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アンナ・カレーニナ (上巻) (新潮文庫)
トルストイ木村 浩
価格: ¥660 (税込)

文庫
出版社: 新潮社
発売日: 1972/02
ISBN: 4102060014
おすすめ度:5.0
Amazon ランキング: 18385位
発送可能時期: 在庫あり。

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これはすごい!
まずはその無駄のなさ。何のために書かれているのかわからないページ、つまりは無駄なページが一ページとしてないのだ。全ての事柄が時には伏線となり、時には美しく緻密な情景描写となっている。

これは意外に感じたことであったが、難解な思想が話の中に組み込まれていると言うことがあまりないため、読みやすい。トルストイとドストエフスキーの違いの大きな点の一つがここに隠れているように思う。つまりドストエフスキーは難解さの中に面白さを見出すことの出来る作家だが、トルストイは美しい緻密な描写を巧みに用いることにより、その場にいるかのような臨場感を作品に与えることに成功しているように思うのだ。

上巻で主になるのは各登場人物の登場シーンだが、その登場シーン一つを取ってみても、緻密で綿密な描写がなされており、彼らが、どのような心境であるのか、などと言うことが細大漏らさず理解できる。
「曖昧なまま放っておかれる」という点が、全くといっていいほどない。およそ、(?)の部分に説明が付されないことがないのだ。「曖昧な点はそのまま放っておき、読者の解釈に任せる」とする現在の風潮とは、一線を画している。現代人にトルストイが残念ながらあまり受け入れられない理由の一環も、こういうところにあるのではないだろうか。

色々な箴言と言えそうな深い言葉が、登場人物(特にリョーヴィン)の口からさりげなく語られたりするので、哲学的な楽しみ方さえもできる。

分厚い本ではあるが(上中下で1600ページ)、分厚いからと言って、あまりページ数を気にして競争するかのように急いで読むよりは、じっくりその場その場の描写を味わいつつ読んでいく方が楽しいと思う。
これを読んでいない人間の存在が信じられない(と思えるほどの傑作)
星の評価が5段階しかないとかなりつらいものがあるのですが・・・この作品を5つ星以外にどう評価しろというのでしょうか!・・・というくらいに完璧な作品です。

完璧というのはどういう意味かというと、まずは構成。
序盤で、列車から降りるアンナと将来の恋人ヴロンスキーが出会う印象的な場面がありますが、最後までこの情景が常に背景のように作品全体を支配するよう緻密に計算されていることがわかります。2度目に読んだ時には結末も知っていたので、余計に伏線が際立って感じました。最後までわずかな部分にも物語に無駄がなく、いかにトルストイがこの作品の推敲に時間をかけたかがよくわかります。

次に思想性。トルストイの作品はあまりにキリスト教の影響が強く、他の作品(特に『人はなんで生きるか』などの短編)では説教くさいと感じて敬遠されることも多いようなのですが、この作品ではその説教臭さがほとんどないにも関わらず、トルストイの思想性が、主人公の一人であるリョービンに見事に表現されています。このリョービンがトルストイの分身として書かれていることは有名です。確かに物語の最初に登場するリョービンはいかにも青臭く(といってももう32歳くらいですが)、経験不足な田舎者でしかも無神論者です。しかしキチイという魅力的な女性に出会い、結婚し子供を持つことで、内面において飛躍的な成長を遂げていきます。この過程にトルストイの宗教哲学が全く無理なく込められているのです。

久しぶりに再読すると「ジャン・クリストフ」よりも好きな作品になりました。千数百冊読んできた本の中で、僕はこの作品が最も素晴らしいと思います。
初めてのトルストイです。
恥ずかしながら、トルストイはもちろんのこと、ロシアの文学に触れるのは初めてでした。この本に振れるきっかけは、塩野七海さんの「普通の男が***な54か条(すみません、正確なタイトル忘れました)」で、女心がわかっている旨の良い表現があり、辛口(?)の塩野さんが良い評価をしていたので、触れてみようかと思ったのがきっかけです。もっと哲学的(?)な難しい読み物かと思ったのですが、読みやすかったです。内容は、不倫系と言ってしまえばそうなってしまうのですが、様々な人間模様の中で出てくる心の動きが表現が、非常に詳しく書かれ、関心しました。さすがだなと。。。また、昨今の話題の図書やTVドラマなど、現実離れした人物だったり、「ありえないでしょ」といった展開が目立つ中、時代を超えても変わらない「人間」の本質を丁寧に描かれているところが、とてもよかったです。まだ上巻ですが引き続き読んでみたいと思います。

近代小説の誕生
トルストイは20代で農村復興・農民啓蒙を実践し、そして失敗した。貧しい人々を意識して日常の平易な言葉で書いた壮年期の民話も書いた。これらのことからトルストイは農村農民の安定こそが全てといってもよい程の農村復興論者であった。その思想形成には農奴解放という時代や戦争経験、キリスト、ショーペンハウアー・孔子・老子にいたる耽読が骨子となっているようだ。

