実は、感動しすぎて、うまく感想がつづれず、何度も書き直している。どんな感想文をつづっても、作者自身の緻密な文体に迫ることもできず、すっかり恐縮してしまうのだ。別に、俺の感想文を、作家の文章に匹敵させる必要もないのだが。こっちは素人なんだから。
そうは思うものの、これだけの作品に対し、己はなんという貧弱な感想を語ろうとしているのか。恥ずかしくなって、ページにアップしては、書き直している。これで3度目なんだ、実は。
小池真理子さんの小説をはじめて読んだ。
最近の作家にみかけなくなった『文章に命を込めています!』というタイプの作家だ。きっと朗読すると、さらに映えるだろう。しかも、『主人公の好きな男が、最初は手紙で登場する』『主人公の回想という形式で進行する』という、とっても古めかしい枠組みで設計された擬古典形式の作品なのに、話の展開は、推理小説のように、どきどきするほど、好奇心をそそるのだ。
最後のページを読み終えたのは、通勤しているバスが下車すべき停留所に到着しようかという寸前だった。
読了の最後の時間が、バスの中だったというわけだ。下車する停留所にバスが停まった。でも、僕の視界に、現実社会はないも同然。視線は現実を見ているのだが、そんなものは上の空。僕の頭に再現されていたのは、『欲望』に描かれていた色々な場面を回想していた。石垣島の海で、どこまでも沖に泳ぐ彼の姿。それをずっと追っている彼女の視線。
バスは発車する。
『たった今、会社に行くために降りてどうするんか』
それよりも感動の時間を長く持ちたい。
こうして俺は、白昼にバスの中で、本の世界にとどまるために瞑想しつづけ、この小説を意図的に遅読して過ごした、3週間の幸福なひとときのことを、いつまでもいつまでも考えていた。
欲望 (新潮文庫)
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DVDがあり、小池真理子さんの原作と書いてあったので、小池さんの小説が
映像になってるのなら観たい、オリジナルがいちばん偉いと思っている私は、
まず原作を、と思って読みました。面白かったです。
生まれてはいたけど、その世相はマスメディアでしか感じたことがない、
若者も社会も焦れていたような、そのくせ終焉がきたことを感じていたような時代の
雰囲気、ときどき伝承ロマンミステリーとかを読みたくなる時があるように、私の
中では、小説の中にしかない国、時代の雰囲気を堪能した感じがしました。
『無伴奏』(June文学ガイドで紹介されてたのをきっかけで読んだので、もう
20年弱前なのね)もとても良いものを読んだなあと思った記憶がありますし、
主役格の二人の美しい青年をイラストに描いてみたりもしましたが、『欲望』にも
精神も肉体も美しい若者が出てきます。
今までそんな言葉で表現したり、たとえたりしたことはないのに、文章を読むと
情景が目に浮かぶ映像美と、よくある俗っぽい関係も描いているのに、失われない
硬質で静謐な空気。この小説を読み出してから、味わいたいと潜在的に願っていた
小池ワールドが広がります。
おどろおどろしいミステリーと思っていたのが、意に反して理に落ちてたりというような、
最初こんな風な話だろうと思ってたのが、肩すかしに終わったりすることも少なくない中で、
『欲望』は、ああ、こんな話なのねとふくらんだ気持ちが、途中でしぼむことなく読み終え
られます。後日譚だと思ったのが、や、まだそうじゃなかったのねと思いましたが、
それも、余韻が残ることが想像されるので、段々フェイドアウトするので、余韻をお楽しみ
くださいという感じで、この話だからこの長さが必要だと思わされました。
(なので『レモン・インセスト』が物足りないのは、書き足りない感があるからだと
思います)
こことは違う場所に連れていってくれるのは、小説を読んで幸せに思うことです。
そのうえ、物語の人を、愛しく思ったり、切なく感じたりすることも楽しいことです。
現実の人になんの感情も湧かなくても、物語の人を大切に思ったり、もらい泣きして
しまったりする人には、とても幸せに読める小説だと思います。
映像になってるのなら観たい、オリジナルがいちばん偉いと思っている私は、
まず原作を、と思って読みました。面白かったです。
生まれてはいたけど、その世相はマスメディアでしか感じたことがない、
若者も社会も焦れていたような、そのくせ終焉がきたことを感じていたような時代の
雰囲気、ときどき伝承ロマンミステリーとかを読みたくなる時があるように、私の
中では、小説の中にしかない国、時代の雰囲気を堪能した感じがしました。
『無伴奏』(June文学ガイドで紹介されてたのをきっかけで読んだので、もう
20年弱前なのね)もとても良いものを読んだなあと思った記憶がありますし、
主役格の二人の美しい青年をイラストに描いてみたりもしましたが、『欲望』にも
精神も肉体も美しい若者が出てきます。
今までそんな言葉で表現したり、たとえたりしたことはないのに、文章を読むと
情景が目に浮かぶ映像美と、よくある俗っぽい関係も描いているのに、失われない
硬質で静謐な空気。この小説を読み出してから、味わいたいと潜在的に願っていた
小池ワールドが広がります。
おどろおどろしいミステリーと思っていたのが、意に反して理に落ちてたりというような、
最初こんな風な話だろうと思ってたのが、肩すかしに終わったりすることも少なくない中で、
『欲望』は、ああ、こんな話なのねとふくらんだ気持ちが、途中でしぼむことなく読み終え
られます。後日譚だと思ったのが、や、まだそうじゃなかったのねと思いましたが、
それも、余韻が残ることが想像されるので、段々フェイドアウトするので、余韻をお楽しみ
くださいという感じで、この話だからこの長さが必要だと思わされました。
(なので『レモン・インセスト』が物足りないのは、書き足りない感があるからだと
思います)
こことは違う場所に連れていってくれるのは、小説を読んで幸せに思うことです。
そのうえ、物語の人を、愛しく思ったり、切なく感じたりすることも楽しいことです。
現実の人になんの感情も湧かなくても、物語の人を大切に思ったり、もらい泣きして
しまったりする人には、とても幸せに読める小説だと思います。
タイトルだけで手に取ったいわゆる「ジャケ買い」(笑)だったものの、見事にハマった。
ミステリー作家だと思って今まで避けてたけれど、いい意味で裏切られた。
こんな切ない恋愛があるだろうか?
読んだ興奮も覚めやらぬうちに映画も観たが、ラストがちょっと弱かったのが残念(泣いたけど)
ミステリー作家だと思って今まで避けてたけれど、いい意味で裏切られた。
こんな切ない恋愛があるだろうか?
読んだ興奮も覚めやらぬうちに映画も観たが、ラストがちょっと弱かったのが残念(泣いたけど)
賞を獲りすぎている作家の代表作だけあって、素晴らしい読後感でした。禁断の恋愛や心理サスペンスを書かすならこの人の右に出るモノはいないと思ってましたが、純文学でもこれだけのものが書けるとは!純文学!?思う人もいるかもしれないが、これこそ私の純文学。
巡り合いの不可思議さや登場人物たち心の交差がダイナミックに描かれている。
物語の核心に近づくにつれ本書のタイトルの本質に徐々に触れた時、最後まで読まずにはいられない圧倒的な迫力に心奪われてしまう。
物語の核心に近づくにつれ本書のタイトルの本質に徐々に触れた時、最後まで読まずにはいられない圧倒的な迫力に心奪われてしまう。



