旅人たちは、平安時代の物語にでもでてくるようなグロテスクな(血の通った)話をしてくれた。
家族と使用人たちが何人も雑魚寝していた2階の部屋の隅で兄妹が交わるとき、家が消えていく。
生きている人間が誰もいなくなった家(故国)に戻って、囲炉裏端に座っていると、次々とよみがえる人たちの姿が見えてくる。
善魂宿 (新潮文庫)
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この作品の主な舞台は母と息子だけが住む合掌造りの家で、飛騨白川村がモデルになっている。かつて白川村の合掌造りの家には20~40人もの人が住み、独特の家族制度を形成していたのだが、それが消滅してから久しい現在、その成立過程や実態がどのようなものだったのかは、よくわからないそうである。その大家族制の実態と消滅過程を、著者が想像力を駆使して書き上げたのがこの作品である。その制度は現代を生きる人にとってとうてい受け入れることの出来ないものであるが、可能性としては十分あり得ると思う。ただし、この作品の半分は旅人によってもたらされた別の地の話で、それ自体がおもしろいことも確かだが、私はもっとこの大家族制に重心を置いて、その中から生まれた様々なドラマで厚みを付けた方が良かったと思う。よって☆は4つ。