さてトルストイの思想の論理からすれば、明らかにリョーヴィンとキチイをあるべきよき関係としており、リョーヴィンにトルストイの思想の多くを喋らせている。一方愛情の源泉をカレーニンからウロンスキーに変更したアンナは、あっさりいえば愛情への過剰な渇望が祟った内実をもたない日常生活とその悲劇的結末といったトルストイの説く生き方に相容れないところがある。

この二つの関係のコントラストと小説全体から分かったことは、トルストイ主義(ある種の自然主義)の炙りだしと、そして何よりも重要なことは「男からみた女性一般に根ざす異常な愛の渇望」や「男女心理のスリリングな描写」、そして「伏線をはった轢死体と悲劇的結末の関連」などで、これは今では目新しい構成ではない。しかし当時としては先駆的だっただろう。つまり近代(modern)小説の教科書・モデル(model)といわれるゆえんがこの辺にあるのでしょう。

同時に民話を書く頃になるとこの小説史上の大著も「伝えたい思想」のシンプルさと比べると飾り立てすぎていると、トルストイ本人が高い評価をしなくなったことも確認しておきたい。しかしながらドストエフスキーの心理描写の異常さとは違ったオーソドクスな流れの大著として、一度は読んでおきたい小説です。長くてしんどいなら、縮約された金の星社のジュニア版でも十分おすすめできます。
女性心理の深遠
謹厳で理想主義者だったトルストイがなぜかくも鮮烈に女性心理を描けたのか、本当に驚かされます。

まずは最初の1ページを読んでみてください。「幸せな家庭はにたようなものだ、しかし不幸な家庭の不幸は様々である」から始まり、アンナの兄の目覚めの滑稽なこと!健康で元気一杯で目が覚めたものの、自分は若い召使に手を出し、家庭崩壊に直面しているのです。それをハッと思い出す。その解決のためにアンナはわざわざ出向いてくるのでした。

アンナの登場から一気にラストまで読んでしまいました。女性の魅力とはかさなさ、一途な情熱ともたらされる悲劇、理性と知性、エゴと愛情、憐憫、悲哀、そのひとつひとつがアンナの髪の小さなカール、黒いドレス、瞳や手の動きを通して表現されます。(もちろんそれだけではありませんが)
文学が持つ魅力の全てが表現されています。お勧めの一冊です。



アンナ・カレーニナ (中巻) (新潮文庫)
トルストイ木村 浩
価格: ¥820 (税込)

文庫
出版社: 新潮社
発売日: 1972/02
ISBN: 4102060022
おすすめ度:5.0
Amazon ランキング: 21951位
発送可能時期: 在庫あり。

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最高傑作
読み始めてから読み終わるまで半年かかってしまった。上中下合わせて1600ページを超える
大作。トルストイが5年の歳月をかけて何度も書き直したという、「戦争と平和」と両翼を担う作品。
この作品の登場人物のなかで私はリョーヴィンが好きだったのだが、リヨーヴィンがトルストイの分身だったなんて。読み終わるまでわかりませんでした。
宗教、哲学、農業、経済、政治、戦争、人間関係、この小説には全ての要素が含まれています。
ドストエフスキーやレーニンが賞賛するのもわかります。
ただ、登場人物が150人近く現れ、物語も複雑に絡み合っていくので、細切れに読んでいくと内容がわかりずらくなるかも。
最後にリョーヴィンが神の存在に気づくのが印象的でした。
絶対おすすめ!
文学が苦手と言う人も、恋愛の細やかな心のひだまですべて書き尽くしたこの本には退屈を感じないだろう。最初はとっつきにくいと思った人も、そのうちにアンナと一緒にドキドキしたり、キッチィと一緒に涙したり、レービンの純情さに微笑んだり、夢中になっている自分に気づくはず!レービンの住む田舎の風景が美しい。



アンナ・カレーニナ (下巻) (新潮文庫)
トルストイ木村 浩
価格: ¥780 (税込)

文庫
出版社: 新潮社
発売日: 1972/02
ISBN: 4102060030
おすすめ度:5.0
Amazon ランキング: 32296位
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上中下巻すべてのブックカバーの商品説明にあらすじが書いてあるので要注意
大著ですが、戦争と平和ほどには登場人物は多くないので読みやすい小説です。恋愛と主人公の行く末が大きな柱ですので、読者としては誰と誰が結婚するのか、主人公は幸せになるのか不幸に終わるのかが大きな関心となります。ところが、この本は上巻・中巻・下巻のそれぞれのブックカバーに、それぞれのあらすじが最後まで書かれており、これを読んでしまうと興味が削がれてしまいます。また、訳者の解説は下巻のみにありますが、ここにも小説の結末が書かれています。予備知識なしでも十分に理解できる小説ですので、ブックカバーの商品説明と解説は、小説を読破してから読むことをお勧めします。
全巻読むのに一ヶ月かかります
ロシア文学はあまり読んだことがなかったが、
これは1ヶ月かけてじっくり読むことができた。
ただ登場人物の名前が覚えにくい(例:ブロンスキーとオブロンスキーなど)ので
メモを書きながら読まないと「えーっと、この人誰だっけ?」という状態になる。

