他のレビュアーさんも指摘しているところだが、巻末の長ったらしいエピローグには辟易した。正直、何が言いたいのかよくわからないし、これほどのページを費やすほどの内容があるとも思えない。
小説自体は非常に面白い。登場人物が以上に多いという噂?で敬遠していたのだが、いざ読み出すと止まらない。人物の一人一人が非常に深いレベルで描きこんであるし、大叙事詩と言ってよい壮大なストーリーも素晴らしい。
それだけに最後の大論文は「あとがき」として読みたかった。これは小説の一部ではないだろう。せっかくの美しいエンディングを小説の最後と意識せずに冗長なエピローグ第二部に突入してしまったため、結果的に退屈な気持ちだけが残ってしまった。
まあ、今からトルストイに文句を言っても仕方ないが(笑)。これから読まれる方、ご注意を。
戦争と平和〈4〉 (新潮文庫)
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トルストイの小説のなかでは、戦争と平和が第一であることは、ほとんどの人が認めるところであろう。どんな描写にも生き生きとした人生が伝わってくる。不思議としか言いようがない。この最後の巻は主人公ピエールのもっとも活躍する部分。壮大な物語の大詰めである。ここには、まだトルストイの人生肯定のもっとも偉大な模範が見られる。
エピローグはトルストイの戦争観を語ったもので、人によっては退屈するかもしれない。
この小説のもつ圧倒さは映画では、とても得られない。映画というものが長大な物語には向いていないことが如実に示される。ヘップバーンもロシアの戦闘シーンばかりのものも小説を読んだあとではとても見ていられない。大叙事詩は小説の独壇場である。
エピローグはトルストイの戦争観を語ったもので、人によっては退屈するかもしれない。
この小説のもつ圧倒さは映画では、とても得られない。映画というものが長大な物語には向いていないことが如実に示される。ヘップバーンもロシアの戦闘シーンばかりのものも小説を読んだあとではとても見ていられない。大叙事詩は小説の独壇場である。
トルストイがこの小説(『戦争と平和』)を完成させたのは、1869年の事である。1869年(明治2年)と言へば、この小説のテーマであるナポレオンのロシア遠征(1812年)から57年の時が経って居る。トルストイは、膨大な史料を読破し、戦場を自ら訪れる等して史実を自分の目で検証した上でこの作品を完成させたが、この作品が、ナポレオンのロシア遠征から半世紀以上の年月が経って書かれた事と、今、私達が第二次世界大戦終結から61年目の年に生きて居る事を較べると、その時差は、大体同じである。では、トルストイが、この小説の中で歴史に対峙した姿勢と、現代の私達が第二次世界大戦を振り返る姿勢のどちらが客観的であるか?と考えてみると、もちろん、人によって歴史観は違ふから、一概に比較は出来無いのであるが、トルストイの歴史に対する姿勢は、非常に冷静で、客観的な物だったのではないか?と、私は思ふ。しかも、この作品が、帝政ロシアの政治体制下で書かれた事を思ふと、歴史の検証に関して、19世紀なかばのロシアは、意外に自由だったと考えるべきなのか、それとも、現代の世界は、「意外に」自由ではないと考えるべきなのか、それは、意見が分かれる処だろう。『戦争と平和』を、こう言ふ視点で読んでみるのも有意義な事ではないだろうか。−−私は、トルストイが、今から半世紀後に私達の時代を小説として書いたら、私達のこの時代をどの様に描く事だろうか?と思ふ時が有る。
(西岡昌紀・内科医/9・11テロから5年目の日に)
(西岡昌紀・内科医/9・11テロから5年目の日に)
ただタイトルに惹かれてこの本を手にした。同じ人間同士が、どうして殺し合い、罵倒しあわなければならないのか。互いに認め合うということは無理なのか。何がそうさせるのか。
物語は19世紀初頭ロシアの貴族社会の描写から始まるが、誰が中心人物なのかわからず最初は戸惑った。しかし、気がつくと自分はまさしくその時代のロシアに取り囲まれていた。そしてその後は21世紀の日常と、19世紀初頭のロシアを行ったり来たり・・・。電車の中でナポレオンに謁見する士官を見守ったり、炬燵に入りながらも自分は戦場にいたりした。きっと、この作品を読もうとする大半の人が、これに近い状況になるのではないだろうか。
多くの人が、戦争を実体験として持たない社会になりつつある。本で読むのと実情とでは大きく異なることは間違いないが、それでもこの作品は読む人に戦争がどのようなもので、それに巻き込まれる人(そしてそれを構成する人)がどのように変わっていくか、変えられていくのかを伝えてくれるものでもあるし、戦争の形は違っても現代の戦争にも見られるものが在るようにも感じた。特に、第4巻で人が生きていく上で大切なものとして描かれていることは、今も昔も、場所も隔てず、きっとなにも変わっていないと思う。
若い人にも読んでもらいたい作品です。(難しいけど・・・。)



