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美しい魂
島田 雅彦
価格: ¥1,890 (税込)

単行本
出版社: 新潮社
発売日: 2003/09/26
ISBN: 4103622059
おすすめ度:4.5
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 『彗星の住人』から始まる、いわゆる「無限カノン」3部作の2作目となる本作は、個人‐国家‐歴史の見えない糸に翻弄される、ピンカートンと蝶々夫人から数えて4代目となる主人公野田カヲルの恋と魂の遍歴の物語を、壮大なスケールで描く。

   不遇の作曲家、野田蔵人と母キリコの死後、カヲルは商事会社を営む常磐家に引き取られる。カヲルは少年時代から慕っていた麻川不二子との恋を成就させるべく彼女の後を追って、アメリカへ旅立つ。カヲルへの思いを断ちきれずにいる姉のアンジュは、カヲルと不二子の恋の妨害を企む。アメリカ留学後、国連の職員として働く不二子。不二子の心を射止めるべく歌うことに目覚め、稀代のカウンターテノール歌手として才能を開花させるカヲル。ふたりの恋はすれ違いを見せながらも進行していくが、清仁親王が不二子を見初めるに至り事態は一変する。

   未来の天皇の最有力お妃候補の恋人であるカヲルは国家にとって存在してはならない人物であり、カヲルと不二子の恋愛自体が禁忌となる。ふたりの恋は国家の大本さえ揺らがしかねない政治性を帯びるものとなった。親王の求愛を拒み続ける不二子だが、カヲルは危険を冒しメディアや国家の監視の下に置かれることになった不二子と逢瀬を重ねる。右翼からの暴力に晒(さら)されるカヲル。カヲルの恋の終わりと連動するように没落する常磐家。不二子はついに親王のプロポーズを受け入れる。最後の逢瀬で不二子と不変の恋を誓い合ったカヲルは、不二子との約束を実現すべく「美しい魂」の行方を見届ける旅に出る。

   そのような経緯が、ふたりの永遠の恋を語り継ぐべく選ばれたカヲルの一人娘である文緒に向けて「君」という二人称で語りかける語り手によって語られる。蝶々夫人に始まる劇的な恋愛模様が、歴史とリンクしながら勇壮な物語を織りあげていく。かくして「二十世紀を恋と音楽に生きた一族の物語」は、最終章『エトロフの恋』へと受け継がれていく。(榎本正樹)

構成力が凄い
二作目からの鑑賞でしたが読み始めるうちに引き込まれて最後まで読み終わりました。何だか特定のモデルがいるのですか?と勘繰りたくなる様な舞台設定ですね。日本への批判も込められている様にも感じました。

恋に生き、恋に導かれた複雑な背景を背負った男性の物語と言えばいいでしょうか。主役の男性は随分と子供っぽいですね。相手に受け容れられる事を願ってばかりでは彼の恋の成就は難しいかも…とも思いました。まず自分が相手を受け止める度量と勇気を持たないと二人の物語は前には進まないのではないでしょうか。

三作目を呼んで結末を見届けようという気にさせられるひたむきで不器用な恋物語ですね。
なんとなく引き込まれていく快感
もともとカバーのコメントだけを読んで、まあ読んでみようかなと買ったものの暫くほったらかしになっていた一冊。 しかしながら読み進むうちにぐいぐいと引き込まれて行く感じ。3部作全て同時に買っておきながら本作品から読み始め、今現在1作目を読んでいますが、どこから読んでも話が分かる構成もよく、早く3作目を読みたいと思います。
ロマンチックすぎる恋
確かに自分はその人を望んでいるはずなのに、いつの間にかその手を離してしまう。愛するからこそ起こる不安、逃避、すれ違い。人間が抱えるどうしようもない弱さと強さ。そして一族の宿命。
恋が持つあらゆるいらただしさが、主人公カヲルには存在している。まるで恋愛の大河ドラマのようで、読み応えは十分。

けれど物語の象徴的な場所の景色が常に浮かんできて、恋人不二子の姿がその窓に見える気さえするほどの設定は、想像力を掻き立てる以上に週刊誌的興味が起こってくる。

恋と国家
天皇制という生殖活動を抜きにしては、存続できない制度に恋は絡まってくるでしょう。天皇制という禁忌に果敢に挑戦した点で、この小説は面白かった。多分著者は、恋という個人的なものと、国家や時代とのかかわりをこの三部作を通して書きたかったのではないかと思う。まだ一部三部を読んでいないので正確なことは言えないけれど。アンジュやアミコには生身の女のリアリティがあるけれど不二子には感じられない。人物描写が、不二子を含めてやや平板なので、マイナス1.でも、一部三部も読むつもり。
恋と国家
天皇制という生殖活動を抜きにしては、存在しえない制度に恋は絡んでくるでしょう。そういう意味で天皇制の禁忌に果敢に挑んだこの作品は、とても面白かった。一部と三部をこれから読む状態なので、正確なことは言えません。アンジュやアミコには生身の女としてリアリティがありましたが、不二子には感じませんでした。カオルには、手に入れられない恋が必要だったのでしょう。その分不二子が希薄になるのも仕方ないかもしれません。恋という個人的なものと国家との相克に興味がありますので、一部三部も読むつもりです。登場人物がややありきたりなところで、マイナス1.



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