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カルトローレ
長野 まゆみ
価格: ¥1,575 (税込)

単行本
出版社: 新潮社
発売日: 2008/04
ISBN: 4103068116
おすすめ度:4.5
Amazon ランキング: 239091位
発送可能時期: 在庫あり。

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5タフィが語る謎めいた世界
長野さんの本は、いつも装丁も素敵。
この本も装丁、表紙がとても綺麗。アンティークのようなさまざまなレースが美しい。

独特の渇いた文体。淡々とした語りに浸るうち、またしても長野さんの世界が私を摂りこみ
軽い船酔いにも似た感覚を得る。
キビ色の沙漠にある自治区、タッシルを舞台に繰り広げられる幻想的な話。
近未来と思しき世界と、遙か古代がぴったりと寄り添ったような世界が
渾然一体となって在る。
地上と関わらずに数百年もの間、独自の文化を育んだ《船》。
地上の生活と職業のための適応化プログラム。
《船》の人間が残したらしい109冊の全頁糊付けされた航海日誌「カルトローレ」。
それを解読するのが仕事の、主人公タフィが語り語る世界は、なんとも不可思議だ。
《船》の記憶。図案室。編み物の設計図。伝承される紋様。水を操る少年ワタ。
呪術めいたできごと。刺繍の意味……キーワードがうねり、絡みあう。
タフィが関わることになる人々も、どこか翳りを持ち、はっきりとした像を結ばない。
登場人物たちの結構アクティブな動きがあるのに、物語世界の印象は“静”。
たゆたい流れ、浮かんでは消えるがごとき語り。
存在の不確かさということが満ち満ちた物語だ。      
沙(すな)が風紋を刻々と刻むように、変容し続ける物語の揺れが
心地よかった。 
5とても面白かったです
初めてこの著者の作品を読みましたが、幻想的で面白かったです。
たぶん架空世界を舞台にした寓話なんでしょうけれど、衣装や料理等がなんとなく中央アジアか中近東の風俗を連想させる点と、文様がこの世界では重要な意味を持っていて、それを表現する手段として編み物と刺繍が度々現れるところが私は特に気に入りました。
そのあたりに興味をお持ちの方には、ストーリーは別にしても魅力的だと思います。
起承転結のはっきりしない淡々とした物語ですが、登場人物のところどころ意味が掴めない謎めいた語り口と相まって、不思議な読後感でした。
3寓話、幻想世界のお話しです
この著者の作品を読むのは 『メルカトル』以来この本で2作目です。
題名のカルトローレは著者の造語です。イタリア語の文語で「カルトラーレ」(cartolare)日誌、航海日誌の意味だそうです。
SFファンタジーというか寓話、幻想世界のお話しです。全編、レトロな感じで且つ未来的な空気の中で穏やかに話が進み、恋愛も衝撃的な事件も起こらず淡々と話しが進みます。この物語の幻想小説にすんなり入り込めることが出来ればいいですがリアルさの拘りを持っているとかなり読み進めるのに苦労します。
主人公のタフィは、《船》で十八歳まで育ち、それから救済委員会の手に委ねられ、沙漠の土地のキビ色の沙地の白い家で暮らすこととなる。製本組合から奨学金を得た彼の仕事は、≪船≫の人間が残したとされる、全頁糊付けされてパイ生地のようになった109冊のた航海日誌「カルトローレ」を解読することだ。
そこに現れたのは、琥珀色の肌の少年ワタ、蜜色の髪に淡緑色の肌の青年エルジン、移民局の役人コリドー。
タフィは、頭に残る≪船≫での曖昧な記憶との間で揺れながら、タッシル語を話すどこの国とも言えない不思議な場所で日々の生活を開始する。≪船≫とは宇宙船で、他の星に難破したSFファンタジーと読んで見ても話しは繋がりそうで詠み人の想像力を試されているような299ページでした。
やたら見かけるタッシル語の標語「亀の甲羅に落書きするな。人生をあやまるから」は13章で標準語の「神は吾らに楽をするなと仰せになる。人生をあやまらぬために」の皮肉をこめた云いまわしと解る部分は面白い。
「限られた空間で暮らすには隣人と争わず干渉しない心がけが必要だ。人があつまれば中心点のない話題をえらぶようにする
・・・同席者の意見に反対も同意もせず話しをつなぐすべは・・・しりとりをすればよい。」とか「卵を割って料理も出来ない女は破談したほうがよい」とか随所にうなずける場面があり楽しめる。
サン=テグジュペリの「星の王子様」の世界とも似た雰囲気に浸りながらよみました。109冊のうち1冊のみ残して自然発火で消失は、「108冊は煩悩の数なので数のうちにはいらない 」(著者談)はすぐ想像できた。



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