを引き込みます。
 ある夜、突然一人息子が失踪した母の不安と苦悩の心情を、細かく描いている秀作。自身の情事。別れた夫の再婚相手の娘と息子の関係。そしてその母親亜沙実、と徐々に浮き上がる人間関係を、妖しげな雰囲気(この雰囲気がホラーなのかなあ?)で描いています。
 と、作品自体は良いのですが、帯のホラーサスペンス大賞という文字に引かれた私からしてみれば、「えっ、どこがホラー!?」ってな訳なんですね。確かに息子が謎の失踪をするのは母親にとっては恐怖以外のなにものでもないのかもしれませんが、このてのものをホラー扱いするのはどうかと思います。
 また服部といういおせっかい親父の存在もせっかくの物語に水を差すような気がしました。
 暗い影に覆われたヒューマンミステリーというほうがあっている気がします。



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