この小説は二人の主人公がいる。
・アンナ・アレーニナ(美貌の政府高官夫人)
・リョービン(理想主義者の地主貴族)
この二人それぞれが軸になってストーリーが展開するが、
アンナとリョービンは後半に少しだけ会話を交わすだけだったりする。

アンナと若いブロンスキー(伯爵家出身の士官)の破滅的な恋だけであれば
ひたすら重苦しい、陰惨なストーリーになるところを
リョービンとキチィ(公爵令嬢。昔、ブロンスキーに恋をしていた)の穏やかな家庭愛を
絡ませることによって、救いようのない結末を免れているところなど
この構成の巧みさはさすが文豪である。

あとはフランス語を交えて会話したり、
子供にフランス人の家庭教師を雇うなどのフランス崇拝や、
男はカード賭博や競馬、女は霊媒のような神秘主義者に熱中するなど、
当時のロシア上流階級の様子がわかって面白かった。
壮大なる完璧な総合小説
十九世紀のロシアの風土がありのままに感じられ、そしてそこに生きる人々の繊細な人間模様が、トルストイの透明さの奥から迸る情熱を込めた筆致を通して、作品全体から伝わってきました。

やはりトルストイの人物描写、特に女性描写は、抜群の感性を誇っています。特にアンナの最後の混乱した感情描写や、キチイの出産時の描写などが強く印象的です。

女性の方であれば、アンナ、ドリイ、キチイ、ワーレンカなど、男性の方であれば、リョーヴィン、カレーニン、ヴロンスキー、オブロンスキー、ニコライなど、どの登場人物に感情移入するかは、人それぞれの性格や思想によりけりですが、トルストイの、それぞれの登場人物に対する、繊細で肌理細やか過ぎる描き分けの凄さには、只々、脱帽するのみです。

因みに私は、男性として、リョーヴィンに感情移入しました。リョーヴィンが出てくる場面が常に楽しみでした。リョーヴィンを通して、特に農業学的見地からロシア社会の欺瞞を摘出しつつ、キリスト教の欺瞞に疑問を抱きながらも、その上で理性や哲学では計り知れない「己の精神の聖なるもの」を信じて生きていこうという、宇宙的想念の最後の悟りは、鳥肌ものであり、最後までこの長編を読んできた人にだけ味わえる、素晴らしき体験です。競馬の場面の臨場感や、結婚式に遅刻する滑稽さも良かったなあ。それ以外の場面にも、トルストイの霊的な力が、作品の端々から、滲み出てきています。

いずれにせよ、生涯付き合っていける素晴らしき作品に出会えたことが、何より嬉しいです。何故ならこの作品には、恋愛、宗教、哲学、政治、農業など、国や時代の違いに拘わらない、人間と社会の普遍的なる問題が、そのままに描かれており、全世界的な問題を包括した総合小説となっているからです。トーマス・マンも言うように、「非の打ち所の無い完璧な作品」とは、正にこの作品であり、寧ろ人類の遺産とまで言い切れると思います。
下記のように、現代の恋愛・結婚事情にも非常に含蓄のあるお話
 1.真実の愛を貫くには、経済的にも精神的にも自立しないといけない(男女ともに)んだなーと実感する話。
 2.でもって、「全てを恋に捧げる」とかいえば聞こえはいいけど、そんなことされたら相手(大抵は男)は重たくてうんざりして逃げ腰になってくるよね、という話。
 3.それでもって、「この人さえいてくれれば何もいらない」とか思っても、人間、食べ物も住処も衣服も必要だし、地位や名誉だってできれば欲しいし、世間体だって気になるよね、という話。
 ………身も蓋もなさ過ぎですか? 他の方のように格調高くない書評ですみません…。
 キャラの心理描写といいストーリー展開といい、圧巻の名作です。
最高傑作
読み始めてから読み終わるまで半年かかってしまった。上中下合わせて1600ページを超える
大作。トルストイが5年の歳月をかけて何度も書き直したという、「戦争と平和」と両翼を担う作品。
この作品の登場人物のなかで私はリョーヴィンが好きだったのだが、リヨーヴィンがトルストイの分身だったなんて。読み終わるまでわかりませんでした。
宗教、哲学、農業、経済、政治、戦争、人間関係、この小説には全ての要素が含まれています。
ドストエフスキーやレーニンが賞賛するのもわかります。
ただ、登場人物が150人近く現れ、物語も複雑に絡み合っていくので、細切れに読んでいくと内容がわかりずらくなるかも。
最後にリョーヴィンが神の存在に気づくのが印象的でした。



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