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異邦人 (新潮文庫)
カミュ窪田 啓作
価格: ¥420 (税込)

文庫
出版社: 新潮社
発売日: 1954/09
ISBN: 4102114017
おすすめ度:4.5
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共同体と死について
 高橋源一郎は「ニッポンの小説」という珍しくストレートに日本文学を語った本で、内田樹のレヴィナス論を引きながら、日本の近代小説の歴史は死を書こうとして常に失敗してきたことを指摘している。死を書くとは「他者」を書くことであり、書き損ねることは言語コミュニケーションに内在する本質のようなものだと。この指摘は別に日本の小説に限らず外国小説でも当てはまると思う。だって、そもそも作者も読者も死んだことがないからだ。

 さて、この小説には、母親・アラブ人・そして主人公の3つの死が描かれる。どれも非常に淡白だが、他のレビュアーの方も語っているとおり、現実にはドラマチックではない死というのは結構ある。しかし、逆に人の死を扱う方法というのは、共同体にとっては根本規範の1つである。これを歪める素振りを見せた者は、アラブ人を殺したことよりも、母の葬式で泣かなかったことが主な糾弾材料になり、共同体の外の人間(=異邦人)と認定され、「フランス人民の名において」抹殺される。

 この小説は「死そのもの」についての話ではないが、共同体が「死をどう文脈化するか」を通して、社会というシステムのメカニズムを書き切った本だと思う。敢えて作者自身の解説に反するかもしれない指摘をすると、この本のストーリーは決して不条理ではない。社会のメカニズムが不条理なのだ。だから、60年以上前に発刊されたこの小説は今でも読者の心を打つ。

 なお、主人公のMersault(ムルソー)という名前について、「mer(海)とsol(太陽)なのではなくて、"meurt"(死ぬ)と"seul"(ひとり)だったのかもしれない」という松岡正剛の指摘は、この読後感にぴったり合っていて珍しく感心した。
「太陽のせい」というのも納得できるかも・・
私はまず、この作品の風景描写が好きです。
いちいち丁寧で、想像力を掻き立てられます。
特に、じわじわと焼かれそうな“暑さ”が最高でした。

内容については、何度も読み返したくなります。
私は最初、裏表紙の説明を読んで、「普通の感覚からはズレた主人公の話なのかな?」と思ったのですが、とんでもない誤解でした。
ムルソーの「自分不在」の感覚や、冷めた分析には、とても共感できます。
“論理的な一貫性に欠ける主人公”も、今日の社会ではそれほど特異な存在ではないのかもしれません。
文学史上の記念碑
文学史上の名作としてあまりにも有名な作品。とくに第一部の描写は素晴らしい。主人公の心理とアルジェの風景が一体となっている。マリィも充分に魅力的でストーリーに説得力を与えている。この第一部に浸ったままに第二部を読むと、主人公の思考がリアルなものして感じられ検事の語る一般的な常識論に対して奇妙な違和感すら感じてしまう。この作品が文学として成立しているのはこの構図故であろう。
ただ新潮文庫の裏表紙はいただけない。この作品の全てのあらすじが書かれてしまっているし「不条理の認識を極度に追求」という言葉で括ってしまうのは、この文学の豊かさを損なっていはしないだろうか。
『幸せ』の秘訣は、不条理を受け入れること
こんなに魅力的な文学作品があるだろうか?フランスでの絶大な人気も頷ける。若い頃は、アラブ人を殺した理由はと聞かれ、『太陽がまぶしすぎたからさ』なんて応えるムルソーがとにかく格好良く見えたものだ。

でも、それだけじゃなかったんだ。この簡潔で研ぎ澄まされたような短い文体。美しすぎて惚れぼれとする。そういえば、カミュ以前はどの文豪も長たらしい文章を書いていた。そして、こんなアンチ・ヒーロを主人公にした小説なんてあっただろうか?もしかしたら、現代文学のグランド・ゼロは『異邦人』なのかもしれない。

ムルソーは、裁判で有利不利など気にしない。はなから損得などどうでも良いのだ。ムルソーにとっては、自分自身が感じたことに対して決して嘘をつかないということが真理なのだ。嘘をつくと、偽った自分自身を造りだすことになり、結局、自己も世界も征服できない。若い頃は気づかなかったが、今読むと、何とも身につまされる。
手短に…
主人公の圧倒的な一言、そして最終章へ…

とにかく読んで読んで、考えて欲しい

そんな衝撃作です。



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