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グレート・ギャツビー (新潮文庫)
フィツジェラルド野崎 孝
価格: ¥460 (税込)

文庫
出版社: 新潮社
発売日: 1989/05
ISBN: 4102063013
おすすめ度:4.5
Amazon ランキング: 61273位
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はかなき青春時代
まず、この洋書は実に読みやすい。英語にあまり慣れていない方にもお勧めしたい。
また付け加えると、本書の日本語版はよくできていると思う。誰しもが一度は体験して、それが決して戻ってくることがないものだとは、「青春を体験しているうちは」気がつかないものだ…ということをうまく訳文に表すことができているといえる。
本書の冒頭は、主役の父の忠告の思い出で始まる。そして、登場人物の青春群像が繰り広げられる…誤解しないで欲しい。この本はそれほど単純じゃない。所謂「ロスト・ジェネレーション」エージの作品で、一見楽しそうな青春を送っている人物の孤独、といったもの、あるいは「悩める二枚目」とでもいうべき、やや悲しい描写、というものが少なからずある。
このペンギン版で、このお値段なら迷わずご購入を。今出回っている日本語版もいいですが、原著をひもとくのもいいですよ。
The Great Gatsby
Nick, the protagonist in this story, comes to know a man named Jay Gatsby, who seems to be expending as much money as possible as if thinking about nothing. However, he turns out to have his purpose. When Nick sees Gatsby for the first time, the latter behaves great, and he, albeit there being certain doleful disclosure about him later, behaves greatest at his last meeting with the former.
The title "The Great Gatsby" is somewhat ironical, but to read this tale will make it possible for you to know there is a genuinely great life like that of Mr. Gatsby's, with which I was more than impressed.
「ディズィ、あなたに会っていると、こっちはいかにも田舎者っていう気がしてくる」
 1922年に中西部から東部に引越ししてきた証券会社の社員ニックを語り手に、
 巨万の富をもつ青年ギャツビーの、
長年おいもとめていた恋人と再会する様子や
思いがけぬ悲劇的な終焉を描いています。
 重ねてニック自身の恋の行方、そして、ギャツビーに対する友情も語られます。

 当時のニューヨーク近辺の富裕層の風俗や、街の様子が
物語に独特の雰囲気を与えていて、面白いです。
古き良き過去への妄執の恐ろしさ
戦争後に職にあぶれたロスト・ジェネレーション世代ものの代表作。
あまり指摘されないことだが、この作品では「古き良き白人社会」への妄執がトムの狂信的な主張とデイズィの裏切り、そしてギャツビーの懐古趣味的なデイズィへの執着と成り上がり根性によく現れていると思う。
ニックは「古き良き」社会にも属せないが、かといって新しい社会を築こうとするわけでもない、まさに宙ぶらりんの存在であり、それが故に昔にこだわる人間の悲劇をよく理解し、読者に紹介できるのではないだろうかと思われる。

特に最後の文章は何度読んでも深く考えさせられる。
まさに人間とは、過去へ過去へと運び去られる存在に他ならないが、進む先は未来にしかないのである。
夢の儚さを対岸で見た物語
「彼女の声、それは金にあふれた声だった。高く低く波動する尽きせぬ魅力があった」

デイズィという女性を表現する、有名な一文。
ぎらぎらの野望で短い人生を駆け抜けたぎギャツビーの原動力となったのは、この女性だった。

結局デイズィという女性は単なる愛情の対象としての女性ではなく、上流階級の象徴であり、ひいてはギャツビーにとって絶対かなえなくてはいけない『夢』であった。それさえ手に入れる事ができれば全てを手に入れられる、約束された土地。
しかし、『夢』は実態のない、コントロールできないものだった。

クライマックスにくるまで、デイズィに対するネガティブな描写はでてこない。
怠惰で派手でぜいたくな、社交生活を繰り広げる上流階級の人々の様子に読者は虚しさを覚えるだろう。しかしその中で唯一、デイズィは常に鈴の音のような声で、その世界の先にきらきらしたものが待っているかのように、ギャツビーを魅了する。

しかし、ギャツビーの命があっけなく奪われた後葬式にデイズィは電話のひとつも花の一輪もよこさない。ニックは彼女の本質を次のようにみている。

「トムもデイズィもー品物でも人間でもを、めちゃめちゃにしておきながら、自分たちは、すっと、金だか、あきれるほどの不注意だか、その他なんだか知らないが、とにかく二人を結びつけているものの中に退却してしまって、自分たちのしでかしたごちゃごちゃの後片付けは他人にさせる・・・」

ギャツビーは、デイズィの家の桟橋の突端に輝く緑色の灯をみた。その緑色の灯こそ、手にすることのできないデイズィという女性そのものだったように思える。

この物語は、夢を追わずにはいられない人間の性とその美しさを描く一方、夢につきものの、そのはかなさと虚しさを描いている。読んだ後切なく、なにか実体のないものに郷愁を覚えるのはそこに普遍性を感じるからだろう。



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