ひとつ前に戻る

望みは何と訊かれたら
小池 真理子
価格: ¥1,995 (税込)

単行本
出版社: 新潮社
発売日: 2007/10
ISBN: 4104098086
おすすめ度:4.5
Amazon ランキング: 74680位
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いきがっていても
親の臑をかじりながら、大学に通うのに、危険思想の団体にかぶれて活動家だった
過去を持つ女性の話。
その危険思想に傾倒したのも、主導者がいい男だったから。そして実像にふれると、脱走して
助けられたのも、若い男。難無く身を任せ、依存して生き延び、最後に裏切る。
結局理想を語り、いきがっていても、男に頼るしか脳がない無能な女子大生だったヒロイン。
あの頃男が入り口になって、とんでもない方向に進んだ同じような女性は、たくさんいたでしょう。
なのに、こんなに格調高く、高尚な物語にしてしまう小池真理子の力量に拍手です。
ある意味では女性の限界を示した作品
 学生運動とその時代にはマイナスのイメージと共に、羨望を感じていたことがある。少なくとも、そのときの彼らには信じて打ち込めるものがあったからだ。しかし大学が「レジャーランド」と言われた時代に怠慢な学生であった自分には、大学に残る化石のような活動家や、彼らが対立セクトと繰り広げる小競り合い、独特の書体のアジビラや立て看板に多少の興味はあったものの、まったく共感することはできなかった。
 この物語は、全共闘の活動がまだ盛んだった時代にその空気に触れていたであろう著者が、当時へのオマージュと、ある程度の使命感を持って書いたように思える。
 前半の活動への参画から緊迫した地下活動の惨状と、後半の甘美な隠遁生活の大きな落差。これらはいずれも閉じた世界での出来事だ。そして冒頭と結びに現れる穏やかな現在の生活。こちらの世界は開いている。
 最後に、自らの意志で世界は再び甘美な世界に閉じて行くのだが、そこに安堵感を求める女性作家の視点を感じた。彼女にとってのカクメイは日常生活からの脱却であり、常に好意を寄せる男性と共にある呪文なのだ。
至高の恋愛のかたち
 恋愛小説の名手・小池真理子の新しい代表作だといえる。

 本書では、いくつかの恋愛のかたちが女性の視点から描かれる。
 ひとつは、やさしさと、一世代前のマイホーム的(小市民的な)幸せとを与えてくれそうな若い時代の恋愛。
 もう一つは、経済的豊かさを与えてくれ、自分の職業上の能力も認めてくれ、そのうえ精神的な自由もかなり尊重してくれる大人の男性との恋愛。
 こうした恋愛のかたちは、一般的には、かなり多くの女性が求める望ましい愛の形だと思われている。

 しかし、作者は、こういう恋愛は、至高のものではないと考える。
 作者が至高の恋愛のかたちととらえるのは、母親と胎児または乳児との間にみられるような自他未分離の関係、お互いに依存しつつ安心感や生理的満足感を満たしあうような関係である。

 さまざまな恋愛の深みを描いてきた作者の到達した新境地であろう。胸を打たれると同時に考えさせられるところが多い。
人間の根源を問う力作
1971年大学卒業、就職、結婚、出産、子育て、そして再びスタート地点に。
同時代を生きてきた人間として、70年代は特別な思い入れがあります。

秋津との普通では考えられないような隔離された生活、
こんな濃密な空間を19才と21才の二人が共有できるのか?
あるいは、若いからこそありうるのか?

心の奥深くにあって決して消え去ることのない思い
歳月を経てますますはっきり見えてくること
”本当に大切なものとは?”と自らに問いかけたくなるストーリーです。
人生を振り返るようになった年代に是非読んでもらいたい作品です。
静謐な世界。
久しぶりに”こんな小池作品を読みたかった!”というものに出会いました。
まず、それだけで嬉しいというのが本音です。
少し時間は空きましが、「恋」「無伴奏」の流れを汲む本作品を読むことが出来て、
本当に感激しました。

70年代の時代背景は実は小池さんの作品で触れたのが初めてと言うくらい、
全くなじみはありません。この作品には、
「あの時代を生きたからこそ、こんなこともあり、こういうことにもなるのだ」、
といった潔さ(自信?)みたいなものが最初から最後まで漂っていて、
経験した者にしか踏み込めない雰囲気がありました。
従って私の様な部外者はこの物語を眺めるしかないし、
完全に理解することは出来ないと感じました。
作者の経歴と似通った主人公であるからこそ、その色合いは更に濃くなったと思います。

一つ言えるとすれば、長い時間を掛けて築いてきたものが、その人にとって一番大切なものではないのだなと言うこと。
一瞬でもキラッと光ったものは、しまい込んでも決して色褪せることはないのですね。
そしてそれは、常識やモラルを越えるのです。
この作品は、自分に置き換えて読むのは無理です。
傍観者になったつもりで読むことをおすすめします。



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